第35話

文字数 3,090文字


源三郎江戸日記(弟二部)35

お峰がもどって来たので、お滝が席を外しますと言うと、源三郎が構わん、そこに座っておれと言つたのです、源蔵が持ってきた寿司を食べて、中々美味いのおと言うと、千葉の、
港で売っていたので買うて来たのじあ、お峰殿、お滝殿も食しなされと言ったのです、わざわざ来てくれすまんのおと言うと、船で千葉まで来て馬でくれば一日でここまで来れ、
る江戸にはおらん事はわかっておったので、

大阪より千葉に直接来たのじあ、千葉の沖に船は泊めてある、そこにはご家老に進呈する1万2千両を積んでいる、ここにはとりあえず5千両を持参した、治水には金がかかるだろう、
と言って、後は玄海屋の蔵に7千両ははこんで置くと言うので、お主の分ははと聞くと3千両がわしの経費として貰ろうた、これは銭屋から前田行部への賂金3000両の書付じあ、もう、
一つは抜荷の加賀藩への受け渡し状じあ、

銭屋は一旦前田行部に受け渡し、加賀藩御用達として江戸まで運び、江戸の蔵に納め、銭屋が裏の主人である江戸の廻船問屋直江屋が加賀藩から購入する形で今回は2000両が加賀藩、
の利が出るようにしてあるのだ、表面はそうじあが3000両は行部の懐に入るなつている、銭屋の品が抜荷かはわからないわけじあ、品物は2万両分あったぞ、銭屋はこの荷を江戸で、
さばき1万両の利を得るので、

利益を折半していると言う事じあな、今回は1万両分を陸路で運び、残りの品は加賀藩能登の倉庫に隠して来月江戸に運ぶと言う事になっておったのじあ、峠で荷駄を襲い、荷駄ごと、
運び用意してあった船でわしの千石船に積み込み、荷馬車は海に沈めて、馬は放した、次に直江津沖に泊まっていた銭屋の船を夜に襲い、全員縛り上げて、積荷をわしの船に移し変、
えて博多に運び処分した、

峠での襲撃は炸裂弾に眠りクスリを仕込ませ投げつけて眠らせたので怪我人は無い、この書付は番頭がもっておった、全員縛り峠の少し下の農家の空家に転がしておいた、次の宿場、
に荷がつかないので街道を探して奴らを見つけただろう、念のため覆面を全員被っていたので山賊だと思ったはずだ、面は割れないぞと話すので、それは又念のいった事じあなと笑、
うと、

お滝がご家老は盗賊の頭なんですかと言うので、いいや、これには訳があるんじあ、加賀藩を主席家老前田行部から取り返して前田公にお返しするための計略なんだよ、書付だけ、
奪えばその計略が発覚して、行部は前田公を亡き者にするかもしれんので、計略を実行するまでは知られてはならない為じあと言うと、なぜ前田様をお助けになるのですかと聞くと、
稲葉様の後ろ盾、

天満屋を追い詰めるためじあ、天満屋の後押しがなければいかに老中の稲葉様も悪さをやめるしかないじあろう、稲葉様がいなくなり柳沢様になって、柳沢様が権力を一手に握られ、
ても困るわけじあよと言うと、銭屋と前田様とは天満屋とどういう関係がと聞くので、天満屋は札差じあ、加賀藩の御用達からはずせば100万石がフイになるじあろう、行部を失脚、
させれば、

前田公は政を自分の手にとり戻せるので、わしの言う事を聞いてくださるわけじあ、すでに紀州公からは、いつでも天満屋を御用達からはずしてくださる、内諾を得ておると言うと、
何とそのような事をわたくしめに話してよろしいのですかと聞くので、そなたはわしの側室であろう、それが裏切るはずはなかろうというと、そうですが、普通は奥方様といえ藩の、
大事は話さぬものですというので、

