第70話
文字数 574文字
アイスコーヒーの氷をかき混ぜながら亮介は尋ねた。
「いくら小さな町だからと言ってもたった一人のおっさんを見つけ出す事なんてなかなかできることじゃないよ」
「それはそうなんだけどねー」
深雪はお茶を一口飲んだだけでペットボトルの蓋を閉めている。
「…どうします…」
「もう諦めて帰ろうぜ」
亮介は打ち切りを提案した。
「だめ。絶対にだめ。だってこの数珠に興味を示すなんてそんなにあることじゃないと思う。あのおっさんは必ず何か知ってると思うの」
「いやでも、こんな闇雲に探してもらちがあかないぜ」
「それはまぁ、そうなんだけど」
手詰まり。全く次の手段が見つからない。重い沈黙に四人は包まれた。
作業着姿の男が会計を済ませて店を出ていった。それとすれ違うように上下スウェットにサンダル履きの男が店に入ってきた。その男は店の中を一瞥すると窓際の雑誌のコーナーに足を運んだ。何気ない普通の光景だ。
「困ったねぇ」
「…困りましたね…」
「うーん」
四人は机を囲み頭を抱えている。その時、
「中川?」
と声をかけられた。
亮介が顔を上げてみるとそこにはさっき店に入ってきたスウェットの男が立っていた。
亮介はその顔に見覚えがあった。
「緒方さん!」
ほんの数日前までスーパーマルカツで亮介と一緒に働いていた唯一のヒラ社員だった緒方だった。
「いくら小さな町だからと言ってもたった一人のおっさんを見つけ出す事なんてなかなかできることじゃないよ」
「それはそうなんだけどねー」
深雪はお茶を一口飲んだだけでペットボトルの蓋を閉めている。
「…どうします…」
「もう諦めて帰ろうぜ」
亮介は打ち切りを提案した。
「だめ。絶対にだめ。だってこの数珠に興味を示すなんてそんなにあることじゃないと思う。あのおっさんは必ず何か知ってると思うの」
「いやでも、こんな闇雲に探してもらちがあかないぜ」
「それはまぁ、そうなんだけど」
手詰まり。全く次の手段が見つからない。重い沈黙に四人は包まれた。
作業着姿の男が会計を済ませて店を出ていった。それとすれ違うように上下スウェットにサンダル履きの男が店に入ってきた。その男は店の中を一瞥すると窓際の雑誌のコーナーに足を運んだ。何気ない普通の光景だ。
「困ったねぇ」
「…困りましたね…」
「うーん」
四人は机を囲み頭を抱えている。その時、
「中川?」
と声をかけられた。
亮介が顔を上げてみるとそこにはさっき店に入ってきたスウェットの男が立っていた。
亮介はその顔に見覚えがあった。
「緒方さん!」
ほんの数日前までスーパーマルカツで亮介と一緒に働いていた唯一のヒラ社員だった緒方だった。