第4話 人生初のアルバイト
文字数 592文字
「そうか……」
呆れられるかと思ったのだが、望は言った。
「君もいろいろ大変なんだね。でも、それなら、うちがちょうどいいんじゃない? 朔ちゃんもコミュ障だし」
何がちょうどいいのか、それと朔のコミュ障がどう関係するのか、今一つわからないし、こんな感じで決めてしまっていいのだろうかと思ったが、彼は言った。
「じゃあ、アルバイト代のことだけど」
どうやら、陽太は面接に合格したようだ。あるいは、選り好みしていられないほど困っているのかもしれない。
陽太は一度もアルバイトをしたことがないので、アルバイト代の相場がわからないが、それでも、彼が提示した金額は、かなり破格だと思う。まだ陽太が役に立つかどうかもわからないというのに……。
ただ一つわかったのは、望が恐ろしく天然らしいということだ。それは、陽太でさえ心配になるくらいに。
考え込んでいる陽太に、望が笑顔で言った。
「さっそくだけど、今から用事を頼んでもいいかな」
「あっ、はい」
今日も祖母の家の掃除と洗濯をしてから出て来たので、この後は何もやることがない。望が、ほっとしたように言った。
「よかった。実は、食材のストックが底をつきかけてるんだよね。そこのスーパーまで買い物に行って来てほしいんだ」
「はい」
「じゃあ、買ってもらうものを言うからメモしてくれる?」
「はい」
そうして、陽太の人生初のアルバイトが、いきなり始まったのだった。
呆れられるかと思ったのだが、望は言った。
「君もいろいろ大変なんだね。でも、それなら、うちがちょうどいいんじゃない? 朔ちゃんもコミュ障だし」
何がちょうどいいのか、それと朔のコミュ障がどう関係するのか、今一つわからないし、こんな感じで決めてしまっていいのだろうかと思ったが、彼は言った。
「じゃあ、アルバイト代のことだけど」
どうやら、陽太は面接に合格したようだ。あるいは、選り好みしていられないほど困っているのかもしれない。
陽太は一度もアルバイトをしたことがないので、アルバイト代の相場がわからないが、それでも、彼が提示した金額は、かなり破格だと思う。まだ陽太が役に立つかどうかもわからないというのに……。
ただ一つわかったのは、望が恐ろしく天然らしいということだ。それは、陽太でさえ心配になるくらいに。
考え込んでいる陽太に、望が笑顔で言った。
「さっそくだけど、今から用事を頼んでもいいかな」
「あっ、はい」
今日も祖母の家の掃除と洗濯をしてから出て来たので、この後は何もやることがない。望が、ほっとしたように言った。
「よかった。実は、食材のストックが底をつきかけてるんだよね。そこのスーパーまで買い物に行って来てほしいんだ」
「はい」
「じゃあ、買ってもらうものを言うからメモしてくれる?」
「はい」
そうして、陽太の人生初のアルバイトが、いきなり始まったのだった。