第73話
文字数 1,326文字
「これは一体?」
「やはり、ここにはマノコがいるようです。ご主人様ブレイドを持って歩いてください。」
亮介はブレイドを手にゆっくりと陳列棚に沿って歩いてみた。ブレイドの赤いシミはそのたびに大きくなったり小さくなったり、まるで心臓が鼓動しているような動きを繰り返した。
「熱いっ!」
後ろの方で深雪の叫ぶような声が聞こえた。
振り返ると深雪は左手首を押さえていた。深雪の手首の数珠が赤く染まり、煙を出している。深雪は数珠を手首から外し、床に落とした。
「何なのこれ!」
落とした数珠が床に焦げ跡を作り、すえた匂いが立ちあがってきた。
「大丈夫か」
亮介は深雪のもとへ駆け寄った。
ブレイドに目をやるとまるで警告を発するかのように赤いシミが激しく鼓動していた。
「ミラン、ミラン!これは一体どういう事なんだ」
ミランは亮介の耳元で
「確定ですね。この中に必ずマノコがいます。早く探さなきゃ。どこでしょう」
ミランは高く飛び上がり頭上から店内を見た。
照明は全てつけられ店内は明るいが、お客は一人もいず、冷蔵庫のモーター音と従業員のヒソヒソと話す声だけが店内に聞こえる。
「見つけました」
ミランの目は深雪の背中のパンコーナーに向けられていた。
「食パンです」
そういうとミランは食パンに向かって急降下した。夕方のパンコーナーは品出しをされたばかりで、十分に数は残されていた。
そのパンの山に向かってミランは槍を構え落下速度を速めた。
「キェーイ!」
ミランが槍を突き刺したパンは、ピラミッド状に積み上げ並べられた食パンの真ん中あたりだった。
勢いよく突き刺さったミランの槍は食パンの山にほんの少しの歪みを作った。その歪みの隙間からうっすらと黒いモヤが湧き出ている。
ミランが突き刺さった槍で中のマノコを取り出そうとしている。
「よいしょ、早く出てこい!」
ミランはマノコを取り出すのに苦労しているようだ。
「今回のコイツは強力です!」
ミランの紅い槍が大きくしなる。
早めの対応だったからなのか亮介の体調はさほど悪くはなっていない。亮介はミランの動きに集中した。
グイグイとミランは何度も何度も引き出そうと試みる。しかし、中々尻尾を掴ませない。やがて食パンの間から黒いモヤがはっきりと見えだした。
「がんばれ!ミラン!」
亮介はブレイドを握りしめた。
「うおりゃゃゃゃー!」
ミランが大きく叫び最後の力を込めた時、
バキッ!
ミランが持っていた紅い槍が根元から折れた。
「えーえー!」
先がなくなった槍を見てミランが焦りだした。
「まずいです。私はこれがなければマノコとは戦えません。私の武器はこれが最強ですから。」
食パンに突き刺さったままの槍の先には顔をだしかけたモヤがうごめいている。
ミランは腰にさしていた短剣を抜きモヤに突き進んでいった。
もうすでにモヤはミランを敵と認識した。パンの間をぬってあらゆる方向から何本もの触手のような突起物をニュルニュルと放出しミランに襲いかかってきた。果敢に立ち向かうミランだが、やはり圧倒的な数には勝てないのか、徐々にその姿はモヤの中に取り込まれていった。
「やはり、ここにはマノコがいるようです。ご主人様ブレイドを持って歩いてください。」
亮介はブレイドを手にゆっくりと陳列棚に沿って歩いてみた。ブレイドの赤いシミはそのたびに大きくなったり小さくなったり、まるで心臓が鼓動しているような動きを繰り返した。
「熱いっ!」
後ろの方で深雪の叫ぶような声が聞こえた。
振り返ると深雪は左手首を押さえていた。深雪の手首の数珠が赤く染まり、煙を出している。深雪は数珠を手首から外し、床に落とした。
「何なのこれ!」
落とした数珠が床に焦げ跡を作り、すえた匂いが立ちあがってきた。
「大丈夫か」
亮介は深雪のもとへ駆け寄った。
ブレイドに目をやるとまるで警告を発するかのように赤いシミが激しく鼓動していた。
「ミラン、ミラン!これは一体どういう事なんだ」
ミランは亮介の耳元で
「確定ですね。この中に必ずマノコがいます。早く探さなきゃ。どこでしょう」
ミランは高く飛び上がり頭上から店内を見た。
照明は全てつけられ店内は明るいが、お客は一人もいず、冷蔵庫のモーター音と従業員のヒソヒソと話す声だけが店内に聞こえる。
「見つけました」
ミランの目は深雪の背中のパンコーナーに向けられていた。
「食パンです」
そういうとミランは食パンに向かって急降下した。夕方のパンコーナーは品出しをされたばかりで、十分に数は残されていた。
そのパンの山に向かってミランは槍を構え落下速度を速めた。
「キェーイ!」
ミランが槍を突き刺したパンは、ピラミッド状に積み上げ並べられた食パンの真ん中あたりだった。
勢いよく突き刺さったミランの槍は食パンの山にほんの少しの歪みを作った。その歪みの隙間からうっすらと黒いモヤが湧き出ている。
ミランが突き刺さった槍で中のマノコを取り出そうとしている。
「よいしょ、早く出てこい!」
ミランはマノコを取り出すのに苦労しているようだ。
「今回のコイツは強力です!」
ミランの紅い槍が大きくしなる。
早めの対応だったからなのか亮介の体調はさほど悪くはなっていない。亮介はミランの動きに集中した。
グイグイとミランは何度も何度も引き出そうと試みる。しかし、中々尻尾を掴ませない。やがて食パンの間から黒いモヤがはっきりと見えだした。
「がんばれ!ミラン!」
亮介はブレイドを握りしめた。
「うおりゃゃゃゃー!」
ミランが大きく叫び最後の力を込めた時、
バキッ!
ミランが持っていた紅い槍が根元から折れた。
「えーえー!」
先がなくなった槍を見てミランが焦りだした。
「まずいです。私はこれがなければマノコとは戦えません。私の武器はこれが最強ですから。」
食パンに突き刺さったままの槍の先には顔をだしかけたモヤがうごめいている。
ミランは腰にさしていた短剣を抜きモヤに突き進んでいった。
もうすでにモヤはミランを敵と認識した。パンの間をぬってあらゆる方向から何本もの触手のような突起物をニュルニュルと放出しミランに襲いかかってきた。果敢に立ち向かうミランだが、やはり圧倒的な数には勝てないのか、徐々にその姿はモヤの中に取り込まれていった。