2ー2

文字数 988文字

 GWLで死ぬことは「夢みたい」なんて言うのに。案外リズってあっさりしてるんだなぁ。なんか調子が狂う。なんでだろう? 
 ボクの交友関係はあっさりしている。友達はネットの中だけだし、今は忙しくてログインしてないから、疎遠になっている。疎遠になって、もう3年くらい? 

 あっ、ヤバ。時間感覚も完全に狂っちゃってる。まともに会話するのって、ユウキサン、ヒロアキサンと、やめた瑞希サンくらいだったからなぁ。あとはバイトリーダーに指示を出したりとか、言ってしまえば全部仕事絡みの人間関係のみだ。
 生身の、仕事とほぼ関係ない人と会話してるのって何年振りだろう。

「ところでリズ、なんでボクが過労死しそうって思ったの? ただのフリーターなんでしょ?」
「……視えるの、私」
「は?」
「……どうせ死ぬんだからいいでしょ? でも、死に場所を提供してくれたお礼。もう少し視てあげる」

 リズはボクの手を握ると、目を閉じる。

「……過労死は1か月後。このまま何もしなかったら。でも、その前に、命を狙われる。しかも大人数に」
「ゲッ! マジ?」

 ボクはその言葉に手を引っ込める。
 大人数に命を狙われるって、心当たりがありすぎる。もしかして、バイトが一揆でも起こすとか、DCみたいな組織がまた現れるとか……いくらでも可能性はある。
 もう一度手を差し出すと、リズに尋ねる。

「どんなやつに命を狙われるかとかって、わかる?」
「そこまではわからなかった。でも、たくさんの人数。襲われるまで、そんなに時間はかからないみたい」
「リズのその力……実際当たるの?」
「当たらなかったら自殺なんて考えないよ。未来が見えて絶望することなんて、ないもの」

 ボクは社章に触れてみた。ブロッキングシステム。一応、テレパシーとかツクモの能力からガードできるはず。でも、リズミのこの謎の力は……? ハイテクノロジーなものじゃないの? もしかして、本当に『霊能力』とかそういうもの?

 いやいや、そんなのあるわけない! 超常現象のある程度は科学的に証明できるようになったけど、『未来予知能力』なんて!!

『Welcome to Global Wonder Land. Our next stop is Global Wonder Land Station.』

 車内アナウンスが、中途半端な時間なので乗客がボクたちふたりだけの車両に響く。もうすぐ到着だ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み