第28話

文字数 2,669文字


源三郎江戸日記(弟二部)28

おまえのかみさんに言うて、どんぶりに飯を入れ、これを櫛から外して載せて、タレをかければうなぎどんぶりの出来上がりじあ、焼くのは炭でないと黒焦げにしてはいかんと言う、
と、これなら飛ぶように売れますよ、ありがとう御座いますと熊吉が言ったのです、留吉が捕まえて熊吉に売れば酒代くらいなるじあろうと言うと、ヘイ、親方おねげえしますと、
言ったのです、

うなぎは遠いルソンの沖で卵を産みそれが孵化して黒潮にのり大和の川にくるそうだ、大きくなっら叉ネソン沖に帰って卵を産み一生が終るわけだと言うと、留吉がここで大きくな、
ったらその子供は叉ここに来るんですかねと聞くので、分からんが今度聞いてみようというと、それじあ川の出口に関を作ると登れやせんので、印旛沼からうなぎがいなくなりやす、
と言うので、

そうか関をつくるとまずいな、利根川と同じ高さにしておかんと、魚がおらんようになるのか、何とかしょうと言ったのです、熊吉が鯉の滝登りと言うくらいですから、うなぎも関、
は登るんじあないですかと言うので、何匹かは登れるかも知れんが稚魚だから難しいだろうと言ったのです、留吉にうなぎ代だと2朱銀を渡すと、これでは多すぎやすと言うので、
いいんだよとっておけと言つたのです、

飯場の名物にしろ城下からも食いにくるだろう、酒の肴にも良いぞと言うと、ご家老は何でもできなさるのですねと言うので、武士を首になったら、お峰とうなぎ屋でもやろうかの、
うと言うと、お峰がハイ旦那様と笑ったのです、飯場には旅籠もあったがと聞くとそれは城下から女郎買いで結構人がくるのですよと言うので、城下にも女郎屋はあるだろうと聞く、
と、

人足の賃金が良いので、こちらの方が女郎は儲かるので、良い女郎はここにいるのです、それで城下から来るのですよ、佐倉藩の侍も大勢きますと言うので、それでは揉め事も多い、
だろうと言うと、それで相模屋の用心棒が役人の代わりをしていなさるんですよ10人が詰めていなさります、留吉景山の旦那を呼んできてくれと言うと、呼びに行き傍に来て、これ、
は村上殿と言うので、

どこかで会ったかなと言うと、瀬戸内の船ですよと言うので、おう、あの時船に乗っておつたのかと言うと、お陰でフカに食われずに済みました、あの時はかたじけないと言うので、
なあにたまたま通りかかっただけで御座ると言って、揉め事も結構あると聞いたがと言うと、佐倉藩の奴らは横暴なんですよ、金を払わず飲み食いをしたりしますので、懲らしめて、
いるわけですと言って、

峰うちですから死人が出た事は御座らぬというとので、仕返しには来ないかと聞くと、時々着ますがヘッポコ侍だらけと言うわけです、藩主が老中だとえばっていると言うわけです、
と言うので、闇討ちもあります気をつけなされと言うと、鎖帷子はつけていますと笑ったのです、この沼には他になにがいるのだと聞くと、鮒、鯉、なまず、ザリガニ、えび、すっ、
ぽんもいやすと言うので、

ほう沢山いるのじあな、それならここで養殖をやれば良い、うなぎは稚魚を川の入り口で捕まえて、この沼に杭を打ち一町部くらいの池を作りそこに放すのじあ、一網で数千匹はい、
るじあろう、天敵がいなければ生き残る確立が高いので数百匹は大人になる、江戸は人が増え続けているので、川も汚くなり魚も少なくなるじあろう、このうなぎを樽にいれて江戸、
まで運び、

先ほどの蒲焼を作り商えば大儲けできるぞと言うと、熊吉が成る程それはいいですね、あっしがやりますよと言うので、七衛門わしの預かり金をここの殖産に使こうてくれと言うと、
それは私が用立てしますよと言うので、寝かしておいても増えだろけう、貸しつければ利息で叉ふえるではないか、凄い安い利息でもよいぞ、返済は30年分割にしてくれと言うと、
なるほど、

わかりました、私が増やしましょうと言うので、養殖はうなぎだけでなく、すっぽんも良いではないか、誰かやてみてはどうかと言うと、留吉があっしがやります、スッポンは凄く、
おくびょうでして、騒がしいところだと鬱になり共食いを始めるのですよ、沼の誰もいないところでやらないと駄目なんです、水から出て甲羅干しをするのが好きなんだそうです、
誰もいない場所は沢山ありやすので、

やってみますと言うので、わかった七衛門二人目のお客さんだと言ったのです、他にいないか誰でも良いぞと言うと、ヘイ松蔵ともうしやす、あっしは江戸で飾り職人をやっていた、
んで、特にキセル作りが好きなんですがキセルに使う竹も買わなければならんのです、ここら辺には沢山のいい竹がありやす、タダみたいなもんです、鉄は九十九里浜で沢山取れや、
す、

値段も江戸に比べれば安いのですよと言って、これがあっしが作ったやつです、まだ一度も吸っていやせんと言うので、なんで帯に挟めているのだと聞くと、ヘイ身を守る為に使っ、
ていやすと言うので、成る程これでも立派な武器になるなと言って受け取り、タバコいれから刻みを出して火を付けて吸うと、中々いいでは無いか、手にピタッと吸い付くようだな、
タバコも美味く感じるぞ、

それにこの彫金も中々良いではないか、弟子を取り沢山作って江戸にて商えば儲かるなと言うと、ついでにタバコの葉も育て、刻みも作ろうかと思います、うねを作り水はけを良く、
すれば簡単に育ちますと言うので、新しく出来る町でやってみろと言うと、そのキセルは差し上げますと言うので、いや、二朱で買おうと二朱銀を渡すと、いりやせん進呈しますと、
言うので、取っておけと渡したのです、

色々やりたい事を言うので聞いてやらせる事にしたのです、みんな言つておくがあせって成功させようとするな、失敗は成功の元と言うであろう、我慢してやっていれば絶対成功す、
る、わしは見捨てたりはしない、金寸の返済は成功してからで良いのじあ、しかし、持ち逃げはするなよ、それは盗人になるからのうと言ったのです、色々聞いているうちにもう、
夕刻か、

もし他に何かやりたい事あらば、七衛門に相談しろ、決して馬鹿にはせず相談に乗ってくれるはずじあ、博打場を開いてもよいぞと言うと、熊吉が博打はご法度ですよと言うので、
表むきはな、しかし、絶対町にはあるだろう、身を滅ぼさないような博打場にすれば目こぼししてやるのさ、持ち金以上はやらせない、博打の貸し借りは禁止じあ、一日の上限は、
2分までとする、

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