第41話
文字数 765文字
「46円」
店員の冷たく、投げるような声に慶長は身震いした。財布は持たない主義だ。常に現金を裸で懐に入れている。そして今、慶長はお金を全く持っていない。どうすればいいのか。焦る頭で考えて出した答えが
「後から来る人が払います。」
だった。
後から三人がゆっくりゆっくりとレジに向かって歩いてきた。
「46円」
一部始終を朦朧とするなか眺めていた亮介はポケットに手を入れた。50円玉が指先に当たった。
亮介は西村に支えられながら、レジのトレーに50円玉を置いた。
門田がお釣りを受け取り、三人はようやく店の外に出た。
スーパーたかむらの店先の自転車置場になっている隅に慶長と深雪がいた。
すでに除霊が始められているようだ。
地面に直接置かれた絹ごし豆腐に慶長が何やら念仏を唱えている。
遅れてやってきた亮介たち三人も絹ごし豆腐に注目する。
亮介の体調は今や絶不調の極みに達していた。
「オン コロコロ センダリマトウギソワカ!…オン、アビラウンケンソワカ!…オン、アビラウンケンソワカ!」
絹ごし豆腐が顔の横にくる位置に亮介は仰向けに寝転がった。背中と後頭部が地面のコンクリートにぶつかり痛みがある。見上げた先に深雪の健康的な太ももがスカートの中に続いていた。しかし、そんなことより今はこの苦しさからの解放が先決だ。
「オン…。ワカ…。オン…ワカ…。」
慶長の言葉がだんだんと早くなっていく。
「はぁー、はっ!オン…。ワカ…。オン…ワカ…。はぁ!はぁ!」
慶長が叫んだ。その様子を薄ぼんやりと眺めていた亮介の目に、絹ごし豆腐から黒いモヤが伸び出てきたのがハッキリと見えた。
このモヤは除霊の時に出てくるモヤだ。何度か見ているのであまり驚きもしない。
亮介は無意識のうちに絹ごし豆腐に手を伸ばしていた。
店員の冷たく、投げるような声に慶長は身震いした。財布は持たない主義だ。常に現金を裸で懐に入れている。そして今、慶長はお金を全く持っていない。どうすればいいのか。焦る頭で考えて出した答えが
「後から来る人が払います。」
だった。
後から三人がゆっくりゆっくりとレジに向かって歩いてきた。
「46円」
一部始終を朦朧とするなか眺めていた亮介はポケットに手を入れた。50円玉が指先に当たった。
亮介は西村に支えられながら、レジのトレーに50円玉を置いた。
門田がお釣りを受け取り、三人はようやく店の外に出た。
スーパーたかむらの店先の自転車置場になっている隅に慶長と深雪がいた。
すでに除霊が始められているようだ。
地面に直接置かれた絹ごし豆腐に慶長が何やら念仏を唱えている。
遅れてやってきた亮介たち三人も絹ごし豆腐に注目する。
亮介の体調は今や絶不調の極みに達していた。
「オン コロコロ センダリマトウギソワカ!…オン、アビラウンケンソワカ!…オン、アビラウンケンソワカ!」
絹ごし豆腐が顔の横にくる位置に亮介は仰向けに寝転がった。背中と後頭部が地面のコンクリートにぶつかり痛みがある。見上げた先に深雪の健康的な太ももがスカートの中に続いていた。しかし、そんなことより今はこの苦しさからの解放が先決だ。
「オン…。ワカ…。オン…ワカ…。」
慶長の言葉がだんだんと早くなっていく。
「はぁー、はっ!オン…。ワカ…。オン…ワカ…。はぁ!はぁ!」
慶長が叫んだ。その様子を薄ぼんやりと眺めていた亮介の目に、絹ごし豆腐から黒いモヤが伸び出てきたのがハッキリと見えた。
このモヤは除霊の時に出てくるモヤだ。何度か見ているのであまり驚きもしない。
亮介は無意識のうちに絹ごし豆腐に手を伸ばしていた。