第13話

文字数 2,689文字


源三郎江戸日記(弟二部)13

周りは急がしそうで御座るが、それがしはそうでもありませぬと言うと、主席家老は人使いが、上手う御座るので感心しておりますと言って、稲葉の手のものが城下に入りましたぞ、
高木監物と言う男が、この書付をよこしましたと見せるので、村上源三郎は高鍋藩の、ま回し者にて上杉家乗っ取りをたくらんでおる、手の者がお助けするので早急に排除されたし、

余もかの者にいささか遺恨がある、排除に成功したあかつきには幕府の旗本として2000石にて召抱えると書いてあったのです、ほう2000石ですか旗本なら改易の恐れは少ないですな、
と言うと、こんな約束を守るものですか、それがしと喧嘩させて、それをお家騒動として取り潰す積りでしょう、引っかかったふりをしますので、どう料理するか教えてくだされ、
と言うので、

千坂殿が乗らねば一門を抱き込むでしょう、一門は馬鹿ぞろいにて上杉を潰すとは思わず、稲葉の策に乗るやも知れませぬ、一門は千坂殿を担ごうとするでしょうと言うと、さて、
どんな狸になりますかな、暫くは担がれたふりをしますと言うので、お願いいたします、もう直ぐ稲葉は印旛沼の水路で、痛い目にあいます、そうすれば上杉どころではなくなり、
ますよと言って、

訳を説明すると成る程それは面白い、しからば狸寝入りでもしていましょうと笑って部屋を出て行ったのです、印旛沼から利根川の水路が完成して、稲葉は大喜びしていたのですが、
いよいよ台風シーズンとなり、多くの台風が日本列島めがけて、進んでいたのです、関東に上陸しなくも小笠原あたりを、通過すれば大雨になります、稲葉は完成しているのでよも、
や利根川が氾濫して逆流するとは夢にも思っていなかったのです、

相模屋は逆流を恐れて沼側に、堤防を築き沼の水は横の川に流れて、二つに分かれた下の沼に流れるように、川幅を広げて工夫していたのです、こうすれば干拓した場所は流出しな、
くて済むわけなのです、これは源三郎が相模屋に教えていたのです、稲葉は早速綱吉に完成した事を知らせると、よくやった、これで干拓はし易くなったなと言うので、干拓の進み、
具合はと聞くので、

柳沢が今まで約8千石の干拓が終り、来年は作付けできるそうですと言うと、それで小判になおすといかほどになるのじあと聞くので、年間幕府に入るのが1200両あまりですと言う、
と、それでは8万石増えれば1万2千両じあな、なんとしてもそれくらいは干拓せよと言うと、今は湧き水の少ない場所を干拓していますので比較的容易ですが、沼の中心部にはいれ、
ば湧き水もおおくなり、

干拓は困難を極めますと言うと、それではどの位が可能なのだと聞くので、およそ4万石ですから、6千両あまりかと思いますと言うと、それでは20年かけて、やっと元がとれるのか、
それでは干拓しても意味がない、何としても8万石増やすのだと言ったのです、稲葉が所詮は相模屋は金をつぎ込む事になろうとほくそえんだのです、柳沢はばかめ今にみておれ後、
半月もすれば大雨になり、

逆流して3万石と水路はパアだなと腹で笑ったのです、水路の稲葉領にある庄屋達は、請けおった親方達が出口は利根川の半里下に変えるので逆流の心配はないといっていたのですが、
いざ蓋を開けて、これ以上の金がでないと知ると、今とおなじところの出口を広げたのです、慌てた庄屋達が、あそこは高低差が4尺しかなく、堤目一杯に濁流がながれれば逆流する、
と佐倉藩の家老に直訴したのですが、

利根川の水がそんなところまで、くるはずはない、これ以上は幕府も天満屋からも、金は出ないと突っぱねたのです、親方達は工事が終ると、金を貰いみんにな、引き上げたのです、
庄屋達は今年は大雨がふらなければ良いがと神に祈るしかなかったのです、源三郎は馬に乗り名主の得衛門の家に行くと座敷に案内したので座り、次の名産品を探しているが何かな、
いかなと言うと、

そうで御座いますなと言うと、娘のお絹がお茶とお茶うけの菓子を持ってきて、おいでなされませと挨拶するので、娘の絹にございますと言うので、ほう中々の美形じあがと言うと、
まあ、ご家老様はお口も上手なのですねと言うので、お世辞ではないと笑うと、話を聞いてしまいましたが、お菓子を名産になされてはと言うので、ほう米沢に美味しい菓子がある、
のかと聞くと、

目の前にありますと言うので、これかと言って一口食べると、うん、梅のようじあが、甘酸ぱくてお茶受けには中々良いなと言うと、完熟の梅の肉に寒天と砂糖をいれて作るので、
す、米沢には梅の木が沢山ありまして大粒の梅がとれますと言うので、成る程これは良いな、江戸で食うた事がないと言って、湯のみに入った茶を飲むと、うん、これは茶では、
ないな、

道理で茶にしては色がおかしいと思うたがと言うと、それは梅で作った酒にございます、女子が好んで飲むのですよと言うので、成る程甘くて男には会わぬかもしれんが女子には、
丁度良いかも知れぬなと言うと、この辺の村では大体作りますというので、そうか、この土地の者は普通にあるので名産になるとは思わないのか、お絹でかしたぞ、これ二品を、
米沢の特産物にしょうと言うと、

得衛門がそうで御座いますなわたしも全然気づきませんでしたと笑ったのです、これを作る名人はおらぬかと聞くと、私は名人ですとお絹が笑うので、それでは物産会所で教授方、
をやり、この二品を作る指南をしてくれないか、勿論給金はでるぞと言うと、まあ、給金も出るのですかと言って、お父っさん良いでしょうと聞くと、ああ、ご家老のお頼みだ、
奉公しなさいと言ったのです、

それではお絹に頼む事にしょう、梅の仕入れは得衛門に頼む事にして、お絹には物産会所で、梅酒と干し梅の作り方を指南してもらおうと言って、さつそく会所に行くぞと言って、
得衛門にお絹を借りるぞ、褒美に美味い物を馳走するので少し遅くなるかも知れんが、送り届けるので心配するなと言うと、ハイ、どうぞ宜しくお願いしますと言うので、お絹は、
馬に乗れるのかと聞くと、

ハイと言うので、家人に馬に鞍を付けさせると、お絹が袴に着替えてきて馬に乗ったので、いくぞと言って進んで行き、野原に出たのでムチを入れると、お絹もムチをいれ勢いよく、
走ったのです、野原の出口に来たので馬を止めて、中々乗馬も上手いではないかと言うと、小さいころから馬に乗っています、村は広いので馬でないと回れないのですよと言ったの、
です、

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