第49話
文字数 656文字
風薫る五月の爽やかな風が河川敷の木々を静かに撫でている。
亮介は翔陵川の三角州で足を川に浸して疲れた体を休ませていた。
明らかに人の手が入っている規則的に並んだ飛び石を、川の水面が避けるようにダラダラと流れている様子を眺めていると、今まで起きてきた出来事もなぜか現実味を持たなくなっていた。
「何で俺がこんな目に会わなきゃならないんだ。」
川のせせらぎと柔らかい日差しを受け、亮介はその景色に溶け込み、実態がなくなるような錯覚を起こしていた。
マノコを捕獲した時の強烈な悪寒はもうほとんど感じない。ただ、思い出しただけで身震いが起きる、鮮烈で強烈な嫌悪感は体の芯に残っている。
ブッケンの三人は亮介の後ろで何やらノートや地図を広げて作戦会議をしている。
「なぁ」
亮介はブッケンの三人に声をかけて見た。
「……」
返事はない。
三人は自分たちの会議に夢中になって誰一人反応しない。
もう一度、今度は少し大きな声で呼びかけてみた。
「なぁって!」
これでもやっぱりダメだ。
亮介は川からゆっくり足を抜き、車座になっている三人に近づいた。
川の水面に亮介の足の幅で二つの波紋が広がった。川の流れは穏やかでサラサラとその波紋を溶かして同化させた。
ブッケンの三人は真ん中にこの街の地図を広げ、何やら指差しながら小さな声でボソボソと話していた。亮介は耳をそばだてて三人の会話を聞いてみた。
どうやら意見を述べているのは門田部長のようだ。深雪と西村は真剣な眼差しで門田が指す地図を見ている。
亮介は翔陵川の三角州で足を川に浸して疲れた体を休ませていた。
明らかに人の手が入っている規則的に並んだ飛び石を、川の水面が避けるようにダラダラと流れている様子を眺めていると、今まで起きてきた出来事もなぜか現実味を持たなくなっていた。
「何で俺がこんな目に会わなきゃならないんだ。」
川のせせらぎと柔らかい日差しを受け、亮介はその景色に溶け込み、実態がなくなるような錯覚を起こしていた。
マノコを捕獲した時の強烈な悪寒はもうほとんど感じない。ただ、思い出しただけで身震いが起きる、鮮烈で強烈な嫌悪感は体の芯に残っている。
ブッケンの三人は亮介の後ろで何やらノートや地図を広げて作戦会議をしている。
「なぁ」
亮介はブッケンの三人に声をかけて見た。
「……」
返事はない。
三人は自分たちの会議に夢中になって誰一人反応しない。
もう一度、今度は少し大きな声で呼びかけてみた。
「なぁって!」
これでもやっぱりダメだ。
亮介は川からゆっくり足を抜き、車座になっている三人に近づいた。
川の水面に亮介の足の幅で二つの波紋が広がった。川の流れは穏やかでサラサラとその波紋を溶かして同化させた。
ブッケンの三人は真ん中にこの街の地図を広げ、何やら指差しながら小さな声でボソボソと話していた。亮介は耳をそばだてて三人の会話を聞いてみた。
どうやら意見を述べているのは門田部長のようだ。深雪と西村は真剣な眼差しで門田が指す地図を見ている。