第45話 結婚を前提に付き合いたい朔と年の差を気にする菜月
文字数 838文字
朔の言葉をさえぎって菜月が言った。
「私が何歳だかわかってる?」
えぇと、十一歳上だから、
「二十七歳、ですか」
「そうよ。四捨五入したら、もう三十よ」
あぁ、そういうことかと納得する。女性の二十代後半といえば、結婚を意識する年頃だ。
つまり、先のわからない恋愛などしている暇はないということか。そこで、朔は言った。
「それなら、結婚を前提に付き合ってください」
菜月が、呆気に取られたように朔を見つめる。
「僕じゃ、駄目ですか?」
自分のようなガキは恋愛対象にならないということか……。すると、菜月が言った。
「私は君より十一歳も年上なのよ」
「はい」
「普通は同級生とか、もっと年の近い子と付き合うものでしょう?」
「それは、人それぞれなんじゃないかと」
「学校に好きな子はいないの?」
「先生も知っているように、高校は、ほんの少し通っただけで休学しちゃったし、中学のときもいなかったし、僕は先生以外に好きになったことはありません」
菜月が、ため息をついてから言った。
「じゃあ、もしかして、私が初恋、とか」
「そうです」
「だったら、やっぱり駄目よ」
「何がですか?」
「君は、もっと普通の恋愛をしないと」
朔は、猛然と反論する。
「普通の恋愛ってなんですか? 年の差がないことが普通なんですか? 先生が好きだとどうして駄目なんですか?」
「それは……」
「それは、つまり、僕のことが好きじゃないからですか?」
朔は後悔の念に駆られる。やっぱり告白なんかするんじゃなかった。
何も言わなければ、このままずっと一緒にいられたのに。もしも断られたら、菜月に、もう会えないと言われたら、自分はこれからどうすればいいのか……。
だが、涙ぐみそうになっている朔に、菜月は言った。
「そんなことはないわ。影森くんのことが好きよ」
「あ……」
「初めはもちろん、生徒として見ていたけれど、長く接しているうちに、いつの間にか……。でも、あなたはまだ未成年だし、私は十一歳も年上なのよ。
こんなこと、世間的に許されるはずがないわ」
「私が何歳だかわかってる?」
えぇと、十一歳上だから、
「二十七歳、ですか」
「そうよ。四捨五入したら、もう三十よ」
あぁ、そういうことかと納得する。女性の二十代後半といえば、結婚を意識する年頃だ。
つまり、先のわからない恋愛などしている暇はないということか。そこで、朔は言った。
「それなら、結婚を前提に付き合ってください」
菜月が、呆気に取られたように朔を見つめる。
「僕じゃ、駄目ですか?」
自分のようなガキは恋愛対象にならないということか……。すると、菜月が言った。
「私は君より十一歳も年上なのよ」
「はい」
「普通は同級生とか、もっと年の近い子と付き合うものでしょう?」
「それは、人それぞれなんじゃないかと」
「学校に好きな子はいないの?」
「先生も知っているように、高校は、ほんの少し通っただけで休学しちゃったし、中学のときもいなかったし、僕は先生以外に好きになったことはありません」
菜月が、ため息をついてから言った。
「じゃあ、もしかして、私が初恋、とか」
「そうです」
「だったら、やっぱり駄目よ」
「何がですか?」
「君は、もっと普通の恋愛をしないと」
朔は、猛然と反論する。
「普通の恋愛ってなんですか? 年の差がないことが普通なんですか? 先生が好きだとどうして駄目なんですか?」
「それは……」
「それは、つまり、僕のことが好きじゃないからですか?」
朔は後悔の念に駆られる。やっぱり告白なんかするんじゃなかった。
何も言わなければ、このままずっと一緒にいられたのに。もしも断られたら、菜月に、もう会えないと言われたら、自分はこれからどうすればいいのか……。
だが、涙ぐみそうになっている朔に、菜月は言った。
「そんなことはないわ。影森くんのことが好きよ」
「あ……」
「初めはもちろん、生徒として見ていたけれど、長く接しているうちに、いつの間にか……。でも、あなたはまだ未成年だし、私は十一歳も年上なのよ。
こんなこと、世間的に許されるはずがないわ」