第51話

文字数 2,829文字


源三郎江戸日記(弟二部)51

翌日源三郎は幕府の勘定奉行に、印旛沼用水路工事の完成図書を提出したのです、第一章は工事の概要、絵図面、水門の構造、緩衝池の役目と、構造等の工事に関する説明書である、
第二章は用水路を水運として活用した場合の効果をこと細かく解説してもの、第三章はそれに付帯する成田街道、木下街道の整備の重要性についてである、これを見た勘定奉行は、
ただの水門工事ではなく、

江戸の食料不足を解消する為の秘策だとして大喜びしたのです、勘定奉行が見識の広さに驚き申した、早速上様にお見せ申す、よく短期間で完成なされた、これだけの事をやられた、
ので御座れば資金は不足したのでは御座らぬか、追加の願いをお出し申そうかと言うので、足り申したのでお気使いは無用に御座ると言うと、それがしが概算すればゆうに5万両は、
かかる規模で御座る、

恐れ入り申したと言うので、確かにお渡しいたしましたぞと言うと席を立ち城を下がったのです、その足で高鍋藩の上屋敷に行き、政種様の御座所に行くと、おう、源三郎戻ったか、
水路の水門は完成したそうじあな、ご苦労であった、そなたを治憲に付けてよかったぞと言うので、ありがたいお言葉で御座いますが一つ殿にお詫びせねばなりません、拝領しまし、
た小太刀を、

今回の工事に尽力した者に下げ渡してしまいました、申し訳御座りませんと言うと、そなたに遣わした物じあ、そなたがどうしようと勝手じあよ、新しい物は治憲から貰えば良いと、
言うので、ハイ、お頼みしてみますと言ったのです、合戦にも勝ったそあじあな、目出度い、今度は秋月の旗も翻してくれと言うので、承知仕りました、江戸城にでも翻しましょう、
かと言うと、

これ、これ、そのような事を申す出ない、上様が腰を抜かすではないかと大笑いしたのです、玉姫がやってきて、戻ったのか、糞を投げ合うとは匂いはせぬかと言うので、風上に陣、
をはりましたゆえ、わたしにはかかりませんでしたと言うと、稲葉様は災難だったなと笑うので、懲りたようなので、高鍋藩と米沢藩には今後手はださないでしょうと言ったのです、

暫くは江戸にいるのかと聞くので、治憲様にご報告に米沢に行き、直ぐに戻りますと言うと、兄上は寒くて震えておられるでしょうと言うので、いいえ、ぬく、ぬくとお過ごしです、
と答えると、米沢は雪に埋もれるのであろう、寒くないのかと聞くので、寒くないように、工夫してありますと言うと、どんな工夫じあと言うので、炬燵の話をすると、そんな物が、
あるのか、

江戸も寒いよって、わらわにも作ってたもれと言うので、承知しましたそれでは早速と言うと、腰元に火鉢とそれより高い座卓をもってきてくれ、それに薄での布団も頼んだのです、
持って来たので火鉢に座卓を被せると、これなら大丈夫です、火鉢より随分高いので燃える事はありませぬと言って薄での布団を被せて、さあ、玉姫様足を投げ出してここに座り、
なされと言うと、

玉姫が座って、なる程ぬく、ぬくじあな座布団を敷けば、調度良い高さじあと言って、座布団を敷いて座ったのです、そこの上に広い板を置けば、読み書きも出来ますぞ、座椅子、
をおけば腰も疲れませぬというと、父上もお入りなされませと言うと、政種が座り、なる程これはぬく、ぬくじあなと言って、これもそなたの工夫かと言うので、いいえ奈良の都、
の時代に宋から入ってきたそうに御座います、

武家は軟弱になるとして使わぬそうですが、やせ我慢はしなくても良いと思いますると言うと、なる程ここから出たくなくなるなと笑ったのです、これはどこでも持ち運び出来るの、
で良いなと喜んだのです、殿御座所では使われませぬようにと言うと、わかっておるわ、源一朗に叱られわと言ったのです、母上にも教えてしんぜよう、喜ばれるわと言ったのです、

床下に設ければ椅子に座っているようで楽に御座いますし、大きな物を作れば大勢で入れますがここで寝てはいけませぬ、体の水分が減りますので補給してと下されと言ったのです、
わかったぞ、そうじあな、大工に言うて、玉の部屋に作らせよう、腰元共にもいれてやりましょう、と喜んだのです、とりあえずご報告に、来たまでに御座います、叉お伺いいたし、
ますと言うと、

源一朗にも言ておくぞと言うので、御座所を下がり深川に戻ったのです、玉姫がほんに源三郎は賢い男でございますなと言うと、そうじあな、こんな物があるとはわしも知らなかっ、
たぞ、少し寝転ぶかと言ってまくらを持ってこらせ寝転ぶと、寝てはいけませぬよ、体の水分が抜けてしまいますよと玉姫が言ったのです、源三郎は玉姫様が婿選びの事を聞かれな、
くて良かった、

聞きに参られたのであろうが、炬燵に夢中になりお忘れになったのじあな、大成功じあと笑ったのです、勘定奉行は柳沢に源三郎が持って来た完成図書を差し出し、見事な出来栄え、
に御座りますと言うと、そうか、早速上様にお見せしょう、そなたが説明せよと言って御座所に行き、老中、若年寄りを集めて回覧すると、みんながこれは見事な施策に御座います、
なあと感心したのです、

綱吉が出て来ると、柳沢が水門完成の報告を源三郎が持ってきました、勘定奉行より説明させますと言って差し出すと、随分厚いようじゃがと言ってめくり、中々のものじあなと言、
うので、勘定奉行がまずは絵図面をご覧くださりませと緩衝池、水門の構造を説明し、水門は船のイカリを巻き上げるのと同じ仕組みだそうで御座ります、二人で開け閉めできるよ、
うに工夫してあるとの事で御座います、

叉水路の活用方、水路を使っての江戸への物資輸送等が詳しく書かれておりますると言うと、なる程100万を超える江戸の民の食料の確保は重要な事じあな、さすがわ源三郎じあな、
費用も下しおいた金寸でまにおうたと申すか、大したものじあな、あ奴に頼んでよかったであろうと言うと、みながハハ~ツと頭を下げたのです、何か褒美をとらせねばならんがと、
言うので、

柳沢がかの者は金寸などは欲しがりませぬと言うと、それなら老中がそれぞれ、これと言う物を使わせば良いではないか、何かないのかと聞くので、柳沢がそれがしからは、南蛮の、
遠眼鏡を下しおきましょうと言うと、土屋がそれなら、それがしからは南蛮の医術書をやりますと言って、秋山はそれがしからは、南蛮の事情をしるした書物をやりますると言うと、

南蛮の物かそれは良い、その中に今後に役に立つ手法も、沢山書いてあるのじあろう、定期的に翻訳させておるが、みなには猫に小判であろう、あ奴なら、上手く使うに違いないな、
そうせいと言って、水門の工事も終った事だし、稲葉を呼び戻し老中に復帰させよ、源三郎の差配を見て一皮も二皮もむけたであろう、吉保使いを出すのじあと言うので、柳沢が、
承知仕りましたと言ったのです、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み