第91話

文字数 2,914文字


源三郎江戸日記(弟二部)91

この裏手の山から湧き水が出ます、美味い水なので米を炊いても美味いですよ、丁度炊いたのがあります、握り飯にしますのでお持ち下さい、色々教えていただいたお礼ですと言うので、
いや、わしの方が為になったぞと、サイフから5両出して、これで色々試してくれ、ここをとおりかかったら、話を聞こうというと、こんなにですかと言うので、何かをやるには金寸は、
かかるであろう、

わしはそなたが試して上手くいった事を知るのじあから、安いもんじあと言うと、それではお預かりして、早速試してみますと言うと、女中が7人分の握り飯を渡して、中にここで漬けた、
漬物も入っていますと言うので、それではその水もこの竹筒に入れてくれと言って、お前たちも水を貰えと言うと、全員が水を貰い、馳走になったと言うと、馬に乗り川崎宿に向かった、
のです、

暫く歩き松林に出たので、馬をつなぎ砂浜に出て、昼飯にしょうと、言って、持って来た握り飯と、先程もろうた握り飯を食い比べてみろと言って、食べると、さつき貰った握り飯の方、
が美味いので、みんなも、これは美味いと言うので、そうか、たき方、塩かげんもあるが、大事なのは水と言うわけじあな、この漬物も美味いなと言うと、遠藤がなる程タダ旅をする、
だけではダメで御座るな、

見るもの聞くものに色々工夫の種が、あるわけですかと感心しているので、色々と藩の為に役に立つ事を学ばれましたなと言うと、ハイ、これで柳沢様に、色々建白できますと嬉しそう、
です、こんなには食えんな、あそこの子供たちにやろうというと、山形が集めて来たので、それぞれが子供に渡すと、おじちゃん、ありがとうと言って受取ったのですが、食べないので、
どうした、

食べて良いのじあぞ、ここに美味い水もあると言うと、持ってかえって食べると言うので、おまえのお父さんは漁師かと聞くと、うん、この二三日シケで漁に出られないんだと言うので、
この辺の網元はと聞くと、このすぐちかくだよと言うので、案内してくれと言って馬を引いて行ったのです、中から網元が出て来て、どちら様で御座いますかと聞くので、山形が相模原、
開拓総差配の村上源三郎様じあ、

街道の巡察視もかねておられると言うので、ハハッと平伏するので、これ平伏などしなくて良い、シケで漁に出られず困っているそうじあのと聞くと、ハイ、漁師は漁が出来ないと暮ら、
しに困りますと言うので、子供たちに家にもって帰ってみんなと食うが良いと言うと、網元が遠慮なく持って帰りと言うと、ハ~イと言うと、走って帰っていったのです、すみませぬと、
言うので、

川崎宿が近いので魚がとれれば暮らしは大丈夫なのじあなと言うと、それが、川崎宿には鬼火一家と言うやくざもんがいまして、これが悪い奴でしょば代と言って金を取るのです、漁師、
が売りに行きますと、売れた3割りを取られるのです、お上にも冥加金を納めなければなりません、食うていくのがやっとでして、たくわえができませんので、このように、シケが3日も、
続けば飯も食えぬあり様ですと言うので、

代官は何をやっているのだと聞くと、それが、そいつが十手を、預かっていまして、直訴等しようものなら殺されてしまいすと言ったのです、そうか、そのようなやからを懲らしめるの、
もわしの役目じあ、掃除するしかないな、お前たちには仕返しされないようにしよう、ここは天領地だ、ここに50両あるこれは幕府が迷惑かけた代金じあ、これを漁師に配り腹一杯飯を、
食うが良いと言うと、

有難う御座いますと言うので、シケの時でも困らないように、この砂浜の海の先に岩を沈めて防波堤を作り、その内側に丸太を打ち込みいけすを作り、沢山取れたときにそこに入れて、
おき、シケの時にも魚が売れるようにすれば良いな、これはそなたの力では無理じあから、幕府が出来るだけ早いうちにやるようにしょうと言うと、それなら、暮らしも大分良くなり、
ますと言うので、

それでは、今から大掃除しょうと言って、馬に乗り川崎宿に向かったのです、遠藤が我々の知らない処に悪人は沢山いるのですねと言うので、困ったものですね役人がことごとくつるん、
でいるのじあからと言ったのです、川崎宿に着くとここは川崎大師を中心にした門前町ですが、御府外なので代官の管轄だったのです、八州まわりも回ってくるはずですが、賂を貰い目、
こぼししているのでしょうと言って、

そこの居酒屋で一休みしょうと馬をつなぎ、水とエサをやるように言って店に入りみんなが酒と肴を注文すると、シケで魚が取れないので、するめしかありませんがと言うので、それで、
良いと言って、杯を傾けたのです、やくざ風の男3人が入ってきて、親父しょば代だと言うので、こんな時間では何ぼも売れていませんだと言うと、うるせえ、昼と夜の二回払う事になっ、
ているだろう、

さつさと出な、ださんと銭箱を持っていくぞと言ったので、源三郎がおいしよば代は代官所のいいつけかと聞くと、なんで、お侍さんは引っ込んでいなせえ、鬼火の親分の言いつけだと、
言うので、ばかもの、お上以外が金を取るとはと顔面を殴りつけると、ぐわ~と言ってひっくり返ったのです、何をしやがると匕首を三人が抜いたので、山形達が叩き落し、肩を撃つと、
転がったので、

外に引きずり出して、お前の親分の処に案内しろと立たせて、逃げれば首が飛ぶぞと言うと、ヘイと言うので後をついて行くと、鬼火一家のノレンがあるので、源三郎がえ~いと言って、
切り下げると、まっ二つになり道に落ちたので、ここは、今日で店しまいだと言うと、男たちが5人出て来たので山形達が片っ端から打ち据えると、匕首を抜く暇もなく転がったのです、

源三郎が親分と言うのはお前かと聞く、十手をみせてここを預かっていやすが、何の御用でと言うので、抜き打ちで十手を切り結ぶと、真ん中からスパット切れたので、お上からの預か、
った十手に何するんだと言うので、問答無用と踏み込んで刀を振り下ろすと、腰帯がスパッと切れたので、もう少し手を伸ばせば真っ二つだつたなと言うと、ヘナ、ヘナと座り込んだ、
のです、

奥から浪人5人が、どうしたんだと顔を出したので、山形達と遠藤が踏み込み、片っ端から手と肩を撃つと、ギヤ~と言つて刀を落とし転がったのです、バカめと親分の首に刀を突きつけ、
無体な事をして巻き上げた金を総てここに出すのだと言うと、配下に金箱をと親分が言って持ってこらせると、250両あります、こんなもんではないだろう、金蔵に案内しろ、他の者は、
動けばその首叩きおとすぞと言って、

案内させて裏の土蔵の錠前を開けさせると、千両箱が3つあります、運び出せと配下に言って店に持っていかせると、お前たちは盗人かと聞くので、ばか者と言って横に払うと親分の、
髷がポトリと落ちたのです、役人が中に入ってきて、何ごとじあと言うと、親分がこれを見てくだせえ、こいつらは盗人ですと言うとので、神妙にしろと十手を突きつけるので、仕方、
ないと言うと、

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