これが漏れれば又違う手を考えれば良いのじあよ、手は一つではない、世を正す為には色々な方法があるのじあと言うと、恐れ入りましたと頭を下げるので、お峰が旦那様は敵以外、
には隠し事はなさらぬのじあよと笑ったのです、ともかく助かった、この書付があれば行部を隠居に追い込めるぞと言うと、命の恩人なればたやすい事よ、又中あれば世直しの手伝、
いをさせてくれと言うので、

きょうはここに泊まっていけというと、宜しくたのむと言うので、それではと杯を重ねたのです、水路の事を聞くので、話すと、ほうそれは又水路が街道になり庭園にもなるのか、
それで大勢の人を呼び込みこの水路沿いの町並みを繁盛させようと言う事かと驚くと、お峰が今日考えついたのでしょう、資金も手に入りおめでとう御座りますと言うと、そうよ、
良い時に源蔵が金寸を持って来てくれたと笑うと、

悪人から取り上げて領民の為におつかいなさるのですね、何と都合の良い事でしょうとお滝が言うので、お峰が旦那様の側室になって良かったでしょうと言うと、ハイ、一生離れ、
ませぬと言ったのです、それでは源蔵勝どきを上げに行こう、何人いるのじあと聞くと、配下5人に船子5人だと言うので、それなら飯場には旅籠もあるぞ、お主はここに泊まり、
配下と船子は飯場に泊まれば良い、

女郎屋もあり良い女子もいるぞと言うと、そうか、それは配下も喜ぶだろうと言うので、それでは行くぞといって、いってくるぞと言うと、玄関まで見送ったのです、源蔵の配下に、
久しぶりじあな、手柄を立てたそうじあな、今日はわしがみなを慰労しょう、良い女子も沢山おるぞと言うと、小頭がご家老も元気そうですね、それでは腰が抜ける程女子を抱きま、
すと言うと、配下がお~と言って喜んだのです、

七衛門を呼びお前も来いと言うと、これは源蔵様と言うので玄海屋も大層な手柄を立てたそうではないかと源蔵が言うと、その自慢話をいたしますと言うと、源蔵が聞かせてくれと、
笑つたのです、馬に乗り配下も引き連れて飯場に向かつたのです、程なくめしやに着くと富蔵達がまっていたので源蔵達を紹介すると女将がまあ大勢様ですねと言うと、今席を作り、
ますと言って、

お前たちこちらはみんな立って、こっちにうつりなさい、すこし窮屈だがご家老様に席を開けておくれと言うと、ヘイ、ご家老様にみなさんお座りなさいませと言うので、すまんな、
あと言うと、いいえ、みんなで固まって飲むのもいいもんです、お陰で昼飯のうなぎは美味かったでやんす、ありがとうごやいやしたと頭を下げるので、わしらに気を使わず陽気に、
やってくれ、

わしからみんなにお銚子2本を驕るぞ、おふくみんなにお銚子2本つけてくれ、勘定はわし持ちじあぞと言うと、ハイ、ありがとうございます、ご家老のおごりだ心して飲めよと言う、
と、みんながおふくに、ハハハ~と言うので、源蔵達が大笑いしたのです、小上がりに源蔵、富蔵、七衛門、熊吉を座らせて、小頭何でも好きに飲み食いしろ、腹一杯なったら女郎、
屋に行くのだ、

女将、旅籠と女郎屋に言うて大勢行くので女の用意を頼む、足りなければ佐倉の城下からでも呼んでくれと言てくれと言うと、25人からいますので大丈夫ですよというと、店を出て行、
ったのです、おふくがいらっしゃいと酒を出して、うなぎも出しますと言うので、ほうそんなに取れたのかと聞くと、留吉が50匹も持って来てくれたのですよ、後15匹の残っています、
と言うので、

それでは70人もうなぎを食ったのかと言うので、大きいのは6つ取れますので、110人分ありましたと言うので、留吉にあんまり取ると印旛沼からうなぎが消えるぞと言っておけと言、
うと、何でも1000匹以上いると言うていましたがと言うので、そんなにいるのかと笑い、みんなで杯を重ねると、源蔵がうなぎがそんなに美味いのかと言うので、まあ食してみろと、
言ったのです、

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