第3話

文字数 3,070文字


源三郎江戸日記(弟二部)3

なる程土地の者なら詳しいはずだと頷いたのです、桑山がご家老は治水にも詳しいのですかと聞くので、うけおりだよと言うと、桑畑も治水は大事なのです、水はけの良い土地を選、
ば無ければ、かいこが好んで食べるよい葉は出来ないのですと言うので、なんでも土壌が大事と言う事じあなと言うと、ハイ、土をなめて甘く感じればどんな作物も丈夫に育ちます、
と言うので、

土の中の養分を作物が感じとって根が成長するので、大地に根が沢山はる分だけ栄養が行きわたると言う事かと言うと、その通りで御座いますご家老は百姓にもなれますなあと言う、
ので、桑山の作った桑の葉とわしが作った桑の葉のどちらを先にかいこが食うか勝負してみるかと言う、おもしろう御座いますね、負けませぬぞと言うので、よし米沢で勝負しょう、
わしに勝つたら、

一日桑畑の作業をやってやろう、わしが勝つたら桑のみを使った食べ物をご馳走するのだと言うと、承知しましたと言うと、お勝つが桑山様、敵は尋常な手ではかかって来ませんよ、
あの目はかいこが絶対食べる方法を思いついたのですよと言うので、桑山が桑の葉に蜂蜜をぬるなんてのはダメですよと言うので、わかっておるが、まあそれに近いなと酒を飲み干、
すと、

自然に育った桑の葉でないとダメですというので、それも分かっておると笑うと、何か厭な予感がして来ました、教えてください、私が目が点になったら私の負けですというので、
しからば教えよう、先ほど土をなめて甘く無ければだめだと言うたろう、お前が甘いと言うたのは作物に入って甘くなる成分が含まれているのであろう、したがって普通の人間が、
なめても甘く感じる物ではない、

一番良いのは菜種油を取った油粕だろう、それを土に混ぜて桑の葉を育てれば葉っぱが甘くなりかいこが喜ぶわけだと言うと、何と油粕ですか、私は馬糞を発酵させた物を使いま、
すと言って、これは内緒ですよと言うと、なる程馬糞かと笑うと、お勝つがほら引っ掛かったでしょうと笑うので、しかし油粕も良いですねと言うので、何処でお知りになった、
のですかと聞くので、

高鍋でわしの祖父がスイカを甘くするには菜種油を取った油粕が一番と言うて、土に混ぜられていた、そのスイカがとても甘いのじあ、又みかんも甘くなるぞ、この養分が日光で、
で糖分に変わり甘くなるわけだよと言うと、なる程これは恐れ入りましたと言って、私の負けです、美味しい桑のみをつかった料理をご馳走しますと桑山が言ったのです、

源才がご家老は油断も隙もありませぬなあと酒を飲み干すので、さすがに焼き物を上手く焼く方法は知らんなあ、蕎麦と同じで土のこね方で良い焼き物が出来るのかと聞くと、知っ、
ているではないですか、土個ね3年と言いまして、空気が入らないようにこねて、こねるのです、そうすれば良い物が焼けます、後はかまどの温度を一定に出来るかが勝負ですと言、
うので、

それなら水車を使って餅をつくようについたらどうだ、同じ場所ばかりだとダメなら、何回かに一回臼を傾けるとかと笑うと、何と水車でこねるですか、面白い、上手くいけば大量、
に良い物が出来ますねと感心したのです、みんながご家老の頭はどうなっているのですかと言うので、みなはそれを専門にしているので気がつかないのじあよ、将棋は外から見てい、
ると良くわかるが、

自分が指していると意外と間違いをやるだろうと言う、若狭屋がなる程そうで御座りますなあと言うので、ボタンがようするに源三郎様は自分では何もやりたくない、あまのじやく、
なのですよ、だから、他人とか機械を使うのが長けているわけなのですと言うので、総て読まれているみたいだなと大笑いしたのです、4人が愉快なご家老様ですなこれなら安心し、
て米沢にいけます、みんなで頑張ろうと4人が杯を傾けたのです、

