第36話

文字数 2,680文字


源三郎江戸日記(弟二部)36

いい匂いがして来たので源蔵がうなぎに何を付けてやいているのだ、良い匂いじあなと言うので、そうか、博多も川がありうなぎは取れるだろう、実はな溜まり醤油に砂糖を大めに、
酢と酒を加えて3回ひっくり返して焼くのだよ、こうすればうなぎの油が取れて、酒と酢が臭みを取り身をふっくらさせるのじあよ、うなぎに甘タレがしみこんで美味いのじあよと、
言うと、

これはお主が工夫したのかと聞くので、高鍋の婆様が川魚をこうやって煮て食わしてくれていたんじあが、鮒や鯉が泥臭くなかったのでうなぎも川魚じあろ、じあから美味く食せる、
のでは無いかと思ってやってみたら、これが美味いのじあよ、印旛沼には大きなうなぎがおると言うので、熊吉の女房に指南したのじあよと言うと、熊吉がお陰で店は大繁盛ですと、
笑ったのです、

女将が帰って来て、旅籠は21人、女郎屋にも言ってきました、いつでも良いそうですというので、うなぎを食ったら行くが良いと言うと、おふくがおまちと言って、うなぎの蒲焼を、
源蔵の配下と富蔵の配下に配ったのです、小上がりにも人数分出したので、さあ食えと言って箸をつけて、このうなぎは大きいな美味いと言うと、源蔵がなんじあこら本当にあの、
うなぎで御座るかと驚き、

小頭はじめみんながこれは美味い、美味いと喜んだのです、おふくタレを少し小さな蓋つきの、入れ物にいれてこぼれないようにしてくれと言うと、ハイと言って包んで持って来た、
ので、源蔵これをもって帰って博多ではやらせて、儲けろと言うと、これはかたじけないと受け取ったのです、富蔵達も今日は旅籠に泊まり、銭湯で汗を流せと言うと、ハイと返事、
したのです、

源蔵は惚れた女房がいるので、女郎屋にはいかんだろうと言うと、お主がいくならわしもいくぞと言うので、よし、わしも行こうというと、七衛門がご家老いいんですかと言うので、
たまにはいいだろう、これは内緒だぞと言うと笑っています、源蔵がよしわしも頑張るかと言うので、こやつ、商人になって一皮も二皮もむけたなと笑うと、金は使わないと墓まで、
もっていけんだろうと言ったのです、

小さな声で熊吉はと聞くと、勿論行きますよと言うと、女将がおまえさん、ご家老様が行くのでは付いていかねばなりませんぞと言うので、わかっている、ご家老の護衛だと言うと、
みんながくすくす笑ったのです、みんな食ったか出陣じあと言うと、おふくが女を買いに行くのに、出陣ですかとふくれるので、おふくふくれるな、お父さんは借りるぞと言うと、

お父っさんはどうでもいいんです、ご家老様が女郎屋に行くなんてと言うので、もう少し大人になったら、わしが情をかけてやろうと言うと、本当ですか嘘ついたらうなぎみたいに、
裁きますよと言うので、女将がご家老様になんて言う事をお手打ちになるわよと言うと、ご家老様にお手打ちになるなら、かまいません、どうぞ行ってらっしゃいませと笑ったの、
です、

源蔵、富蔵、七衛門に今日はわしの払いじあからなと言うと、みんながご馳走になりますと笑ったのです、女郎屋に行くと主人の半助がこれはご家老様もおいでくださるとはと言う、
と、皆様こちらへと言ってそれぞれ部屋に案内したのです、源三郎が部屋に入ると、信と言います、ようこそおいでくだされましたと言うので、あまり堅くるしくせんでも良い、
タダの遊び人じあと刀を預けると、

床の間の刀置きに載せて、傍に来てさあおひとつと酌をするので飲み干し、杯を渡しさあお信も飲めと酌をすると、お流れ頂戴しますと飲み干し、美味しい、うれしいご家老様の酌、
で飲むなんぞ初めてですもう一杯と酌をしたのです、お信は近在のものかと聞くと、ハイ、こんど上杉様のご領地になった、ここから2里離れた村が在所ですというので、お父っさん、
お母さんは達者なのかと聞くと、

はい元気でおります、今回の田畑流失で村を出るつもりだったんですが、ご家老様の手厚い救済で来年の取り入れまで飯が食えるそうです、堤の修復や水路の堤づくりでも一日2朱も、
のお手当てをもらい、着物やくわ、すき等の農機具に馬も買えたそうで、来年の田んぼの作業は随分楽になると元気を取り戻したと便りに書いてありました、そのご家老様とお話、
できるなんて嬉しいですと涙を流すので、

手ぬぐいを出して、これ、これ涙を拭くのじあと渡すと、済みませんと涙を拭いて、それでは、帯を解こうとするので、まだ帯びは解かずとも良いと言うと、そうですよねご家老様、
が女郎みたいな汚れた女子をお抱きになるはずはないですねと言うので、そんな事はない、まだ解かなくても良いと言うたまでじあ、ここに上がって女を抱かぬはずはないじあろう、

夜は長いもう少し話をしてからで、いいではないかと言うと、ハイと座りなおしたので、手酌にしようお信も飲めと言うと、ハイと言うと手酌して、ゴクゴクと飲み本当に美味しいと、
言うので、好きなだけ飲むが良い、ただし体を壊さぬ程度じあと言って、ここのうなぎは食べた事、あるかと聞くと、まだです、満員ですので暫くたってからにしょうと思っているの、
ですと言うので、

ここの者は何人いるのじあと言うと25人程いますと言うので、あぶれている者はと聞くと、大勢来ていただいたのでおりませんと言うので、若い者はと聞くと3人程ですというので、
それでは29人分を印旛屋に頼んでもってこらせてくれ、わしからじあと言えば必ず焼いてくれると言うと、みんなにご馳走くださるのでと言うので、そうじあ、酒の肴にもよいぞと、
いうと、

若衆にお信が頼んだのです、お信はどうして女郎屋にいるのじあと聞いて、言いたくなければ言わんでもよいぞと言うと、もう何年も前ですがここら一体が飢饉にになり年貢が払え、
なくなり、年貢を払う為に佐倉の女郎屋に身をうるしかなくなったのですと言うので、藩は減免しなかったのかと聞くと、ここのお殿様は幕府の偉い方だそうで国元にはいないそう、
で国家老が仕切っているのです、

嘆願しても聞いてもらえず、江戸の殿様に直訴しょうとしたら、発覚して5人が殺され、餓死した百姓も何人もいたのです、その年は大勢の女が佐倉や江戸に売られたのです、私は、
さくらに売られたのですが、そこの主人がひどいやっで、5年の年季で売られたのですが年季が明けても、着物、化粧、飯代や客のつけが残っているとして、返してくれないのです、
7年経ったときここの干拓がはじまり、

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