第32話
文字数 718文字
西村が門田を庇うが、その西村も足元がおぼつかない。本堂へ至る数段の階段さえ今の二人にははるか高いハードルに思えただろう。
「…いや、西村くん。…これは我々ブッケンが…しっかりと研究しなきゃ…ダメなんじゃ…」
とうとう、門田はその場に座り込んでしまった。引きずられるように西村も尻餅をついてしまった。
二人はもう動けなくなってしまった。
ちょうどその時、本堂の横にある寺務所から慶長が掃除機を片手に出てきた。
「おお、これは亮介さん。一昨日は大変な目に遭われましたな」
茶色い作務衣を身につけた慶長の頭は、綺麗に剃り上げられ優しく輝いていた。
「こんにちは。私たち、清稜高校の日本寺社仏閣研究同好会です。私は吉岡深雪です。」
深雪が自己紹介をした。
「こんにちは。龍告寺の織田慶長です。」
慶長は持っていた掃除機を静かにおいて合掌した。
「私たち、日本の不思議な現象を研究しているんです。それで、中川くんからここの話を聞いて物凄く興味が湧いてきて。」
「そうですか。んで、随分ボロボロになっているこの方達もですか。」
慶長はへたり込んでいる門田と西村を見た。
「…ふぁい。よろしくお願いします…」
門田が声を絞り出した。
「ま、こんなところでは何ですから奥へどうぞ。」
慶長はゆっくりと振り返り、四人を寺務所へ招き入れた。
「亮介さんからお聞きになりましたか。なら、だいたいお話は分かってらっしゃるということですね。」
慶長の言葉はゆっくりと優しい。
本堂と同様、寺務所の中はキッチリ整理整頓が行き届いていたが、仕事の途中だったのか乱雑に積まれた書類が机の上を覆っている。
「ところで、コバトはどうなったの?」
「…いや、西村くん。…これは我々ブッケンが…しっかりと研究しなきゃ…ダメなんじゃ…」
とうとう、門田はその場に座り込んでしまった。引きずられるように西村も尻餅をついてしまった。
二人はもう動けなくなってしまった。
ちょうどその時、本堂の横にある寺務所から慶長が掃除機を片手に出てきた。
「おお、これは亮介さん。一昨日は大変な目に遭われましたな」
茶色い作務衣を身につけた慶長の頭は、綺麗に剃り上げられ優しく輝いていた。
「こんにちは。私たち、清稜高校の日本寺社仏閣研究同好会です。私は吉岡深雪です。」
深雪が自己紹介をした。
「こんにちは。龍告寺の織田慶長です。」
慶長は持っていた掃除機を静かにおいて合掌した。
「私たち、日本の不思議な現象を研究しているんです。それで、中川くんからここの話を聞いて物凄く興味が湧いてきて。」
「そうですか。んで、随分ボロボロになっているこの方達もですか。」
慶長はへたり込んでいる門田と西村を見た。
「…ふぁい。よろしくお願いします…」
門田が声を絞り出した。
「ま、こんなところでは何ですから奥へどうぞ。」
慶長はゆっくりと振り返り、四人を寺務所へ招き入れた。
「亮介さんからお聞きになりましたか。なら、だいたいお話は分かってらっしゃるということですね。」
慶長の言葉はゆっくりと優しい。
本堂と同様、寺務所の中はキッチリ整理整頓が行き届いていたが、仕事の途中だったのか乱雑に積まれた書類が机の上を覆っている。
「ところで、コバトはどうなったの?」