第28話
文字数 557文字
「ん?あぁ。いるね。」
「え?いるねって!お前平気なのか?」
「へ?普通だけど。」
「なんで?」
「あぁ、もう。ホントに存在感が無さすぎるんだから。」
深雪が奥の壁に目をやった。
そこにはコーヒーカップと本が置かれているコタツがある。
「…もう少し…詳しく。」
よく見るとやたらと髪の長い小柄な男子学生がコタツに当たっていた。
その男子学生は全身をコタツの中に潜り込ませる格好でコタツから顔だけを出していた。髪の毛はまっすぐの癖一つない直毛で、顔全体を覆っている。異様に長い前髪の隙間から糸のように細くて少しつり上がった目がこちらをのぞいている。
「えー!」
亮介はびっくりした。
「いつからいてるんだよ!」
「…いつからって…僕は…ずっと…いましたよ。」
「いやいや、そんなことはないって。だって、部屋に入った時は誰もいなかったし。」
「いや、…あなたが…ガダラって?呟いた時からずっと…いました。」
「はぁ?なんで?全く気配がなかったよ。」
「…きちんと…挨拶は…しました。」
「部長は、存在感が皆無な人だから。私も時々見失うよ。」
深雪がコタツにあたりながらいった。
「この人は部長の門田さん。」
「…こんにちは。」
門田は訝しげに細くつり上がった目線だけをこちらに向けて、小さく首を折った。
「え?いるねって!お前平気なのか?」
「へ?普通だけど。」
「なんで?」
「あぁ、もう。ホントに存在感が無さすぎるんだから。」
深雪が奥の壁に目をやった。
そこにはコーヒーカップと本が置かれているコタツがある。
「…もう少し…詳しく。」
よく見るとやたらと髪の長い小柄な男子学生がコタツに当たっていた。
その男子学生は全身をコタツの中に潜り込ませる格好でコタツから顔だけを出していた。髪の毛はまっすぐの癖一つない直毛で、顔全体を覆っている。異様に長い前髪の隙間から糸のように細くて少しつり上がった目がこちらをのぞいている。
「えー!」
亮介はびっくりした。
「いつからいてるんだよ!」
「…いつからって…僕は…ずっと…いましたよ。」
「いやいや、そんなことはないって。だって、部屋に入った時は誰もいなかったし。」
「いや、…あなたが…ガダラって?呟いた時からずっと…いました。」
「はぁ?なんで?全く気配がなかったよ。」
「…きちんと…挨拶は…しました。」
「部長は、存在感が皆無な人だから。私も時々見失うよ。」
深雪がコタツにあたりながらいった。
「この人は部長の門田さん。」
「…こんにちは。」
門田は訝しげに細くつり上がった目線だけをこちらに向けて、小さく首を折った。