第20話

文字数 2,849文字


源三郎江戸日記(弟二部)20

井戸のつるべには必ず両紐に桶がぶら下げてあるじあろう、一個あれば片方を引き上げれば良いのではないかといつも不思議に思っていたのじあ、大工に言うと、あれは両方につけた、
桶の重さを無くす為についているのだと教えてくれたのじあ、なるほど両方に付けておけば桶の重さがなくなり、あとは水だけの重さになるので、力があまりいらなくなるほけじあな、

それに水も重いので箱に雪を詰めれば結構な重石になると思ったのじあよと言うと、お絹がなるほどつるべを見ていい策が浮かんだのですね、荷の重さと雪の重さが一定であれば同じ、
高さまで何もせずに持ち上がり、馬に引かせれば簡単に頂上まで持ち上がるわけですね、峠にはふたつの箱を置いておき、下に行ったら箱の雪を空にして、峠のもう一つの箱に雪を、
入れて下に落せば、

空箱は峠に持ち上がると言うことで、ぎったんばっこ、にする訳ですかと言うので、何にでも先人の知恵があると言うわけじあなと、酒を飲み干したのです、女将がでもご家老だから、
そこに結びつくのですよ、凡人はそこには、結びつきませぬと言うと、お絹がご家老はあくせく働くのが厭で、いつも楽をしょうとするので、何にでも興味が沸くのですねと笑うので、
まあそういう事じあよ、

だから職人には向いておらんし、宮使いも苦手と言うわけじあなと言ったのです、七衛門が源蔵様が博多にお戻りになり、今月の15日過ぎに加賀から江戸への荷が出発するそうです、
今頃は加賀へ出発されているころです、能登あたりで時期がくるのを待たれると言うておりましたと言って、それがしは明日使者のの方と江戸にもどります、後は番頭に頼んでおき、
ますと言うので、

船子は火矢の調練をしておるだろう、お前は火矢の足軽頭として戦に参陣させてやろう、船に装備してある火矢100本集めておけ、それをもって千葉から川船で金寸、花火、発射筒、
火矢100本を運んでくれ、みんなに火事装束の格好をさせておくのだ20人もいれば良いだろうと言って、大将の陣羽織をやろう、女将屋敷に使いを出して、陣羽織をもってきてくれ、
と頼んだのです、

ご家老の手助けが出来て船頭、船子が喜びますというので、戦なれば小太刀、鎖帷子、篭手、すね宛は忘れるなと言うと、皆に用意させて手柄を立てますと喜んだのです、但し余計、
な事はするなわしの指示通り動けば怪我はせぬぞと言ったのです、お絹が七衛門さんは足軽大将なのですかと聞くと、ハイご家老の副将なんですよと笑うと、お絹が上杉家中だけで、
なく色んな所に郎党がいるのですねと言って、

時種様も出陣なさるのですかと聞くので、あ奴には留守を守ってもらわねばならんというと、ハイ、二人でしっかり留守を守りますと言うので、お峰も連れて行くので屋敷の者達も、
頼むぞというと、ハイ、お春様をお守りしますと言ったのです、お峰が陣羽織を持ってきたので、座らせて杯を渡して酌をすると飲み干し、どこにお出かけでと聞くので、それは、
七衛門にやるのじあと言って、

事情を話し今月の25日には江戸にもどるぞ、支度してくれお峰も一緒じあと言うと、戦に御座りますな承知致しました、お春には留守を守るようにいいけます、それでは七衛門宜し、
くな、みなさんもごゅつくりと言うと屋敷に戻ったのです、陣傘はお前の紋章入りを作るのじあと言うと、ハイ、これを来て参陣いたしますと言つたのです、すつかり遅くなったが、
お絹は送ってやろうと言うと、

今日は城下でお父っさんの弟が呉服屋をやっているので、その用事で来たのです、そこに泊まりますのでご心配なさらなくても結構ですと言うので、そうかと言って、そでは屋敷に、
戻るぞ、七衛門勘定は宜しくなと言って料理屋を出たのです、屋敷の傍にくると高木達5人が出て来たので、やっと顔を見せたか、一門は総て謹慎になった、それでわしを直接襲お、
うと言う訳かと言うと、

お前を討ち取るまでは江戸にはもどれんと言うので、そうか、江戸での変事を知らんのじあな、稲葉殿は登城差し止めになり佐倉へ戻っているぞ、直ぐに引き上げるように繋ぎが、
くるはずだと言うと、何をしたのだと聞くので帰って稲葉様に聞くが良い、ここで死んでも仕方ないだろうと言うと、高木がみな手を出すなと言うと、刀を抜き構えるので、肩は、
大丈夫なのかと言って、

刀は抜かず間合いを取ると、高木はえい~と左袈裟切りに振りぬいたのですが、刀は源三郎の肩に当たりがキンと音がして止まったのです、怪訝な顔をしているのでいつも戦支度、
をしているのじあと言って右手を掴みねじると刀を落としたので、足で蹴飛ばすと尻餅をついたのです、落とした刀を投げて、無駄な事じあ、そうそうに下総に立ち返れ、わしも、
下総に行くので、

そこで決着をつければ良いと言うと、立ち上がりわかった、下総ではこちらも戦支度で待ち受けるぞと言うとその場を離れたのです、高木が飛脚便屋に顔を出すと、今飛脚便が届、
来ましたと渡すので、広げると早急に下総に戻れとだけ書いてあったのです、家に戻り明日下総に戻るぞと言うと、配下が奴の言う事はまこと御座いますかと聞くので、仔細は分、
からんと答えて、

奴は左肩に鉄片を被せておった、わしが左袈裟切りに出るとしての防御をしていたのだ、尋常な立会いでは奴は倒せんなあと湯のみに酒を注ぎ飲み干したのです、奴にかかり会う、
のはよした方がよろしいのではと言うので、殿がお許しにはならん切り死にするしかないだろうと言ったのです、源三郎が屋敷に戻るとお峰とお春が出迎えたので部屋に入ると、

お春が奥方様より聞きました、しつかり留守は守ります、ご武運をお祈りいたしますと言うので、何回かは様子見に戻るの息災にしておるのじあ、そなたは米沢を守る役目じあと、
言って、出立までまだ日はあると言ったのです、明日が出立の日になったので家人を集めて留守はたのむぞと言ったみんなで夕餉を囲むと、郎党の秋山がそれがし達も殿について、
行くわけにはまいりませぬかと聞くので、

その内に機会があるじあろう、それまでは待つのじあ、ここを守るのも重要な役目じあ、お前達の腕も大分あがったようじあ、冬になれば新田を開発している者が稽古に来るしつ、
かり指南するのじあぞと言うと、ハイ、奥方様の工夫のお陰で足腰が強くなりましたと笑うので、新田開発している者は、朝から晩までくわを持って鍛えているのじあ、侮るでは、
ないぞと言うと、

お春が女子共はわたしが手ほどきしますと言うので、お峰お春のすじはどうじあと聞くと、中々すじは良いのですよ、時たま一本とられますと言うので、ほう、それは大したもん、
じあなと褒めると、いつでも殿の警護が出来ますると言うので、それは頼もしいと言って、おタミ息災でなと言うと、ハイ、家の事はお任せなされませと言ったのです、夕餉が、
終り、

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