第69話

文字数 2,849文字


源三郎江戸日記(弟二部)69

そんな大金は要らんよ、めし付きで一月二朱もあれば良いというので、後で持ってきますといったのです、吉助助かったと言うと、なんの、これのらいと言うので1両を渡すと入りま、
せんよと言うので、また力仕事を頼むのでその前渡金だよと言うと、ヘイ、預かっておきやす、それでは大八車を返しますので、あっしはこれでと帰っていったのです、それでは行こ、
うか、

あとで弁当でもってくれば良いというと、おかさん後で叉くるからねと声をかけたのです、玄庵先生宜しくお願いしますと言うと、まかせておきなされ、翻訳も年内には終わります、
ぞと言うので、年内に叉お伺いしますと言うと、診療所を出て居酒屋に連れて行き、小上がりに上がりおあきを紹介したのです、ご家老様ありがとうございましたと酌をするので、
肌を会わした仲ではないか、

気にするなと言うと、叉抱いてくださいましなと言うので、わかったと返事して、わしからも祝いをやろうと、10両渡し困るもんではない、受け取るのじあ、これは主人の命令じあ、
と言うと、ハイ、ありがとうございますと、受け取ったのです、ここでしたかと七衛門が来たので、おあきを紹介すると、こひれは叉べっぴんな師匠さんだと言うので、これで並ば、
なくても良くなるじあろうと言うと、

それは通わなくてはと言うので、宜しくお願いしますとおあきが言ったのです、それでは私は買い物して、帰りますと言うので、頑張るのじあよと言うと、ハイ、ご家老様も習いに、
来てくださいと言って店を出たのです、七衛門に事情をはなすと、お釈迦様がお引き合わせに、なっているんですねと笑うので、まあ飲めと酌をしたのです、残りの500両はどうし、
ますと言うので、

米沢のお春に渡してくれ、500両渡したのでまだ残っているだろうが、不自由をかけるわけには、いかんからのうと言うと、送らなくても番頭に文を書いて渡してくれように言います、
と言うので、それでは七衛門が取ってくれと言うと、わかりました、預かり金が有り余っています、のでいつでも、言ってくださいと言うので、そうだ上杉への2万両じあがと言うと、
あれは差し上げたものです、

気になされますな、借用書は元からありませんと笑ったのです、悪いなあと言うと、何を申されますか、ご家老のお陰で儲かっていますと言うので、そうだと紀州公からの書付を渡す、
と、いよいよ、やりますか、直ぐに大工に言うて作らせます、私が紀州に行き網本の頭取と話してきます、ついでにくえも食ってきますと言ったのです、この方法だと高鍋のまぐろも、
もってこれますと言うので、

まぐろは泳ぎ続けるらしいの、狭い樽ではダメじあろう、あまり動かない魚なら良いがと言うと、ものは試しですよと言うので、そうじあな、最初から無理だと言うと、何も出きん、
からのうと言ったのです、ご家老銭湯に行ってきた方が良いですよと言うので、そうであったというと、七衛門勘定は頼むぞと言って銭湯に行き、匂いを消してさっぱりしたのです、

さて今日はもう帰ってみんなと飯でも食うかと言って、ブラ、ブラしながら根岸に帰ると、お滝が出迎えたので、お峰は具合悪いのかと聞くと、つわりがひどくて寝ておられますと、
言うので、寝間に行くとおきようとするので、寝ておれと言うと、あい、すみませぬと言うので、何かなおるクスリきはないのかと聞くと、ありませぬよ、後10日もすれば治ります、

みかんは届いたかと聞くと、ええ、箱一杯ありますよと笑ったのです、傍についていなくても大丈夫ですというので、そうか、早く治まるといいなと言って部屋に戻ると、お湯はと、
聞くので、入らないとまずいなと思い、入るとしょうと言うと、腰元がついて来たので湯殿はわかるぞと言うと、ハイ、お背中をながしますと言うので、湯殿に入り裸になり腰掛け、
ると

そなたはなんと言う名だと聞くと、節と申しますと言うので、そうかおゆみは宿さがりしているのかと言うと、ハイ、と言うので、お前は藩士の娘かと聞くと、いいえ、商家の出で、
すと言うので、実家は何をしているのだと聞くと、日本橋人形町で菓子屋をやっていますと言うので、何と言う菓子屋じあと聞くと、風月堂と言う菓子屋ですというので、大店の、
菓子屋ではないかと言うと、

ご存知ですかと聞くので、ああ知っておる、あそこの落雁は一品じあなと言って、もういいぞと言うと、お背中に爪の跡がありますがと言うので、お峰とお滝には言うなよ、戦の、
傷じあと言うと、湯船に入るとすこしひりひりします、ご家老様は戦に出られていたのですかと言うので、男と女の戦じあよと言うと、よけいな事聞いて済みませぬと赤い顔した、
ので、

気にせんで良い、わしとお節との秘密じあぞと言うと、ハイ、誰にもいいませんと言ったのです、目立つ傷かと聞くと、いいえ、よく見ないとわかりませぬといつたのです、後は、
一人でやるのでもう良いぞと言うと、ハイ、それではと言うと湯殿を出て行ったのです、湯から上がると夕餉の支度が出来ています、奥方様は遠慮させてくれと言われていますと、
お滝が言うので、

分かった無理せんで良いと、言ったのです、腰元達もそろったので、それでは頂こうと言うと、ほうさば味噌煮かと箸を着けると、母上がえへんと咳きをするので、いけないと言う、
って飯の茶碗をにぎると、源四郎が兄上なぜ飯からでないと、ダメなのですかと聞くので、汁ものから食うと胃の腑が驚くそうじあと言うと、そうに御座りますか、汁物の方が美味、
しいですと言うと、

安兵衛もそうです、めしには味がありませぬ、と言うので、みんながどっと笑ったのです、母上が違いますよと、本当の事を教えると、兄上は知らなかったのですねと言ったのです、
そうか、源四郎が言うたように味がないから汁ものから食うくせがついたのかと言うと、お律が今頃わかったのですかと言うので、ず~と不思議と思うていたのじあよと言うと母上、
が兄様みたいなくせを着けると、

本宅の母上様や高鍋のお婆様に叱られますよ、ちゃんと、飯から食うのですと教えると、ふたりが、はあ~いと返事したのです、母上から叱られた事はありませんでしたがと言うと、
旦那様がほうっておけと言われたからですよと言うので、源四郎は気の毒じあなと笑ったのです、お節悪いが庭にシソの葉があるじあろう、上に実がついているから、少し積んで、
きてくれと言うと、

ハイと言って部屋を出て積んでもどったので受け取り、実を外して叩いて小皿に入れて、源四郎と安兵衛の飯に振りかけて、食うてみろと言うと、二人が食べて美味しいと言うので、
お律が飯をだすので振り掛けると、食べて、本当だ美味しいと言ったのです、源四郎と安兵衛が母上あしたからこれを振りかけてくだされ、そうすれば飯から食いますと言うと、ハイ、
そうしましょうと笑ったのです、

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