第101話

文字数 650文字

 ミランとルーシャは泣きながら二人に抱きついた。
「でも、これまでだ。私たちにこれ以上戦う力はない。」
 バルーザが続けた。
「後はアンタ達に任せたよ。」
 ミランがそれに答えた。
「わかった。任せておいて!二人はゆっくりと休んでいて。」
 ミランとルーシャは武器を構えなおし、空中に漂うマノコ本体に向き直した。
「本体が出てしまえばこっちのもんよ!」
 ミランが叫んだ。
「反撃開始ですね。」
 ルーシャがそう言うと、二人はマノコ本体に突進していった。モヤの本体は鋼鉄の液体となり二人の攻撃に耐える姿勢を取っている。時折、槍状になり二人に攻撃を加えてくる。
「もう見切ったって。」
 二人は難なくその攻撃をかわす。
「早くマイッタしなさい。」
 ミランが本体に向かって叫ぶ。しかし、本体は二人の攻撃を耐え続ける。
 何かおかしい。ミランは違和感を持った。今までのように自分達を倒そうとする気迫というか気配が全く感じられない。もしかして、時間稼ぎか?二人は攻撃をやめた。
「オイ!見てみろ!」
 門の中から亮介の声が聞こえた。
 麓の景色に目をやると、まっすぐに伸びていたモヤの筋が、まるで竜巻のように螺旋状に絡まってうねりだしていた。
「フワッはっはっはー。気づいたか。もうそろそろだな。アイツラが自らの意思で人間達を操り始めたのだ!フワッハッハ!」
「何だって!」
 亮介は歯をくいしばった。
「フワッハッハ。もう遅い。あれが意思だ。あのモヤが地面に到達した時、我々はこの地上の支配者となる。」
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