第107話

文字数 2,884文字


源三郎江戸日記(弟二部)107

教えてやろう、その為なら前回徴収した5万両の内4万両は返してやろう、1万両は真鍋と新井がそちの渡した金寸を着服したので、綱豊様に寄進し上様へ献上してもらった、真鍋と新井、
が受取った事が発覚すれば綱豊様と上様の仲が悪くなる恐れがあるからのうと言うと、そこまでお考えでしたか、つゆとも知らず余計な事をしてしまい申し訳ありませぬ、いやそなたが、
悪いのではない、

真鍋と新井が綱豊様に言わなんだがいけないのじあ、一言えば必要な金寸なら自由に使っても良いと言われるであろうにと言うと、そう言うていただくと助かります、玄海屋と力を合、
わせて、蝦夷地の開拓に精を出しますと言うので、宜しく頼むぞと言って、これが本当の和解じあなと言って、女将に膳を出させて杯を重ねたのです、七衛門を呼んでくれ、お勝達も、
じあと言うと、

女将がハイ只今と言ったのです、はやくこうすれば良かったのに、手前のいこじでご家老に、挑戦してしまいましたな、と言うので、中々手強かったぞ、そなたの敗因は兵法を知らぬと、
言う事じあよ、自然のある物総てを利用するのが勝利の秘訣なんじあよ、一番は相手を知りおのれを知れば百戦あやうからずと言う、孫子の言葉があるが、相手を良くしる事がもっとも、
大事と言う事じあ、

お前は霞の女将が口縄の平次の色だった事はしらんだろうと言うと、何とそれで店仕舞いになっていたのですかと言うので、いずれ獄門になるじあろう、沢山の人を殺めているからのう、
と言うと、それがしも孫子の兵法を読んでみますると言うので、難しい漢語で書いてあるが、中身は大した事はない、ごく普通の事が書いてあるが、人はそれに気がつかんのじあよ、

商いにも通じるぞ、おそらく銭屋はそその中に書いてある半分以上は実践しているのじあろう、だから財をなしておるのじあよと言うと、ご家老褒めすぎですよと酒を飲み干したのです、
七衛門が来たので銭屋の申し入れを話すと、そうですか、それは願ってもない話です、一緒にやりましょうと言うので、再び杯を重ねたのです、七衛門が和解がなったので銭屋に船の、
仕掛けと、

方位羅針盤は売っても宜しいですかと言うので、構わんよ、蝦夷を駆け抜けるにはもっとも必要であろう、千島列島、樺太まで商いは増えるであろう、ロシアに対抗するには必要じあ、
からな、火矢もじあなと言うと、総て教えますと七衛門が言って話をすると、そうで御座りましたか、それでは到底私がかなうはずはありません、わたしの船もそうなれば世界を相手、
にしても負けませぬなあと言ったのです、

お勝つ達が入って来て、和議がなったそうでおめでとう御座りますと言うので、銭屋がこれからはひいきにしますぞ、日本橋にも出向いてきてくだされと言うと、ハイ、宜しゅう願い、
ますと酌をしたのです、今日の花代とここの勘定は払わせて下さいと言うので、それはすまんのうと言ったのです、暫くたって日本橋で寄り合いがありますので失礼しますと言うと、
ここに50両あります、

ここの勘定に花代ですと女将に渡すと、こんなに入りませんよと言うと、遠慮しないでよいのですと言うので、分かりましたお預かりしてと受取ったのです、それではと席を立ち銭屋、
は出て行ったのです、女将が本当に善人になったのですかと言うので、蓄財が元に戻るまでは大丈夫だよといったのです、そうか、ここで手綱を緩めて、太らせて食うわけかとお勝つ、
が言うので、

段々わかって来たではないかと笑うと、と言う事は私たちも太らされて食われるわけかと喜ぶので、ボタンが太りすぎると美味くなくなりますよと言うと、そうなのよね、最近肥えて、
と駒菊が言うので、みながドット笑ったのです、もうじき桜の季節じあなと言うと、七衛門が印西に花見に行きましょうと言うので、そうじあな、前回は行ってすぐ帰って来たからな、
と言ったのです、

七衛門が咲いたらいきましょうと言うと、私たちもと言うので、座敷はと聞くと、朝行って夕方帰ってこれないのですかと聞くと、七衛門が大丈夫だよと言うので女将が私も行きます、
美味しい弁当を作りますよと言ったのです、新之助がはいってきてヤッパリ銭屋の入札停止は解除されたそうで、臨検も解除だそうだと言うので、そうかと言って、ところで三蔵はと、
聞くと、

今回町方差配が京極備前の守様になったのじあが、中山道を荒らし回っている、般若の白蔵の小頭が板橋宿で見かけられたそうなんじあ、この白蔵は急ぎ働きの凶悪なやっで、すでに、
20人から殺めている、押し込む時は20人位の人数で、引きこみは使わず、木戸をこじ開けて入り、金蔵を開けさせて、皆殺しにする、残忍な手口だそうだ、やる所がなくなったので、
御府内でやるのではないかと、

警戒しているのだ、京極様が就任なさったばかりなので、奉行が張り切っているので、みんな大忙し、と言うわけじあよと言うので、お勝つが新之助様はと聞くと、わしは筆頭同心な、
ので持ち場はあって無いようなもんなんだよ、と酒を飲み干したのです、そうか、皆殺しするので顔は分からないのじあな、中山道と言えば、板橋から京都までと幅は広いが、主に、
どの辺を荒らしているのじあと聞くと、

それが今日高崎だったら、次は木曽路と一環していないのだそうだと言うので、それで20人もの仲間を、集めると言う事は、相当の人数がいるか、助人を世話している者がいると言う、
事じあが、そいつを捕まえれば、わかるのではないか、恐らくそういう家業は江戸でないと、集められないだろうと言うと、表面は古着屋、キセル屋、茶屋など普通の、家業をやって、
るので、

実態は掴めんのだと言うので、ヤシの元締めなら、集め易いだろうと言うと、江戸には神社仏閣が、数え切れないほどある、ヤシの元締めなんぞは掃いて捨てるほどいるよと言うので、
そうか、わしも当たってみようと言うと、それは助かると言ったのです、その小頭の人相はと聞くと、懐から人相書きを出して、弁天の音吉と言う奴だと、前に置いて、みんなこの者、
を見かけたら知らせてくれと言ったのです、

その人相書きをくれと言うと、ああいいぞと渡したのでそれを見て、中々いい男だな、こいつは何者じあと言うと、どうも役者くずれらしいのだが、どこの一座にいたかは分かって、
いないと言うので、いいか、江戸で急ぎ働きをするつもりなら先に様子を探りに来るのは、顔の知られていない者を使うだろう、江戸では引きこみを使うつもりだろうと言うと、

引きこみは何年も前から入れるもんだがと言うので、この男が奉公人の女をたぶらかして引きこみさせるのさ、だからこいつでないと役目は果たせないわけだ、とすると大店を狙う、
つもりだろう、奉公人が出掛けるのを見計らって声をかけて、情をかわし手なずけて、お店に会いに行くのでと木戸を外させるつもりだろうと言うと、あ~っ、そうかそれならてつ、
取り早いわけだと言ったのです、

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