第6話

文字数 2,690文字


源三郎江戸日記(弟二部)6

源信が戻ってきて、奴らは怪我人を寺に収容して、医師を呼び手当てさせています、死んだ者はおらず、10人が重症で12人が浅手です、寺の住職に頼み監物以下5人は江戸へ向かいま、
したと言うので、ご苦労であった後は米沢で落ち合おうと言ったのです、会津からは二日の道のりです、翌日は軍装を解き米沢へ進んでいったのです、二日に国境手前の宿場に着き、
ここで一泊して、

翌日は国境より一里手前の待ち合わせ場所の寺に行くと、千坂兵部が無事のお国入りおめでとうござりますと挨拶するので、治憲が出迎えご苦労じあと言うと、先に着きました交代、
要員もそろうておりますと言うので、それでは行くかと治憲が声をかけると、槍隊を先頭に峠を進み米沢領に入ったのです、治憲は道中奉行を呼び民は土下座には及ばぬ、軽く会釈、
をするだけで良いとふれてまわれと命令したのです、

昼に宿場で昼餉を取り休息後出立して、程なく城下にはいると大勢の藩士の家族が出迎えて、その荘厳ないでたちに目を見張っていたのです、城にはいり旅支度を解き大広間の上段、
に座り、家老をはじめとして藩の重役、一門が列席した中で、余が上杉治憲じあ、知っているとおり我が米沢藩は、財政はきわめて悪い、江戸表の建て直しはほぼ終ったが、国元の、
改革を急がなければならん、

余の改革に従えぬ者は一門といえど厳罰に処する、みなの者心得て余の下知に従うのじあ、尚家禄の減封、借り上げは行わない、仔細は明日全員登城せて主席家老から言い聞かせる、
重役の更迭は行わない以上である、家老を除いて役目に戻れと命令すると、ハハ~と全員頭を下げると、重役を除い退席したのです、千坂が借財の手当てが出来た事を話しましたら、

藩士は落ち着きを取り戻し、領内はいたって平穏に御座いますと言うので、治憲がそれは兆帖じあと言うと、まずは奥をご案内いたしまするとお納戸奉行が言うので治憲は立ち上がり、
源三郎やつくり休めよと言って、柘植を連れて奥に入ったのです、千坂が村上殿の屋敷は用意してあり、女中、小者、郎党は用意してあります、ここに控えおります広田が用人を勤め、
ますと紹介したのです、

源三郎が宜しく頼むと言って、時に千坂殿一門の様子はどうで御ござると座るかと聞くと、中々手ごをう御座るぞ、それがしを始め歴代の主席家老も手を焼いて言うので、そうで御座、
るか、それは弟骨の折れることですなと言うと、その子弟達が徒党を組み改革の邪魔をせねば良いがと思うています、お気をつけなされと言うので、頭はだれで御座るかと言うと、

一門の1200石上杉正行殿の倅れ正光に御座います、城下の料理屋で一門の倅と過激な、藩士を集めて毎夜集まっている、そうですと言ったのです、そうですか、少しお灸をすえてやり、
ましょうと言って、それでは今日はこれでと言うと、広田がご案内いたしますと言うので、お峰をともない城を下がったのです、屋敷は大手門のすぐ脇にあり門を入ると、郎党、使用、
人が頭を下げるので、

これからは会釈ていどでよい、宜しく頼むぞと中へ入ったのです、奥座敷に行くのに庭があり庭園になっているので、中々の屋敷じあが元の持主はと聞くと、上杉正行様の別邸で御座、
りました、新しく建てられましたので、空家になっていたのを改装したのですと言うので、新しく建てたとなると、よほど懐具合は良いのかと聞くと、立替費用は総て藩が負担して、
おりますと言うので、

だれが許したのじあと聞くと、先の国家老様ですというので、なんと贅沢なと言うと、一門に味方する石高の高い藩士は多くて誰も手は出せないのですと言うので、その辺の改革から、
じあな、城までの道中に、壊れた橋や川があったがなぜ補修しないのだと聞くと、財政が逼迫しているとかで名主が願いでてもお許しはでませぬと言ったのです、これから願いを出し、
ている、

名主に使いを出して、全員屋敷にくるようにするのじあ、その者達の膳を用意しろ、籠の中に500両入っておる当座の費用にしろ、家人にも不自由はさせるなと言うと、これは助かり、
ますと喜んだのです、座敷に座ると女中頭のタミに御座います、無事のお国入りおめでとう御座りますといって、腰元4人を紹介するので、お峰が宜しゅうたのむぞと言って、台所に、
案内せよと言うと、

そのような所は女中におまかせ下されと言うと、ならぬ、これからはわたくしが差配すると言うと立ち上がり、案内させたのです、広田が奥方様は料理なさるのですかと聞くので、
その家の台所は奥が仕切るのは当たり前じあ、女子は子を生むだけが仕事ではないわと言うと、そうで御座りますなあと言うので、そなたは家族はと聞くと、妻女に、息子と娘が、
おります、

両親はすでに他界しておりますと言って、それでは名主に使いをやりますと言うので、郎党に集まるように言うと、5人が入って来たのでここに20畳位の部屋はないかと聞くと、放れ、
が二部屋でフスマを開ければその広さになりますと言うので、放れに行き総ての畳を上げて物置にいけれよと命令して、畳を上げさせてここを道場にする、お前達の名前はと聞くと、

山田、秋元、城田、木村、佐藤と言うので、それでは山田からかかってまいれと言って木刀を受け取り構えると、打ち込んで来たので木刀で払いのけ足をかけるとひっくり返ったの、
です、次だと言って次々と打ち据えると、まあ普通の腕じあな、それではわしは守れぬ、大工に言うてそのフスマの桟を平らにして、竹刀を用意しろ、わしが指南してやろう、わしは、
江戸の堀内道場の目録持ちだ、

相手を倒す実践の剣を教えてやると言うと、宜しゅうお願いしますと言うので、道場らしくせよと言いつけて部屋に戻ったのです、タミがお茶を入れたので飲んで、上手いお茶の入れ、
かただなと言うと、殿様は褒め上手ですねと言うので、本当に上手いぞと笑ったのです、この辺は良い茶の葉もとれるのかと聞くと、ここかに4里程の山間は昼と夜の寒暖の差が激し、
いので、良い茶葉が取れますと言うので、

なぜ名産にしないのじあと言うと、茶づくりに専念すると稲作がおろそかになると郡奉行がお許しにならないので、少ししか茶畑はありませぬと言うので、何を言うているのじあ、
奨励して副業にすれば良い実入りとなり、それを売る商人から冥加金を取ればよいではないかと言うと、頭の硬い役人ですからと笑うので、それも殖産に一環にしょうと言うと、
百姓が喜びますと言ったのです、

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