第22話

文字数 2,829文字


源三郎江戸日記(弟二部)22

水路脇の野原の新田開発の話をすると、成る程4万石ですか、米沢藩に稲葉様から取り上げた3万石を褒美に渡し、印旛沼干拓の新田4万石とあわせて8万石を上様に献上なさる訳で、
すか、金寸に直すと幕府の年貢だけで年に1万3千両にもなりますよ、源三郎殿の褒美がここの勘定ではちと安いのではと笑うので、お勝つがもっと沢山ねだって、私たちにもおこぼ、
れをと言うので、

待つておれいくらくれるかのうと言うと、軍資金ならそれがしが用立てしますぞと若狭屋が言うので、幕府からせしめるので大丈夫だよと言って、預かりになった領地に陣屋を建て、
るので、そこに出店を開いて欲しいのじあ、2万両の内1万両を使うので百性への払いは両替せねばならんだろう、2分銀、2朱銀、銭が大量にいるので、手配して宿泊先の寺に一旦、
運び、

そこで両替して手数料を取ればよい、名主に小判を渡すので両替をして欲しいのじあと言うと、1万両ともなりますれば、手数料も安うできます、承知しました、若狭屋も大儲けで、
すと喜んだのです、女将がお見えになりましたよ、お呼びしてくれとの事ですというので、嫌みにわしからだとタイの塩焼きを出してくれと言うと、承知しましたと笑つたのです、

部屋に入ると、よう戻った今回はご苦労な事じあな、さあ飲んでくれと言うので、女将が酒を注ぐと飲み干し、随分手が込んでいるではないですかと言うと、ハハハ~全部気ずい、
ておるようじあのうと言うので、野原の新田開発と印旛沼の開拓の事を話すと、これで万々歳じあ、使者が戻ってきて奇策を話すと目を点にしておられたぞ、城に上がるのは厭な、
ようじあから、

終ったら上杉の屋敷にでも行って褒めてやろうとおうせであったと言うので、気苦労な事ですなと言うと、外様の屋敷に行かれたのは加賀藩、島津、伊達藩の大藩だけじあ名誉な、
事ではないかと言うので、治憲様は面識があるゆえ、任せてそうそうにそれがしは逃げますと言うと、まあそう嫌がるな、覚えがよければ今後何かと役に立つぞと笑ったのです、
今回の褒美じあと言うと、

用人が300両の風呂敷包みを差し出し、些少では御座るがと言うので、開けて300両に御座るか年1万3千両の儲けにしては安う御座るなと言うと、2万両の内1万両は残るであろうと、
言うと、さすがに計算が速いと笑うと、しかし、源三郎の奇策はいつも驚くぞ、緩衝池とは誰も気づかないだろうと言うと、女将がタイの塩焼きを出すので何の祝いじあと言うと、

8万石を上様に献上なさり大老の座をてに入れられる前祝いに御座ります、それがしからの進呈に御座りますと言うと、痛烈な皮肉じあな、ありがたく貰ろうておくぞと言ったのです、
ところで稲葉めは戦支度しているそうじあ、兵が足りねば貸すぞと言うので、手の内を教えると、何糞祭りじあとそれは愉快じあなあ、稲葉は臭くて暫くは上様の前には出れんじあ、
ろう、

敵に回すと恐ろしい男よのう、わしも気をつけねばと笑ったのです、祭りなら怪我人や死人が出ても問題にならぬだろう、後の事はまかしておけと言つたのです、赤穂浪士の遺児じ、
あが、来年には大島に流された6人の内体の弱い3人を特赦されるそうだと言うので、ありがとう御座いますと言うと、ほら、役に立つだろうと笑ったのです、それでは芸子を送りま、
しようと言うと立ち上がり部屋に戻ったのです、

お勝つが幾ら出しましたと言うので、広げるとまあ300両ですかと言うので一人20両で全部で100両じあとお勝つに渡すと、みんなが喜んだのです、新之助と三蔵と女将にそれぞれ、
20両づつ渡すと、新之助がこんな大金と言うので、いいのじあよと袖口に入れると、三蔵も貰うつておけと言うので、三蔵がありがたくと受け取り、女将が私は何もしていませんよ、
と言うので、

いいんだよわしの金ではないよと言うと、それでは遠慮なくと受け取ったのです、若狭屋は金持ちじから良いなと言うと、柳沢様の小判ですそれがしにも一枚と言うので1枚を渡す、
と、これで源四郎と安兵衛に何か買うてやりますと喜んだのです、それではお勝つと駒菊は顔を出して来いと言うと、ハイ、と言うと立ち上がり部屋を出て行ったのです、翌日は、
藩士100人を連れて、

お峰を連れて佐倉に向かったのです、お峰に鉄砲5丁が運んである、お峰が狙撃している間に5人の者が玉と火薬を装填すれば、連続で射撃が出来るというと、なるほどと言うので、
倒すのは敵の鉄砲隊だ、佐倉藩の石高では20丁が幕府から許されているので動員するだろう、片っ端から肩を射抜いてやれと言うと、ハイまかしておいて下さいといったのです、

二日で印旛沼水路の出口から一里ある寺について住職に暫く借りるぞと借賃50両を渡すと、こんな大金と驚くので取っておくが良い、今回はここら辺一体は上杉家の預かり地にな、
った。ここの近くに陣屋を建てて、町作りをすると言うと、ハイ聞いておりますというので、徒歩頭の山本七郎に使いを出して、名主に集まるように言ってくれと言うと、ハイと、
返事をして部屋を出て行ったのです、

七衛門がお待ちしておりましたと言うので、ほう、立派な足軽大将じあなと言うと嬉しそうです、兵量も運び込んであります、藩士の方の寝泊り小屋も沢山裏手に作つておきました、
とう言って、今頭の山本様の配下の方が部屋割りを決めておられます、かまど、鍋、やかん、ちゃわん、箸、湯のみも揃えてあります、煮炊きは十分出来ますというので、中々の、
段取りじあなと言って、

村の様子はどうじあと聞くと、村から出る事は禁じられており、賦役に借り出された百姓が怒っていますようです、名主が暴発しないように抑えているそうですが、十分な救済金、
を貰ってないとかで雰囲気は良くありませんと言ったのです、山本が近隣の名主が集まりました、20人ほどですというので部屋に行き、今回この地は上杉家の預かり地になった、

用水路の方は大雨が降っても、決壊しない方法があるので、今よりそれを説明すると言って、緩衝池の話をすると、成る程それなら大丈夫で御座いますなあ、しかし、工事の人足は、
見当たりませんがと言うので、その件は後にして、救済金は幕府から6千両、水路の補修に2千両がお前達に渡されるはずじあがと言うと、それが半分の3千両しか貰えずこれでは来年、
の春の作付けはできません、

叉田畑の修復も出来ませぬと言うので、けしからん話じあな、わしが皆に渡そう、それぞれの人数を申しでよ、ここにいる七衛門が渡してくれる、叉用水路の修復は賦役ではなく日当、
を払う、いまでの分も払うので申したてよ、叉田畑の修復には6千両別に用意してある、これもそれぞれ申したてよ、先払いとする、なお渡した金寸の管理は名主にまかせる、余った、
金寸は返さんでも良い、

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