第90話

文字数 2,970文字


源三郎江戸日記(弟二部)90

積荷は明日荷揚げする事にして船を下りて、屋敷に戻り、再び祝杯を上げて、みな良くやった後で褒美をやるぞと言ったのです、小頭が明日目を覚ましたら、ビックリしますよ、役人に、
なんていうのですかねと言うので、縛られているので海賊に襲われたと言うだろうが、荷を調べられて抜荷とわかり奉行所に引きたてられるさ、まあ、50叩き位で解放されるじあろうが、
入れ札は停止じあな、

つるんでいる与力の花田は困るじあろう、奉行が何と言う裁きをするかじあなと言ったのです、翌日船番所の役人が頭の鈴木に頭長崎の港に銭屋の千石船が停泊していますがと言うので、
それがどうしたと言うと、届けが出ていないのですがと言うので、行ってどうしたのか聞いてくれば良いではないかと言うと、行きましたが返事がないのです、甲板には人は見当たりま、
せんと言うので、

幽霊船でもあるまいし、わかった、念の為に取り方を船にのせろ、行くぞと言うと、小船に乗り横づけして、船番所の同心花田じあ、縄梯子を下ろせと言ったのですが、返事はありま、
せん、縄を引っ掛けて甲板に登り縄梯子を下ろせと言うと、配下が甲板に引っ掛けて上り、縄梯子降ろしたので登り、船倉に下りていくと、20人あまりが後ろ手に縛られて猿くつわを、
かまされていたのです、

船頭の猿くつわを取り、どうしたのだと聞くと、海賊に襲われたのですと言うので、全員の縄を解いて、何処でじあと聞くと、飛島の湾ですと言うので、確か対馬藩領じあな、そんな、
処で何をしていたのじあと聞くと、黙っているので、船内を探せと言うと、配下が南蛮品があります、およそ2000両くらいですと言うので、抜荷をやっている処を襲われたのじあな、

飛島は長崎奉行所の管轄外じあから、おまえ達が何をしょうと知った事ではないが、長崎の港で抜荷が見つかったとなればそうはいかん、全員奉行所の牢に入ってもらうぞ、逃げたり、
歯向かえばめんどくさい事になる、直ぐに番頭が受けだしにくるだろうと言うと、全員引き立てられて奉行所の牢にいれられたのです、長崎奉行の耳に入り、何銭屋が抜荷じあと、
管轄外ならともかく、

この長崎の港で見つかったのを見逃せばわしの首が飛ぶわと言って、与力の花田にそなたは何とすると聞くと、それはお奉行が決める事ですと言うので、一人20両の罰金じあ22人なら、
440両にて返してやれ、払わないのなら島送りにせねばならんと言うと、ハハツと花田が言ったのです、銭屋は6ケ月間入れ札に参加する事はならんが、長崎での鑑札はそのままで良い、
と伝えよと言ったのです、

花田が銭屋に行きどうなっているのじあ、港に抜荷を持ち込むとはと言うと、わたしは、一切聞いておりませんと言うので、奉行の言葉を伝えると、分かりました、440両はお納めし、
ます、入れ札停止はなにとぞご勘弁をと言うので、今回はお奉行に頼むしかないと言うと、分かりましたなにとぞ取次ぎをと言うと、25両包みを渡したので、分かった、頼んでみよう、
と言うと花田は店を出て行ったのです、

番頭が金寸を持ち全員を受け出して、事情を聞き、博多に回航しておとなしくしていろ、旦那に飛脚便で知らせると言ったのです、花田が奉行に銭屋の番頭がお会いしたいと言うている、
のですがと言うので、まあ、会わんわけには行かないだろうと言うと、ハッそれでは連れてまいりますというと、配下に呼びに行かせると、顔を出したのでいつもの物はと聞くと、菓子、
箱の底に、

500両詰めましたと言うので、それを持って着いて来いと言って、奉行の部屋に行くと、おう、銭屋の番頭かと言うと、ハイ番頭の末蔵に御座います、このたびはご迷惑をおかけしました、
と言って菓子箱を渡すと、入札差し止めを勘弁しろと言う事かと聞くと、ハイ、お願いいたしますと言うので、この件は柳沢様にお頼みするしかない、事が公になった以上わしの一存で、
は処理出来ぬと言うので、

お取成しをと言うので、分かった江戸に早飛脚を出して、嘆願してみるがそれ相応の謝礼を積まなければならんぞと言うと、幾らくらいでしょうかと聞くので、それは柳沢様に聞くしか、
ない、銭屋は江戸にいるのじあろう、じかに屋敷に行き、聞けば良いじあろうと言うとので、ハイ、主人にお知らせします、と言って下がったのです、青山が菓子の箱を開けて、500両か、
まあ良いわと笑い、花田がわしのとりなしもここまでじあ、今後は気をつけろと言ったのです、

翌日源三郎は山形達6人を引き連れて江戸に向かったのです、子安宿に入り様子をみる為に居酒屋に入り酒とつまみを頼むと、酒とめざしを出して酌をするので、役人の様子はどうだと、
聞くと、ハイ、おとなしくなりました、袖の下も出さなくて済みます、お百姓も漁師も安心して物を売りに来ますと言うので、そうか、それは良かったなと言って店を出て馬に乗り、
川崎宿に向かったのです、

暫く歩くとのどかな田園地帯に入り、歩いていると山形がご家老水車で水をくみ上げていますよと言うので、そうか、何処かで見た事があったのはここだったのか、高鍋の殿の参勤交代、
で通ったのか、何回も通っているのに気がつかなかったのかと言って、わしだけではなくやっている者がいるのじあなと言うと、近くの大きな農家に入りだれかおらんかと声をかけると、
男が出て来たので、

お前はこの当たりの庄屋かと聞くと、ハイ、平間村の庄屋の三衛門と、もうしますと言うので、なぜ水車で水を田にいれているのじあと聞くと、小川が土地より低いために御座います、
人手で汲み上げると大変です、今は引きこみ口が外してありますが、作付け時期にはあれで水を引きこみます、あれで1町分は大丈夫です、下の方は稲田の方が低くなっておりそのまま、
引きこめます、

ここら一体はその為野原だったのですが、わたしが開発したのですと言うので、その水車で水を引く工夫はそなたの思いつきかと聞くと、東北を旅した時に山間の村にありましたので、
これは良い方法だと思ったので御座いますと言うので、なる程、旅をすればいいものに出会えるわけじあなと言うと、ハイ、美濃の郡上八幡は湧き水の豊富なところです、ここでも、
水車は色々使われています、

おもにそば粉を取る石臼を回して、上からそばもみが少しづつ落ちてくる工夫がしてありまして、人が臼を回すより簡単にそば粉が取れるそうですというので、ならば石臼の目を稲穂、
の穴にすれば、精米も今までの方法ではなく籾殻を取る事は出来んかなと聞くと、なる程そば粉は完全に粉にするわけですが、目を粗くすれば良いかもしれませぬな、そうすれば沢山、
の精米が出来ますと言うので、

稲穂からもみの身を外すのも人が手で引くのではなく、自動的に回ればそこに稲穂を置くだけで実を外す事が出来るなと言うと、そうですね、人の代わりにさせれば色々役に立つわけ、
ですかと言って、お武家様は郡方の役人様ですかと聞くので、そのような者じあよと言うと、これは話しに夢中になりお茶も出しませんでと言うので、水を一杯貰おうかと言うと、
柄杓に汲んで出したので飲み干し、美味い水じあなと言うと、

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