第7話

文字数 3,007文字


源三郎江戸日記(弟二部)7

お峰が入ってきて、名主共が集まりまして、大部屋に案内してありますと言うので、家人を含めて膳を用意しろ、下働きのものも、夕餉をとらせろと言うと、立ち上がり大部屋に行き、
上座に座り、今日良く来た夕餉を取りながら、話を聞こうというと、名主の得衛門に御座います、無事のお国入り、おめでとう御座いますと言うので、これより堅苦しい挨拶は抜きに、
せよ、

足は崩して、あぐらをかけと足を崩すと、お峰が酌をしたので、手酌で酒を注ぐが良い、と言うと注いだので、杯を重ねたのです、料理にも箸をつけよ、又用人をはじ家人、腰元達も、
遠慮なく食するが良いと言ったのです、おタミが殿様と一緒に御膳を頂くなんて始めてですと言うので、これよりはいつも一緒に食するのだ、我が家の家風なのだと言うと、もつたい、
ない事ですというので、

遠慮するなよと笑ったのです、名主の得衛門が私達も始めてで御座いますと言うので、お前達にはこれから頑張ってもらわねばならぬと言って、願いをだしても藩から聞いてもらえぬ、
そうじあが、改めて願いは持ってきたであろうなと言うと、これに御座いますと風呂敷包みをだすので受け取り、して総てをやるといくらかかるのじあと聞くと、およそ1000両に御座、
いますと言うので、

藩は1000両の金もないのか、一部の者は良い暮らしをしているらしいがと言って、ここに出ておる料理はおよそ2両かかっておる、補修の998両は藩が負担して明日よりやる事にする、
後の2両はそなた達で負担せよと言うと、名主みんながありがとうございます、二両はそれがし達で負担しますと言つたのです、どうだおタミこれで今日の食費がういたであろうと言、
うと、

みんなが大笑いしたのです、そなた達の言う事を聞いたのじあから、こんどはわしの言う事を聞いてもらいたい、今回財政改革として新田開発を行うが、これは禄の低い藩士にやって、
貰う事にする、我が藩には微禄のものが800人程いるが、強制ではないので約半数が希望するだろう、その開墾の費用は藩がもち、馬、くわ、すき等の道具も用意する、しかし人手が、
足りぬと思うので、

手を貸して欲しいのじあ、これは賦役ではなく手を貸してくれた者にはそれ相応の給金を支払う、又作付け等の指南も頼みたいのじあと言うと、お武家様が百姓をやりなさるのですか、
と聞くので、開墾した田は永大2分の年貢にするので、一人50石は見入りが増える事になり、暮らしもゆたかになるであろう、又農民の家族が食えぬので間引きしたり、外へ奉公へ行、
かずとも、

開墾した新田で働き給金を貰えば、お前達も豊かになるであろうと言うと、なる程妙策にござりますな、百姓が暮らしがよくなるのであればみなが協力するでありましょうと言うので、
宜しく頼む、尚この話はまだ誰にもしておらん、聞けば邪魔するやからもおるであろう、まだ内密になと言うと、ハイ、ご指示があるまでは胸にしまっておきますといったのです、

次に物産会所を設けてわしの直轄とする、ここで働く物も微禄の藩士の家族、隠居した者達である、まずは、焼き物、絹織物、木工芸品を作り、江戸にて販売する、引き受けてくれる、
のは玄海屋と言う廻船問屋だ、粘土、桐の木、樫の木、はそなた達から物産会所が買う事にする、又働きたいものがあれば給金を払うぞ、それぞれの専門家は江戸よりこの地に呼び寄、
せてあると言うと、

それも妙策に御座います、領内の名主で会合して協力するように致しますというので、これでいくばしか藩財政も豊かになるであろう、尚この為に2万両ほど開発資金は用意してある、
ので、そなた達には負担は一切かけんと言うと、それは凄い金寸ですな、それ位あればきっと成功しますと言ったのです、話は終った今日はゆつくり楽しみ、遠いものは当屋敷に泊、
まりあす帰るが良い、

帰ったらさつそく補修の用意をせよ、金寸は江戸より届いたら郡奉行に持たせて、それぞれの名主に渡すぞ、明日には専門家共々城に着くであろうと言ったのです、みんなは大喜び、
です、お峰が上手い策でございますなと言うので、まだ上手い策があるぞと言うと、これより町に繰り出して一門の息子共を締め上げて、今回の1000両を出させるのじあと言うと、

なる程これも奇策で御座いますなと言うので、お峰の腕が頼りじあというと、それでは着替えてまいりますと席をたったのです、おタミがついて行くと、お峰が若侍姿に着替えるの、
で何をされるのでと聞くので、ネズミ退治じあと言うと、そんな危ない事をと言うので、わたしは小太刀の名手じあ旦那様より強いのじあと言って、後は頼みますよと言うと大広間、
に行き、

旦那様支度は出来ましたと言うので、城下見物に行ってくるみなのものはゆっくりしろと言うと、用人が護衛をと言うので、そなた達の腕では護衛にならぬ、あしたから鍛えてやろ、
う、今日はゆつくり酒でものんでいろ、広田はもう帰ってもよいぞと言うと、それがしがそこまで案内いたしますと言うので、屋敷を出て町に歩いて行くと、この道を行くと城下の、
繁華街にでます、

奴らは白木屋と言う料理屋にたむろしていますと言うので、今日はご苦労であつたと言って広田と別れ、白木屋に向かったのです、中に入ると女将がおいでなされませと言うので、
どら息子達がたむろしている部屋の隣を用意してくれと言うと、おやめなされませ、いいがかりをつけられますよと言うので、わしは主席家老の村上源三郎だと言うと、これは、
ご家老様と頭を下げるので、

悪さをしているのであろうと言うと、代金を払ろうて下さりませぬ、屋敷に取りに来いと申されますので、お伺いすると門番におい返されますと言うので、わしが取りたててやろう、
芸子を5~6人呼んでくれと言うと、ハイ、飛び切りの芸子を呼びますと部屋に案内したのです、女中が酒と肴を持ってきたので杯を重ねると、騒いでいるらしく騒々しいので、お峰、
がまったく節操のない者達ですねと言ったのです、

芸者が5人来てありがとう御座いますと言って、傍に座り二人に酌をしたので飲み干し、なるべく景気良くやってくれと言うと、白菊、菊奴、椿、すいせん、ボタンに御座いますと、
挨拶して、ボタンが三味線を弾き4人が踊ったのです、踊りが終ると拍手をして中々の踊りだと褒めると、ご家老様だそうでこんごごひいきにと言うので、となりの連中はと聞くと、

一門を鼻にかけているどら息子達で、花代も払わないので置屋は困っているんですよと言うので、それは又ひどい連中じあなとお峰が言うと、こちらは又美男子ですねと言うので、
お峰がわたしは女子ですよと言うので、まあ、勇ましい格好ですねと言うと、となりのネズミを退治に来たのじあと言うので、これはわしの妻女お峰じあ、小太刀の名手でわしの、
護衛なのだと言うと、

これは奥方様ですか、失礼いたしましたと酌をするので飲み干し、これより、旦那様を宜しくなと笑ったのです、女将が入ってきてさつそく難癖を言っています、隣で三味線が聞、
こえるが、芸者がいるのだろう、こちらに回せと言っていますと言うので、わしの名前は出さず断ってくれ、ばかが怒ってここに来るだろうと言うとハイと言うと部屋を出て行っ、
たのです、
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み