第55話 来客と硬い表情の望と朔を呼びに行く陽太
文字数 543文字
翌日の午後、スーパーで買い物をして戻ると、洋館の前に車が停まっていた。来客とはめずらしい。
それで、リビングルームには行かず、直接キッチンに行って食材を冷蔵庫にしまっていると、松葉杖をついて望がやって来た。
「お客さんですか? お茶淹れますか?」
だが、いつになく硬い表情をした望が言った。
「うぅん。お茶はいいけど、朔ちゃんを呼んで来てくれるかな」
「はい……」
だが、昨日の余波なのか、朔は今日も体調がすぐれないようで、部屋にこもっている。
「朔さん、起きられますかね」
「お客さんが来てるから、どうしても起こしてほしいんだ。『蜂須さん』が来てるって言えばわかるから」
「『蜂須さん』、ですか」
「それから、買って来たものを片付けたら、今日は帰ってもらっていいから」
「……はい、わかりました」
ドアをノックしてから声をかける。
「朔さん。陽太ですけど、開けてもいいですか?」
予想通り、返事はない。
「すいません、開けますね」
入って行くと、朔がベッドの中で寝返りを打って、うつろな目でこちらを見た。やはり、顔色はよくない。
「望さんが、お客さんが来ているから下に来てくださいって言ってます」
返事がないので、陽太は言った。
「蜂須さんっていう方だそうです」
「……え?」
その瞬間、朔の表情が変わった。
それで、リビングルームには行かず、直接キッチンに行って食材を冷蔵庫にしまっていると、松葉杖をついて望がやって来た。
「お客さんですか? お茶淹れますか?」
だが、いつになく硬い表情をした望が言った。
「うぅん。お茶はいいけど、朔ちゃんを呼んで来てくれるかな」
「はい……」
だが、昨日の余波なのか、朔は今日も体調がすぐれないようで、部屋にこもっている。
「朔さん、起きられますかね」
「お客さんが来てるから、どうしても起こしてほしいんだ。『蜂須さん』が来てるって言えばわかるから」
「『蜂須さん』、ですか」
「それから、買って来たものを片付けたら、今日は帰ってもらっていいから」
「……はい、わかりました」
ドアをノックしてから声をかける。
「朔さん。陽太ですけど、開けてもいいですか?」
予想通り、返事はない。
「すいません、開けますね」
入って行くと、朔がベッドの中で寝返りを打って、うつろな目でこちらを見た。やはり、顔色はよくない。
「望さんが、お客さんが来ているから下に来てくださいって言ってます」
返事がないので、陽太は言った。
「蜂須さんっていう方だそうです」
「……え?」
その瞬間、朔の表情が変わった。