第12話 朝食と待遇の悪いレストランと同棲の提案
文字数 822文字
翌朝、キッチンで朝食の支度をしていると、パジャマのままの朔が入って来た。
「おはよう。トーストでいい?」
朔は眠そうに目をこする。
「悪いな」
「いいって。いつものことだろ」
マンションに泊まった翌朝は、いつも望が朝食を作ってから、朔を起こしていた。
朔が微妙な表情をして目を伏せたが、望はかまわず話しかける。
「このキッチン、広くて明るいし、すごく使いやすいね」
「そうか」
言いながら、朔は食卓の椅子を引いて座る。
「朔ちゃんは、まだキッチンは使ってないか」
「まぁな」
手早く作業をしながら話しかける。
「ここに来て何日になるの?」
「三日。いや……今日で四日目か」
顔だけちらりと振り向いて聞く。
「その間、ずっと食べてなかったの?」
「まさか」
そう言いながら、それきり何も言わない。
「……ふぅん」
なんだか釈然としない。
向かい合って座り、トーストとサラダとスクランブルエッグの朝食を取る。自分一人ならばベーコンエッグにするところだが、朔は目玉焼きが苦手なのだ。
バターをたっぷり塗ったトーストを頬張りながら、望は尋ねる。
「朔ちゃん、これからずっとここで暮らすの?」
「そのつもりだけど」
「一人で?」
「当たり前だろ」
「二階に部屋いっぱいあるよね」
もの問いたげな表情でこちらを見た朔に、望はにっこり笑いかけた。
「僕もここに住みたいな」
「何言ってる。仕事があるだろ」
望は、プチトマトを指でつまみながら言う。
「レストラン? あそこ、待遇悪いし、アパートの家賃も馬鹿にならないから、そろそろ辞めどきかなぁと思ってたんだ」
「こんな田舎に望が働けるようなところなんてないぞ」
「でも、ここなら家賃がいらないし」
呆れたような顔をしている朔に、逆に聞き返す。
「えっ、もしかして家賃取る気?」
「そんなこと言ってないだろ」
「やった! タダで住める」
朔があわてる。
「おい、住んでいいなんて言ってないだろ!」
「うれしいな、ついに朔ちゃんと同棲か」
「何を馬鹿なことを」
「おはよう。トーストでいい?」
朔は眠そうに目をこする。
「悪いな」
「いいって。いつものことだろ」
マンションに泊まった翌朝は、いつも望が朝食を作ってから、朔を起こしていた。
朔が微妙な表情をして目を伏せたが、望はかまわず話しかける。
「このキッチン、広くて明るいし、すごく使いやすいね」
「そうか」
言いながら、朔は食卓の椅子を引いて座る。
「朔ちゃんは、まだキッチンは使ってないか」
「まぁな」
手早く作業をしながら話しかける。
「ここに来て何日になるの?」
「三日。いや……今日で四日目か」
顔だけちらりと振り向いて聞く。
「その間、ずっと食べてなかったの?」
「まさか」
そう言いながら、それきり何も言わない。
「……ふぅん」
なんだか釈然としない。
向かい合って座り、トーストとサラダとスクランブルエッグの朝食を取る。自分一人ならばベーコンエッグにするところだが、朔は目玉焼きが苦手なのだ。
バターをたっぷり塗ったトーストを頬張りながら、望は尋ねる。
「朔ちゃん、これからずっとここで暮らすの?」
「そのつもりだけど」
「一人で?」
「当たり前だろ」
「二階に部屋いっぱいあるよね」
もの問いたげな表情でこちらを見た朔に、望はにっこり笑いかけた。
「僕もここに住みたいな」
「何言ってる。仕事があるだろ」
望は、プチトマトを指でつまみながら言う。
「レストラン? あそこ、待遇悪いし、アパートの家賃も馬鹿にならないから、そろそろ辞めどきかなぁと思ってたんだ」
「こんな田舎に望が働けるようなところなんてないぞ」
「でも、ここなら家賃がいらないし」
呆れたような顔をしている朔に、逆に聞き返す。
「えっ、もしかして家賃取る気?」
「そんなこと言ってないだろ」
「やった! タダで住める」
朔があわてる。
「おい、住んでいいなんて言ってないだろ!」
「うれしいな、ついに朔ちゃんと同棲か」
「何を馬鹿なことを」