第54話

文字数 765文字

「じゃぁ、何で俺の体調が復活したのかもよく分からないのじゃない?」
「うん。なんか昨日はほら、慶長さんがいて除霊してくれたから元気になったと思ってた。でも、言われてもれば今日は何で?中川はスーパーの駐輪場で悶絶していて、私は慶長さんに電話したけど出てくれなくて。困っていたら、急に肩で息してた中川が立ち上がって、なんか変なことを言いながらここまでフラフラ〜って歩いてきたんだ。私たち、ついて行くしか無かったんだよ。え?もしかして、中川、覚えてないパターン?」
 深雪の声のトーンが一つ上がった。
「おう。そうなんだ。断片的に記憶はあるんだけど・・・」
「なにそれ?」
「・・・それは・・・興味深い・・・です」
 耳元に直接届くような、それでいてくぐもってボソボソした声が聞こえた。
「うわっ!急に入ってくんなよ!」
「中川くん・・・それは・・・中川くんの守護霊じゃ・・・」
 立ち上がった門田が亮介のすぐ後ろから話に入ってきた。
「その体調不良が・・・悪い下級霊の仕業で・・・中川くんを・・・助けたとは・・・考えられませんか?」
「確かに、この手の話はよく聞きますネェ」
 西村が小さな声で自信なさげに言った。
「いや、でもこのパターンは大体夜に起きるもので」
 深雪が否定的に割ってはいる。
「確かにです。それに心霊スポットに入り込んだわけじゃない」
 西村はすぐに自分の意見を曲げ、深雪に同調した。
「・・・昼間だからって・・・起きないわけじゃ・・・1972年の岐阜県では・・・白昼堂々と・・・猫の霊に取り憑かれたという記録が・・・」
「確かに。京都ではそんな事例はたくさん上がってきています」
 西村がこれにも同調した。
「でも、岐阜の件はただの虚言だったと後で否定されてます」
「・・・しかし・・・広島での報告は・・・」
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