第23話

文字数 733文字

「とにかく、コバトの事はよろしくお願いしますね。」
「ちょ、そんな一方的な。」
「仕方ないのですよ。ある意味運命…」
 慶長が湯呑みに手をかけて、お茶を飲もうとしたその時、ガラっと突然寺務所の扉が乱暴に開けられた。
「ゴルァ!慶長!あんたお勤めサボって何やらかしとるねん!」
 物凄くドスの効いた声で恵が立っていた。
 以前あった時の格好とは違い、恵はラフな黒いキャミソールに青いカッターシャツを羽織っていた。相変わらず胸は豊かだ。キャミソールはその豊かな胸を覆ってはいたが、お腹のあたりに空間がある。その豊かな胸に引っ張られ、キャミソールは短くなり、くびれた腰からほどよくしまったお腹のヘソがチラチラと見える。
 仁王立ちしているショートパンツから覗く長い足は白くて傷一つなく、程よい肉付きで真っ直ぐに伸びていた。
「ヒェ!」
「ボケァ!早くお勤めせんか!」
「ヒェー、分かりました。お許しを。今すぐ参ります!」
 恵の声は明らかに怒りがこもっていたが、同じ部屋にいる亮介に気づくと、急に声色がかわった。
「あら、亮介さん。いらっしゃったのですね。」
 この変わり身の早さに亮介は
「こ、こんにちは」
 と挨拶をするだけで精一杯だった。
「チョット失礼します。」
 と言って恵は慶長の剃り上げられた頭を両手で掴み、乱暴に部屋から引きずりだした。
「痛い!痛いですよ。」
「やかましいわ!こんなんだからアンタはまだまだ中途半端な除霊しかできない半人前なのよ!」
 部屋の扉の前まで連れていかれた慶長は
「とにかく、貴方は選ばれたのです。コバトのことをよろしくお願いしますー!」
 と叫んで、その場から消えていった。
 亮介は少しぬるくなったお茶を一気に飲み干した。
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