第16話

文字数 2,866文字


源三郎江戸日記(弟二部)16

賦役は大名に余禄を持たせないように、財力をそぐのが目的なれば、何万両もの借財のある大名に押し付けては財政を破綻させるのに等しいと思いますと言うと、そうか、それなら、
命令ではなく余が上杉治憲に頼めば良いではないか、また、それを上手くいかせるための費用は全額幕府が持つ事にして、上手く行けばその流失した3万石を上杉の飛び地として永大、
管理させれば、

上杉15万石はそのままで実収が増えて、財政改革も早く終るじあろうと言うと、稲葉が上様が一大名にお願いするとは上様の威厳が地に落ちますと言うと、何を言うかそなたの失敗、
からこうなったのじあ、そう思うならそなたがやるのかというと、それがしでは出来ませぬと言うと、余計な口を挟むなというので、ハハ~と頭を下げたのです、いいか吉保使いは、
上使ではないぞ、

通常は上屋敷に使いを出しいいつけるが、今回は使者を参勤交代で国元にいる治憲にその源三郎にらせるように頼むじあぞと言うと、柳沢が早速使者をたてますると言うと、その使者、
にすでに方法があるのなら教えよ、まだないのなら考えて方法が見つかったら余に教えよともうせ、余に教えても他にやらせる事はない、あくまでも源三郎にやってもらうと伝えよと、
言って、

稲葉は老中は罷免しないが、暫く登城停止を申し付ける、国元に返り決壊した堤の修復をせよ、田畑を失った者供えの救済金は、3万石と言えば6千両あまりだ、天満屋とそなたが負担、
してさげ渡すのじあ、又源三郎が現地に入った場合助力せよ、早急にやるのじあ、怠れば佐倉藩は改易、天満屋は家財没収の上島流しとする、しかと、申しつけたぞ下がれと言うと、
ハハ~と言って稲葉は御座所を出て行ったのです、

吉保して費用はいくら位かのと聞くと、およそ2万両位でしょう、1万両は幕府が下げ渡し、後の1万両は天満屋に出させるべきだと思いますと言うと、そうじあな、勘定奉行早速1万両、
を上杉の上屋敷に届けよ、天満屋に使いを出し同じように1万両を上杉の上屋敷にとどけさせよと言うと、米沢に使者を送ってからにした方が宜しいのではと言うと、バカメ引き受け、
させる為に先に金寸を渡すのじあ、

無理やり置いて来い、さすればわしの誠意が伝わるじあろう、かの家康公も自分が将軍になれたのは今いる外様大名のお陰だとして、外様大名の江戸出府の場合は内藤新宿または板橋、
宿、品川宿にお出迎えに行かれたのじあ、わしが外様大名に頼むのは幕府の権威が失墜するわけがないと言うと、みなが、おうせの通りに御座いますと頭を下げたのです、しかしその、
源三郎という者を旗本に迎えられないのかと聞くと、

柳沢がそれがしが1000石にて旗本に取り立ててもらえるように上様にお頼みするがと言いましたが、正座が苦手で必ず上様の勘気にふれて切腹を申し付けられるので勘弁して欲しいと、
断られましたと言うと、何正座で切腹じあと、そんな事するものか、正座が苦手なら余もあぐらをかけば良いであろう、しかし、それで断るとは愉快な奴よのう、堅苦しい事が嫌い、
のじあろう、

その内余が会いに行ってやるわいと言って、吉保そなたからも源三郎に頼んでくれというので、必ず引き受けさせますと言うと、これでひとまず安心じあなと言って御座所を下がった、
のです、土屋正信が言うた通りになりましたな、稲葉殿も良い薬になった事でしょう、春日局殿の甥をひけらかすとこう言うめにあうと言う事ですか、その源三郎は引き受けますかな、
と言うので、

多分相模屋に干拓した新田を守る為に堤を築くように言うた時には、上手く行く方法を考え付いているのだと思いますと言うと、しかし、どのような方法で御座ろうかと言うと、柳沢、
がそれがし凡人にはとうてい分かりませぬというと、益々会いたくなりましたよと言うと、立ち上がり、稲葉殿が邪魔をしなければ良いがと言って部屋を出て行ったのです、柳沢は、
邪魔か、

奴の事だ絶対やるな、源三郎が方法を明かせば、多分、誰でも出来る事なんだろう、源三郎を抹殺して自分がやり手柄を横取りするかもしれんな、しかし、そんな事すれば恐ろしい目、
に会うじあろう馬鹿な奴じあと含み笑いをしたのです、勘定奉行みずから上杉の上屋敷に1万両を運び上様からの下れ物じあ受け取るが良いと言うと、何故でござますかと次席家老が、
聞くと、

ともかく受け取るのじあと言うと、おいて帰ったのです、天満屋は幕府の使者が即座に上杉上屋敷に1万両を届けよ、出来ない場合は家財没収の上、八丈島に流罪にするとの下知を、
受けて、平伏して了承して、1万両を上杉屋敷に届けると、これも次席家老が驚くと、ともかく受け取ってもらわねばわたしの首が飛ぶのですと言うと、おいて帰り、稲葉の屋敷に行、
どういう事ですかと聞くと、

わしが退席した後に、言いつけられたのだろう、ともかく命は助かったのだよしとしろ、他に1万両用意しろ、流失した田畑の救済金が6千両、堤修復費に4千両だすのだ、あす国元、
に帰るぞ、上様の厳命だ、守らねば今度はわしは改易、お前は遠島になると言うと、これで10万両近く散在になりますと言うので、命あってのもの種だろう、今はだまって聞くしか、
ない、

わしはみんなの面前で上様に罵倒されたのだぞ、くそ~、これもみんな源三郎のせいだ、佐倉に来たら必ず軍勢で押し包み首をあげてやる、上手く行く方法さえ奴から聞けばわしが、
やれば良いのじあと言うと、天満屋が本当に首を上げられるのですかと聞くと、奴は100人程度の手勢で来るだろう、こちらは1000人は動員できるのじあ、負けるはずがないと言う、
ので、

そんな事すれば上様はお怒りなるのではと言うので、一揆鎮圧にかこつけてついでに抹殺すれば不慮の事故となる、わしの領地じあ、何ぼでも抹殺する方法はあると言い、天満屋、
がそうですね、殿様お願いしますよ、これ以上の出費は、店が傾きますというと、わかっておる、お前も家に帰り支度しろと言うので、天満屋は屋敷を下がり店にもどったのです、

それから10日後幕府の使者が米沢に着き治憲に面会すると、治憲が下座にすわるので、使者が上座にお座りくだされと言うので、何故で御座るかと聞くと、上使にあらずお頼みに、
来たので御座れば下座で結構出御座る、ところで村上源三郎殿はおられますかと聞くので、今呼びに行かせますしばしお待ちをといって腰元がお茶をだすと今回大雨により印旛沼、
より利根川まで作った用水路に、

利根川の水が逆流し決壊した為佐倉藩の3万石の領地の作付けした稲穂が全滅したので御座る、だれも手のうち用がなく解決策を村上殿に教えて貰いたく参上つかまったのでござる、
なにとぞ村上殿にお出まし頂き解決して欲しいとの上様のお願いにござる、勿論かかる費用は総て幕府がもち、又流失した3万石の領地は稲葉殿が上様に返上された為天領地に御座、
るが、

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