第39話

文字数 659文字

 ふとその時、亮介の喉の内側が熱く燃えたぎるように熱を持ち始めた。その熱は煮込まれた粘度の高い液体が突然ドロリと喉の奥深くに流し込まれたように、首元を熱く焦がした。亮介は苦しくなり、自分の首を力一杯握りしめた。
「どうしました、亮介さん。」
 慶長が亮介の異変に気がついた。
「喉が、焼けるように熱い。」
「なんですって!これは、もしかして、マノコ!」
 亮介は胃の中のものが逆流してくるような気持ち悪さを感じた。喉が熱く、胃の中を鉄の棒でグルグルとかき混ぜられるような感覚。胃の中のものがせり出してくるような吐き気を感じ亮介はその場に座り込んでしまった。
「亮介さん?大丈夫ですか?」
「ぐ、苦しい。」
 亮介は慶長の長い袈裟を掴み、助けを求めた。
「どこですか?原因はどこにあるのですか。」
 慶長は辺りを見渡す。しかし、これといった怪しい気配はない。
「う、うら。」
「裏?何の裏ですか?」
 慶長は棚に並べてあった醤油や酢のパッケージを手に取り裏返してみた。
「特に何もありませんが。」
「う、うぅぅ、うら。」
「困りましたね。何の事を言っているのでしょうか。」
 慶長の額から汗が滲み出てきた。
「もしかして!」
 深雪が調味料の棚から飛び出し、野菜コーナーに回った。
 野菜コーナーの野菜は壁越しに設置された冷蔵棚に並べられてはいたが、その向かい側には納豆や豆腐といった大豆系の加工食品や麺類が並べられている冷蔵棚が置かれていた。
「ここは、さっきの棚の裏側にあたる。きっと中川はここの事を言ってるんだ。」
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