第64話 バレンタインデーのお返しと震える手でリボンをほどきお礼を言う菜月
文字数 906文字
ホワイトデーには、何か特別なものを贈りたいと思った。本当は指輪を贈りたいのだが、サイズがわからないし、それは正式に結婚することが決まったときでもいい気がした。
ネットでいろいろ検索しているうちに、ムーンストーンという、月の名前がついた乳白色の半貴石があることを知った。
これだ。そう思い、いろいろ探した結果、ネットショップでブルームーンストーンという、青みを帯びた光を放つムーンストーンを見つけ、ペンダントを購入した。
バレンタインデーのお返しに、今度は朔の部屋でもてなしたいと思った。あいにく、ホワイトデーの翌日は中学校の卒業式で、菜月はその準備があるというので、前日の日曜日に来てもらった。
「ここに来るのは二度目ね」
ホワイトデーにふさわしく、白いモヘアのニットを来た菜月が微笑む。朔は言う。
「もっと来てください」
本当は、泊まって行ってほしいし、出来ることなら、ここで一緒に暮らしたい。だが、菜月は微笑んだだけで、何も言ってくれないので、少し寂しい。
朔は、気を取り直して言う。
「僕は料理が出来ないから、お寿司の出前を頼んだんですけど、もうすぐ来るはずです」
「そう。お寿司は大好きよ」
「よかった。デザートもあります」
「そう」
菜月がにっこり笑う。向かい合ってソファに腰かけながら、朔は言った。
「それから、本当は食事の後で渡したほうがいいのかもしれないけど」
それまで待ちきれそうにないので、クッキーの包みとともに、ペンダントの入ったケースを差し出す。
顔を上げた菜月に言う。
「バレンタインデーのお返しです。開けてください」
「……ありがとう。いいの?」
「もちろんです」
菜月はさっそく、テーブルの上でケースにかかったリボンをほどき始めた。心なしか、手が震えているように見える。
「あ……」
ケースを開けた菜月は、じっとペンダントを見下ろしている。
「あの、気に入ってもらえるかどうか自信がないんですけど、ブルームーンストーンっていう石です」
菜月の頬が、さっと赤らんだ。
「とってもきれい」
「どうですか? 気に入ってもらえました?」
菜月が、泣き笑いの表情で言った。
「とてもうれしいわ。どうもありがとう」
ネットでいろいろ検索しているうちに、ムーンストーンという、月の名前がついた乳白色の半貴石があることを知った。
これだ。そう思い、いろいろ探した結果、ネットショップでブルームーンストーンという、青みを帯びた光を放つムーンストーンを見つけ、ペンダントを購入した。
バレンタインデーのお返しに、今度は朔の部屋でもてなしたいと思った。あいにく、ホワイトデーの翌日は中学校の卒業式で、菜月はその準備があるというので、前日の日曜日に来てもらった。
「ここに来るのは二度目ね」
ホワイトデーにふさわしく、白いモヘアのニットを来た菜月が微笑む。朔は言う。
「もっと来てください」
本当は、泊まって行ってほしいし、出来ることなら、ここで一緒に暮らしたい。だが、菜月は微笑んだだけで、何も言ってくれないので、少し寂しい。
朔は、気を取り直して言う。
「僕は料理が出来ないから、お寿司の出前を頼んだんですけど、もうすぐ来るはずです」
「そう。お寿司は大好きよ」
「よかった。デザートもあります」
「そう」
菜月がにっこり笑う。向かい合ってソファに腰かけながら、朔は言った。
「それから、本当は食事の後で渡したほうがいいのかもしれないけど」
それまで待ちきれそうにないので、クッキーの包みとともに、ペンダントの入ったケースを差し出す。
顔を上げた菜月に言う。
「バレンタインデーのお返しです。開けてください」
「……ありがとう。いいの?」
「もちろんです」
菜月はさっそく、テーブルの上でケースにかかったリボンをほどき始めた。心なしか、手が震えているように見える。
「あ……」
ケースを開けた菜月は、じっとペンダントを見下ろしている。
「あの、気に入ってもらえるかどうか自信がないんですけど、ブルームーンストーンっていう石です」
菜月の頬が、さっと赤らんだ。
「とってもきれい」
「どうですか? 気に入ってもらえました?」
菜月が、泣き笑いの表情で言った。
「とてもうれしいわ。どうもありがとう」