第17話

文字数 2,721文字


源三郎江戸日記(弟二部)17

お引き受けくだされば、永大上杉家の管理下にするとの事にござります、さすれば15万石の石高なれど、実収3万石が増えるので、悪い話ではないと思うので、御座るがといったの、
です、源三郎が来たので治憲が使者の趣を話すと、治憲が何か良い策はあるのかと聞くので御座いますと答えて、お尋ねいたすが今回流失した土地の者への救済と壊れた堤の修復は、
となたがなさるのでと聞くと、

それは天満屋と稲葉様がおやりになるそうですというので、これが失敗したら上杉家は厳封または改易に御座るのかと聞くと、それは聞いておりませぬゆえお答えできませぬと言っ、
たのです、殿どうされますかと聞くと、どうせ断れぬのであろう受けるしかあるまいと言うので、承知しましたと言って、使者にお受けいたしますと言うと、上様よりその方策を聞、
いてまいれと言われております、

どうぞお教えくだされと言うので、それがしが教えると、それを誰かにやらせるお積りではと聞くと、そのような事はありませぬ、あくまで村上殿にやっていただくといったのです、
2間の高さに出口を作ると水は利根川には流れ込まず、高低差から行って一間半少し上がぎりぎりの位置と思ったので御座ろう、又水門を設けて逆流を防ぐのは印旛沼も水位は上り、
水のはけ口がなくなり領内の下流に流れ込み、

3万石どころの被害ではなくなる、利根川ではなく霞ヶ浦に流せば、霞ヶ浦の水が逆流して折角干拓した新田は総て流失すると言うことで打っ手がない訳でござるなと聞くと、まさ、
にそのとおりで御座ると言うので、わたしが話せばみんなはな~んだと言うくらい簡単な事でござる、水は高いところから低いところにしか絶対流れませぬ、逆流した水がぶつか、
った場所は利根川の水位と同じ場所だったわけです、

そこの水位は恐らく堤の2間より高くなり水があふれ堤が削られて決壊したので御座る、ここまで話せばわかったお方はおられると思いますが、殿ならな~んだとお分かりでしょう、
と言うと、治憲がなるほど水は高いところから低いところにしかながれないかと笑い、それは逆流しないように出口は2間より高い所につくり、水が溢れないように水路の堤を3間、
にすれば、

逆流した水と印旛沼から流れた水が2間より高くなり、又利根川に流れ込むわけだと言うので、さすがわ殿でござる、その通りで御座いますと言うと、みんながあ~と声を上げたの、
です、治憲がしかし水路の堤を今から3間にすると莫大な費用がかかりとても2万両では済まぬであろうと言うので、ご明察に御座ります、そこで少しだけの工事で済むようにする、
には、

この出口の横に大きなため池を作るので御座る、堤の高さは3間として幅300間下流に向かって長さ300間もあれば良いでしょう、この池の下流280間に利根川にへ高さ2間の水門を設、
けるのです、通常は開けておき水位があがればしめるのです、今の出口は塞ぎこの池に印旛沼の水をひきこむのです、通常水門が開いているのでこの池には少ししか水は溜まりませ、
ぬ、

水位があがれば水門をしめ、この池に印旛沼からの水が溜まり、2間まで来たときに、水門の上から利根川に流れ落ち、池の堤は3間ありますので下流に流れる事もなく、逆流もしな、
いので御座る、こうすれば水路の、堤を3間にするのは今の出口から上流に500間位の長さでよくなります、又池は堤3間で囲みますが、2間位堀りその土を、堤の材料にすれば他から、
運ばなくて済みます、

この池が2間まで水が溜まるのは大雨でも4時はかかるでしょう、その時は水位は下がっているはずです、池を緩衝池にするわけです、恐らく費用は4千両位で済みます、池の堤の幅は、
3間として溜まった池の水の圧力に十分耐えられるようにします、流失した田畑の補修には6千両もあれば良いでしょう、これは天満屋と稲葉様が負担すべきですが、幕府からの2万両、
の中でやりましょう、

そうしても1万両は残ります、殿いかがでしょうかと言うと、治憲が緩衝池かなるほど、まさに奇策じあな使者殿、お分かりいただけましたかなと言うと、目からうろこが落ちたよ、
うに御座る、これを聞けば誰でもできますな感服いたしました、上様は大喜びになるでしょう、又流出地の補修の金寸は、天満屋と稲葉様の責任ですからそちらから、出させるよう、
に上様にお頼みしますと言ったのです、

どちらにお泊りでと聞くと、上使ではありませぬので旅籠に止まり、明日には江戸に戻りますと言うので、せっかく来られたのだ今日は本陣にお泊りくだされ殿いかがで御座ります、
かと言うと、治憲が費用は当藩で負担いたしますどうぞ遠慮なさるなと言うと、使者がそれはかたじけないと言ったのです、明日は相馬に馬で行き、船で江戸にお戻りくだされ陸路、
2日船で1日、

都合3日で江戸につきまする、陸路ですと馬を乗り継いでも7日はかかるでしょう、玄海屋の千石船を相馬にとどめるように早馬を出しておきました、どうぞ便乗なされませと言うと、
前から風が来ても進める船ですな、それでは便乗させて頂きますと言うので、町奉行御二人を本陣まで案内して、今日はゆつくりして頂けというと、使者が助かりもうした、私ども、
二人でお役に立つ事あらば、

なんでも言うてくだされ、できる事は何でもやりますぞ、しからばごめんと席を達部屋を出ていったのです、千坂がお見事で御座ると言うと、又災難で御座りますと言うとどうして、
で御座るかと聞くので、稲葉様の領地にございます、必ず邪魔をするでしょうと言うと、しかしそのような事をすれば上様がお怒りになるのではというので、一揆の鎮圧等の名目で、

藩兵を動員して、それがしの首を上げ、一揆鎮圧の不慮の事故だとして、その後自分がこの工事を、完成させる積りでござろう、又それがしを推挙したのは、柳沢様で御座りますよ、
今回流失した佐倉藩領の反対側、水路の片側でござるがここは佐倉藩の領地より4尺ほど低いので御座る、そのために絶えず川の水が流れ込み水田には不向きなので野原のまま放置、
されていたので御座る、

しかし今回水路を作り堤を2間にしましたのでここに水が流れ込む事はなくなったわけです、この地なら新田の開発は簡単で、2万両もあれば4万石の新田が開発できます、柳沢様は、
印旛沼の干拓は4万石以上は非常に困難だと知っております、そこでそれがしに水路を完成させて、印旛沼の干拓資金10万両のうち、5万両で4万石の干拓を行い、残りの2万両にて、
ここを開発する積りなのですよ、

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