第52話

文字数 2,719文字


源三郎江戸日記(弟二部)52

たまには夕餉は根岸で取ろうといって一旦根岸に戻ったのです、湯に入りさっぱりして部屋に行くと、夕餉の支度ができておりみんなで夕餉を囲んだのです、やはりもう江戸も寒いな、
と言って夕餉が終り、部屋に戻ると火鉢にその座卓を被せて上に布団を載せて足を入れたのです、お峰が部屋に入って来て、まあ炬燵では御座りませぬかいつの間にと言うので、簡易、
炬燵じあよと言うと、

中を覗いて、なる程火鉢と座卓に布団があれば良いわけですかと言って、私もと言うと足を入れて、ぬく、ぬくに御座りますなと言うと、上にのせる板を探してきますと言うと部屋を、
出て行き、程なく戻ってきて、小者に作らせましたと上に載せたのです、お膳の酒と杯を載せて酌をしたので飲み干し、暖かくて美味いと言って杯をお峰に渡して酌をすると飲み干し、
ここから出たくなくなりますと笑ったのです、

お律が入ってきてそれは何ですかと聞くので、炬燵と言うものだお前もはいってみろと言うと、足を入れてぬく、ぬくして暖かいと言ったのです、中を覗きなる程簡単ですね、私の、
部屋にも設けます、母上にも教えてあげましょう、源四郎と安兵衛も喜びますと言ったので、入る時はお茶を飲んで水分を補給した方が良いぞと言ったのです、 これなら夏には、
すぐに片付けられて良いですねとお峰が言ったのです、

女中のおおうめが入ってきて、深川の料理屋に柳沢様がお出でになっているとの事で、お越しいただきたいと言うてますがと言うので、上様に完成図書を見せたのだろう、それで来た、
のだな、叉何か頼むつもりなのかも知れんと言って、お伺いすると伝えなさいと言って、支度をして町籠を呼び、お峰に言ってくるというと根岸を出て深川に向かったのです、料理屋、
に着くと、

女将が柳沢様をはじめ土屋様、秋元様もご一緒ですと言うので、なんと、老中方が揃ってきているのか、何事じあと言うと、それぞれご用人様をおつれになり町籠でおいでになりまし、
たがと言って座敷に案内したのです、部屋に入り、村上源三郎に御座います、幕閣のご老中様が揃って何事で御座りますかと言うと、まあ一献と言うのと女将が酌をしたので飲み干し、
たのです、

今日そなたの差し出した用水路の完成図書を、上様がご覧になり中を見て大層お喜びになったのじあ、老中より褒美を取らせよと言う事なので、褒美を持って来たと言うわけじあよと、
言うと、それぞれの用人が源三郎の前に風呂敷包みを並べたると、柳沢が開けてみよと言うので、まず柳沢の物を開けると、遠眼鏡と25両包みが入っているので、これはプロシア製で、
すな、

これが一番良く見えるそうに御座います、これは嬉しゅう御座いますと言って、土屋の物を開けると和蘭の医学書と25両が入っています、これは和蘭の医学書に御座いますなと言うと、
土屋が最新のものじあそうだ何かの役に立つであろうと言うので、ありがとう御座ります、医術も進歩しているので御座りましょう、読むのが楽しみに御座りますと言って、秋山の、
物を開けると、

やはり和蘭の本と25両です、秋山が和蘭の人々の暮らし向き、使っている道具、農作業に使っている道具も書いてあるそうじあと言うので、これも最新版に御座りますな、ありがとう、
御座います、じつくりと読ませていただきますと答えたのです、気に入ってくれたか、よかった、金寸はわずかだが自由に使うと良いと言うので、この下されものは1000両以上の価値、
がありまする、

良い者を頂きましたと、頭を下げたのです、土屋様とは初めてでごさいますが、秋山様とは、久しぶりに御座います、と言うと、秋山が随分昔になってしもうたなと笑ったのです、土屋、
が秋山殿は何処で会われたので御座るかと聞くので、随分昔の事でござるがそれがしが江戸湾埋め立ての、普請差配をやっていたときに人足頭の富蔵が連れてきていたのでござる、その、
現場を巡察しましたら、

通常は海側には杭をすきまなく、打ち込み砂俵を入れて埋め立てるのですが、櫛の歯の如く飛び飛びに、杭が打ち込んでありますので、これでは海の水が入るではないかと申しましたら、
傍にいた源三郎が砂俵の分だけ、水位は上がりますが海は広いので、殆ど水位はあがらず、砂俵の容積分海水は、外側に押し出されるので、砂俵が外に落ちなければ良いのですといって、

こうすれば杭が少なくて済み、打ち込む手間が省けます、埋め立てが終ったもっとも、海に近い場所のも隙間なく杭を打てば、良いのではと言うので、なる程と思ったので御座る、その、
工法を富蔵に他の人足頭に教えるように言うたのです、そのお陰で20万両はかかると思われた、埋め立てが12万両で済み上様にお褒めいただき、老中になれたのです、老中になれたのは、
源三郎のお陰なのですよと話すので、

土屋がなるほど減三郎と出会うと、運が良くなるわけですな、今回は柳沢殿の運がよくなった、わけですなと笑ったのです、柳沢がそうですか、子供の頃から知恵が回ったので御座るか、
それで何か褒美を渡したのですかと聞くので、秋山が2分銀を渡して何か美味いものを買うがよいと言ったので御座る、その後に何に使ったか聞きましたら眼鏡を買うて、そのレンズで、
遠眼鏡を作ったと言うので、

それで何を見るのじあと聞きましたら、満月に筋みたいなものが見えるので、あれは何か知りたかったそうなのです、それは何だったのかと聞くと山と谷だったそうで、ここから見ると、
平らに見えるがこの星と同じに月には山も谷もあるのが分かったと喜んでいました、ウサギは小さすぎて見えぬそうで御座ると言うので、柳沢がその遠眼鏡だとウサギは見えるかのうと、
言うので、

あるいは見えるかも知れませぬなあと言ったのです、暫く歓談すると、柳沢が今日はご苦労であったもう下がっても良いぞと言うので、それてせは女子を呼びましょうと言って席を立ち、
部屋を出て女将に老中の席に3人芸子を呼んでくれと頼むと、ハイと返事して七衛門さんが待っていますと部屋に案内したので部屋に入ると、御老中方は何の用でござりましたと聞くの、
で、

褒美を持って来たそうじあと見せると、なる程ご家老が喜びそうな物ですなと言ったのです、フスマが空きこんばんわ、とあやめが入って来たので、お勝つ達は老中の部屋に行ったかと、
聞くと、ハイ、私はご家老の相手をと言われましたと言うと、二人に酌をしたのでハイを重ねたのです、明後日の米沢への出立ですがわたしがお供しますと言うので、そうか宜しく頼む、
と言うと、

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