源三郎が一応討ち入った者の遺児と、討ち入らなかった者の救済はある程度できたが、討ち入らなかった者が、世間かそれをらさげすまれないようにする策はないもんだろうかと酒、
を飲み干すと、若狭屋がそれなら第一陣は大石殿以下50人で、もし失敗した時に備えて第二陣は次席家老が仕官している者も含めて新たに血盟の儀を行い討ち入る事になっていた、
それを京の丸山会議で決めた事にすればどうですか、

50人のうち3名は病死してしまった為に最後は47人になった、50人に分けたのは吉良の屋敷にほぼ50人が待ち構えている事を知っていた為、これより大勢で討ち入れば卑怯になるので、
大石殿は人数を同等にしたのだ、しかし第一陣が討ち入りに成功した為に第二陣は必要なくなたが、大石殿は成功したあかつきには第二陣は必要なくなるが、これは戦であり、戦には、
予備兵力は必ず温存しておくのが決まりである、

大石殿は丸山会議で討ち入るも忠義、討ち入らざるも忠義である、第一陣に選ばれなかった者はもしもの時には宜しく頼むとおおせられたとしてはどうですかと言うので、源三郎が、
実は大野黒兵衛どのは大石殿から第二陣を頼まれていたそうなのです、それで赤穂に50人が留まっていたそうなんですと言うと、本当なら都合が良いではないですか、第二陣の名前、
は類が及ぶといけないので名前は伏すと瓦版に書くのです、

ついでに討ち入りまでの逸話も一緒に、載せれば飛ぶように売れ、討ち入らなかった者もさげすまれる事が、少なくなるのではと言うので、なる程大石殿が討ち入るのに傍観していた、
幕府です、この者を咎めれば世間から非難を浴びますので、知らん顔をするでしょうと言って、さすがは若狭屋にござると言うと、それがしも少しは知恵が回りますと笑ったのです、

みんなは飲んでいてわしは瓦版の版下、玉屋に行ってくると言うと出掛けて、玉屋にこの事をはなすと、なる程それは評判になりますよと言うので、経緯と逸話を幾つか話すと、書き、
止めて、それでは大石内蔵助の忠義ですから忠臣蔵となずけましょう、忠臣蔵に第二陣があった、大石内蔵助は討ち入りが失敗した時の為に弟二陣の討ち入りを計画していたと言う事、
と、

大石東下りの日野家用人との逸話、大高源吾の両国橋での宝井其角との逸話、吉良屋敷の図面を手にいれる為の、大工の棟梁の娘と岡野金右衛門の悲しい恋の逸話これは嘘ですが、中、
には嘘も必要ですし、岡野金右衛門は美男子だったそうで、こんな事があってもおかしくありやせんよと言って、見せるのでなる程これなら飛ぶように売れるぞと言うと、明日一番で、
江戸中に流しますと言うので、

玄海屋の七衛門にも渡し、京、大阪でも流して貰ってくれと言うと、ハイわかりやしたと言って彫り方にもって行くように番頭に渡したのです、翌日はこれが巷に出て瓦版は飛ぶよう、
に売れたのです、奉行がこの瓦版を若年寄りに渡し老中の手元に届くと、柳沢が大石の討ち入りを知っていて知らん顔したので今回も知らん顔すれば宜しゅう御座います、さすれば、
上様の心の広さに民は喜びますと言うと、

綱吉がそうじあな、終った事じあ無用にも刺激せぬほうが良いじあろう、しかし、この逸話は本当か、中々面白いではないかと言うので、恐らく本当半分、嘘が半分でござりましょう、
その方が民は喜ぶのですと言うと、これも奥の者共に見せてやろう、この恋の話は女共が喜ぶであろうと、御座所を出ていったのです、柳沢が源三郎め策をろうしおったなと呟いたの、
です、

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