第62話

文字数 2,898文字


源三郎江戸日記(弟二部)62

なお開発資金は幕府からもも半分でるぞ、あそこの開発も難しいぞ、治水に詳しい村上源三郎に相談する事じあなと言うので、承知仕りましたと言って、1万両を納めて屋敷を下がっ、
たのです、一旦日本橋に帰り新たに1万両を船に積み桜田門外の上杉上屋敷に向かい、船着場で荷馬車に積み替え、源三郎に目通りを頼むと、ご家老は深川の料理屋みやびにおられる、
そちらに回られよと次席家老が言うので、

今回のお骨折り料として1万両を持参しましたお受け取り下さいと言うと、聞いてはおらん、受け取るわけにはいかんと言うので、それがしの首が飛びます、それでは一旦お預かり下、
だされと言うと、しからば預かっておこうと言って蔵まで運ばせたのです、銭屋は屋敷を下がり深川の料理屋みやびに行き、源三郎に面会を女将に頼むと、別座敷に案内されここで、
お待ちくださいと言って膳を出したのです、

女将が部屋に入って来て、銭屋さんがお出でになっていますがと言うので、新之助が何しに来たのだと言うと、白旗をかかげて賂でも持って来たのじあろうと笑うと、それでは賂でも、
貰ったくるかと席を立ち座敷に行き、座って、これは銭屋なにしにきたんだと聞くと、今回の骨折り料1万両を次席家老様にお預けしてまいりました、今回はありがとう御座いますと、
言うので、

1万両をくれると言うのかと聞くと、どうぞお納めというので、まあ、くれると言うなら貰っておこうと言うと、ハイ、これでホット致しましたと言うので、まあ一献と言うと、女将、
が酌をしたので杯を重ねたのです、柳沢様にも納めたのかと聞くと、ハイ、同額を先程お持ちしましたというので、漁夫の利と言うわけかと笑うと、どうしてでございますか、骨折、
り料に御座いますと言うので、

火を付けて、それを自分で消して大枚をせしめる、知恵あるネズミと言う事よと言うと、それではご家老が返納の3万石を受け取るのは辞退すると計算の上で御座りますかと聞くので、
他の大名から取り上げたのを貰えば、殿が悋気を買うであろう、受け取れるはずはないわと言うと、お大名とはそういった物で御座いますかと言うので、商人とは考え方が違うのだよ、
と言ったのだす、

しかし、隠密に荷抜けの書付を、奪われたのなら、なぜ寮に阿片なんか置いたのじあ、行部の女が囲われているなら、そこに、禁制品、阿片、賂が隠してあると、誰でも思うであろう、
と言うと、それが奪われたのは盗賊だったのです、隠密なら20人もの大勢で襲う事はありませぬと言うので、加賀藩の侍がいたのだろうと言うと、目立たないように護衛の藩士は10名、
程だったのですといったのです、

不用意な事じあな、警護が10人とは、しかし、柳沢様の手の者の手に渡らずにお庭番の手に渡れば、事は公になりお前の首は飛んでいたところだったな、まあ、蔵に証拠の品がなければ、
書付だけでは目付けは何も出きんがと酒を飲み干し、しかし、阿片はいかんなあと言うと、懲りましてございます、今後は禁制品には手を出しませぬと言ったのです、本多にはいかほど、
賂を贈っていたのじあと聞くと、

行部様が毎年2000両、手前が3000両に御座いますと言うので、それの半分を絵島に渡していたのだろう、絵島はその金で贅沢三昧していたわけじあな、いつかは身を滅ぼすのはわかって、
いただろうにと言うと、政には金がかかるのだそうですと言うので、大昔からの慣習なので、なくなる事はないわと言って、今後つるむのはもっと大物にする事じあなと言うと、ハイ、

どなたとなら良いでしょうかと聞くので、柳沢様は相模屋、稲葉様は天満屋が後押しじあ、土屋様あたりが良いのではないか、秋元様は律儀な人ゆえつるまれないだろうと言うと、是非、
土屋様にお引き合わせしてくだされと言うので、今はダメじあな、ほとぼりが冷めてからじあよと言ったのです、実はご家老に知恵を貸して頂きたいのですがと言うので、便宜は図らん、
ぞ、

図れば賂になるからのうと言うと、ご家老様に便宜ははかってもらおうとは思っていませぬ、今回の事で幕府より相模原の新田開発の賦役をおうせつかると言う事なのですが、あの地は、
開発が難しいと聞きます、是非知恵を貸してくだされと言うので、相模原かあそこと相模川からの水路を開かねばならぬが、いずれも粘土質でないので水が浸み込み水路を作るのは至難、
じあな、

しかし方法がないわけではない江戸の井戸のようにすれば良いのじあと言うと、井戸ではとても感慨用水にはなりませぬというと、お前は加賀人だから知らぬだろうが、下町の井戸は、
掘っても塩水が混じり飲めぬのじあ、したがって多摩川から板の水路を作り水を引き入れているのじあよと言うと、なる程板張りの水路を作るのですねと言うので、しかし、板は腐り、
安いので、

補修に金がかかるぞ、そこで粘土を瓦みたいに焼いて、四角い瓦を作り積み重ねて水路を作れば永久に持つだろうと言うと、南蛮の煉瓦ですねと言うのでそうじあよ、一番近いところで、
4里くらいじあろう、一番良い場所は相模の矢部の野原当たりをまず開発する事じあ、あそこは多磨からの街道がとおっている、道を広げて宿場を作り相模の子安まで整備すれば、多磨、
からの絹の道として栄えるじあろう、

さすれば入植者も増えて江戸への米の移送も楽になるが、まずは10万両は必要じあなと言うと、幕府が半分出すそうですと言うので、銭屋は宿場で商いをして設けるしかないなと言うと、
こんどは陸の廻船問屋をやりましょうと言ったのです、1万両貰ったので、もう一つ銭儲けを教えてやろう、お前は蝦夷地でカンの子、鮭、筋子、コンブ等の海産物を仕入れて北前船、
に載せ、

越後をはじめ裏日本の各港に出店を持ち、その船は博多、上方まで物を運び商いをして大儲けしている、船は五島列島で南蛮船からの抜荷を仕入れて上方に運び、一方では加賀まで運び、
陸路を江戸まで運んでいる、大阪も人が増えて食料が沢山いるがそれに必要なのは何じあと聞くと、作物を育てる肥やしですかと言うので、そうじあ、江戸近郊の農家も肥料は沢山必要、
じあ、

江戸の長屋の厠の糞は百姓が汲み取り大家に金を払っている、大家はその金で正月の餅を買い店子に配るのじあろう、人の糞にも作物を育てる養分が入っているのじあ、カンの子を取っ、
たニシンの身は骨が多くて食えないので捨てているはずじあ、それを北前船の船倉の樽に詰め込み大阪まで運べは腐って着くころには良い肥料になっておる、それを近郊の庄屋に商い、
すれば、

人の糞より何倍も養分が詰まっているので、作物の収穫は倍になるはずじあ、何と言ってもタダで手にはいるのじあからな、大儲けが出来るじあろうと言うと、銭屋が目を白黒して何と、
ニシンの捨てている身で商い出来るのですか、それは凄い大儲けできますよと言ったのです、幾らでもあります、大阪だけではなく、摂津、播磨、博多、下関近郊でも売れますよと言っ、
たのです、

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