第74話

文字数 2,892文字


源三郎江戸日記(弟二部)74

柳沢の部屋に入り、只今戻りましたが、何がおきたのですかと聞くと、昨日新井白石が相模原新田開拓について上様に上申したいと面談を申し込み、上様と老中の面前で相模原は開拓、
不可能と言って、その理由は相模川の水深は浅く、用水路の取り入れ口は、川底に近いところでないと、水は引きこめない、この地域は上流なので梅雨時でも水深は4尺にしかならず、

常時ひき込んでも、わずかな水量しかながれず、更に用水路は新田から5尺下になり、水田に引きこむ事はできず、桶で汲みあげるしかない、1000町部に人手で水をくみ上げる事など、
不可能である、そういう事なので昔から野原になっている、そこを10万両もだして開発するのは、金をドブにすてねようなものだと言ったのじあ、上様がそれでは明日源三郎を出仕さ、
せて、

不可能かどうか聞いてみてどうすか決めると言う事になったのじあよと言うので、治水を知らない学者が何故上申などと聞くと、専門家に聞いたら同じ意見だったと言ったのじあと言、
って、本当かと聞くので、その話は本当ですが、水位をあげて、くみ上げずに取り込む方法があるのです、それは取り込み口付近に幅4尺高4尺の関をつくるのです、杭を打ち込み大き、
な石を並べて、

隙間を小石で埋めて反対側にも杭を打ち込み、水をせき止めて川の中に池をつくるのです、溢れた水は関の上から下流に流れ込み、下流への影響はありませぬ、水路は幅1間長深さ1間で、
4里ほど堀ります、そうすれば水なし川に通じここに流れ落ちます、相模川の水位は最大4尺なので水路からこぼれる事はありませぬ、念のために取り入れ口に水門をもうけて、新田が、
流失しないようにします、

通常は上から4尺位下を流れる事になります、そこでくみ上げる為に水車を取り付け、周りに水桶を取り付け、したから上に行く時に桶にみずがたまり、左に傾いたときにみずがこぼれ、
ます、その位置に板で作った雨戸井を置けば、ここにこぼれ落ち水田に水がはいるわけです、水門の開き具合で水の流れを調整できますので、水車の回る速度を変えられます、間断なく、
水が流れ落ちますので、

潅漑用水を直接引きこんだのと同じになるのです、叉新田の一区切りに板の小さな水門を作り田に水が溜まれば次の田に水がこぼれて、次々とたまる仕組みにします、水車は50も設置す、
れば良いと思います、後は水抜きの水門を用水路側に作り、時期がきたら、雨戸井を横にずらし、水がはいらないようにして、水抜きをして稲穂が実ったら刈り取ると言うことではどう、
でしょうかと言うと、

なる程、関を作り水を貯めて水門で適量をながし、水車を使いくみ上げて、田の水門で深さを決めて、次の田に水を引くわけじあな、みずが必要なら雨戸井をつけて、必要なければはず、
して稲が枯れないようにすけばよいわけかと言うのりで、そうですと言うと、まさに簡単な事じあなと笑うので、わかれば簡単ですが、誰も気がつかないかも知れませぬと言うと、白石、
め銭屋に賂を貰い、

新田開発を中止させ、5万両を出さなくてもよくしょうとした、のだなと言うので、そうだと思います、その五万両は首の代金ですぞ、首はいらないとみえますなと言うと、明日は精一杯、
白石を脅かしてくれと言うので、綱豊様は知らず、真鍋としめし合わせての事でしょう、綱豊様は気の毒ですね、この二人も権力の亡者とみえます、銭屋も借りもないのに、総てを教え、
る訳ないのに、

馬鹿な奴だ、しからば、第二段をやるしかないなと言うと、何をやるのだと聞くので、銭屋はアイヌとの米と鮭の交換で、1俵あたりの鮭の量をごまかして、アイヌを騙して鮭を取り上げ、
てあくどい商いをしているはずです、松前藩は賄賂を貰っているので、見逃しているのですよ、幕府から函館奉行を通じて、1俵あたりの取り決めを守らせるように、松前藩に圧力をかけ、
て下さい、

抜き打ちで函館奉行がアイヌに事情を聞き、不正な取引きをしている商人は鑑札を剥奪させるように言い、松前藩が不正に加担しているなら、蝦夷地でのアイヌの取引の専売を剥奪する、
と脅すのです、この前の1万両は首を助けてやったお礼にて、相模原の新田開発とはなんら関係ありのせぬと言ったのです、銭屋は新田開発から外し、3万両を罰金として幕府に納めさせ、

若狭屋、玄海屋、江戸屋、越後屋に5000両づつ出させて、計5万両として、幕府の5万両とあわせて、10万両で開発しましょう、前回用水路の水門を完成させた富蔵に人足を集めさせ新田、
開発と、用水路の開発をやらせます、玄海屋には横浜の宿場、若狭屋と相模屋には新田のすぐそばの矢部の宿場の開発をさせて、それぞれに分担して商いをさせ、江戸屋には新田の札差、
をやらせる、

若狭屋、玄海屋、江戸屋、越後屋には開発した新田の500石づつ計2000石にて子供又は縁者を、旗本に取り立てる、街道の整備は八王子までとし、10万両の中でだし、宿場の整備はおの、
おのが負担する横浜の海防と、八王子までの街道の警備の奉行所を横浜に作り、上杉家が横浜奉行以下の、人員を派遣して警備にあたる、その人数は20人程度として、費用は冥加金で、
賄うのはどうですか、

そうすればわたしが差配をする名目が出来ますと言うと、それで良いではないか、明日上様に話してみよ、そなたがいないと困るから全部聞いてくださるよと、さつそく函館奉行に指図、
しょう、松前を牽制するのに都合が良いと笑ったのです、この区域が終われば淵野辺までやればゆうに10万石にはなり、総て終れば幕府は印旛沼とあわせて18万石の増収となりますと言、
うと、

上様は大喜びになるぞと言って、もう一つあるのじあが、これは土屋殿と秋山殿が来てからじあと言たのです、程なく二人が現れて、どうで御座ると聞くので、源三郎が説明するとなる程、
白石め脅かしおってと土屋が言ったのです、土屋が実は源三郎に頼みがあるのじあが、我々二人は後押しの商人がおらぬ、この為にやりたい事を上申すると総て幕府の金でやらなくては、
ならず、

上申しにくいのじあ、そこで後押しの商人が必要なのじあが、どうも二人は堅物と思われているらしく、商人との接点がない、そこで商人に顔の聞くそなたに、後押ししてくれる商人を、
探してほしいのじあがと言うので、そうですね、結局は良い施策があっても金が無ければ何も出来ませぬ、それでは土屋様には江戸屋に秋元様には越後屋に後押しになってもらいましょう、
二人とも、

蓄財は貸付金は5万両あまり、蓄財は10万両は超えます、それに、二人には大きな貸しがあるのです、絶対頼みは聞いてくれますよと言うと、それは助かる是非話してみてくれと言うので、
それでは話をつけて、ここにつれてきます、芸子を呼びますので楽しんでくだされ、隣の部屋におられる用人殿もこちらにお出まし言うと、それぞれの用人が入って来たので女将に膳を頼、
み部屋を出て行ったのです、

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