第65話

文字数 2,846文字


源三郎江戸日記(弟二部)65

父親が本の事を話すと、ご家老様は何でも知っているのですねと酌をするので、知恵は金を生むのじあよと笑うと、こんなに色々してくださり勿体無い事ですとお夏が言うので、少しは、
親孝行できてよかったなと言って、さらにもう一つ指南しょう、これが上手くいけば大儲けできるぞと言って、武家は難しい漢字を使うが、町人はカタカナ、ひらがなが主体だろう、
そこでじあ、

イロハニホヘト、いろはにほへと、と一文字づつ木に彫るのじあ、これを20組くらい作り、木の枠を紙の大きさにして、格子を沢山作りそのなかにはめ込んでいき、出来たら後ろから、
木の板で蓋をして、これに全体に墨を塗り紙に押し付ければ本が出来ると言うわけじあ、20組作るのは同じ文字を一枚で沢山使う為じあよ、あまり使わない文字は少なくてもよいわけ、
じあ、

簡単な漢字も、彫っておけばよい、瓦版は一回、一回彫って刷るわけじあが、これなら彫る必要がないので、すぐに瓦版もつくれるぞ、おわったら格子から、はずせばよいわけじあな、
彫り方に彫ってもらって、大工に枠を作ってもらえばよい、大して金はかからん3両もあれば出来るじあろう、これで本を写本する必要はなく、何冊でもあっと、言うまに作れるわけ、
じあよと言うと、

新造は目を白黒させ、お夏はすご~いと驚いたのです、どうじあやってみてはと言うと、新造がハイ、これは凄い方法です、これだと直ぐに本がつくれます、絵なんかも彫っておけば、
本も面白くなります、ご指南ありがとう御座いますと言うので、この店は江戸一の本屋になるじあろうと笑ったのです、ご家老様はまるで学者様みたいですね、それで上杉家は立ち直、
ったのですねと言ったのです、

わしの祖父は深川の両替商の若狭屋だ金の事は若狭屋に相談するが良い、必ず便宜を図ってくれるぞと言うと、そうでしたか、それでお武家様にはない考えが出来るのですねと新造が、
言ったのです、それてはお夏もう少しわしに付き合うのだ、新造夕方には家に返すぞと言うと、どうぞ、いつでも良いですよと言ったのです、店を出て籠に乗り根岸に向かったのです、

屋敷に着くとお峰とお滝が出迎えて、お夏を見てびっくりしています、部屋に入り、訳を話すとそうなのですかと言っておゆみを呼ぶと、姉さんどうしたのときくので、宿下がりして、
きたのだ、おゆみも宿下がりしてもよいぞと言うと、お峰がゆつくりご両親の顔をみてきなさいと言ったのです、二人を深川に連れて行き、八幡様にお参りに行き、茶店で餡蜜を食べ、
させると喜んでいたのです、

こうやって見るとどっちがどっちか分からぬなあと言うと、実は双子なんです、双子は縁起が悪いと言う人がいるので、違う歳に生まれた事にしてあるんですというので、そんなのは、
迷信にきまっておる、気にしなくても良いぞと笑ったのです、おゆみがご家老様ありがとう御座ります、姉上とあんみつを食べるなんて何年ぶりかしらと言うと、お夏が7才の時ここ、
に来たのよと言ったのです、

それではわしの行きつけの居酒屋で一杯のんだら家に帰るが良いと言って連れて行ったのです、小上がりに上がると、おみよもびっくりしています、あれまあ、本当にそつくりだがね、
と言って、酒とアジの叩きをだしたので杯を重ねたのです、お夏が一箇所だけ違うところがあるんですよと言うので、どこだと顔を見比べたのですが、まったく同じです、顔ではあり、
ませぬが、

それは見せられないのですと言うと、おゆみが女子の大事なところの横、あしの付け根に私はホクロがあるのです、姉上にはありませぬと言うので、声もそっくりだし、そこは見る事、
は出金ぬからのうと言うと、お夏がでも摩り替わると、旦那様には区別がつくのですよと笑ったのです、二人がこのアジも美味しいですねと言って、今日は本当に楽しゅうござりまし、
たと言うので、

二人ともぺっひんだから嫁の貰い手は沢山あるじあろうと言うと、ご家老様みたいな人がいいですとおゆみが言うと、お夏がわたくしもご家老様がいいですと酌をしたので、これは、
男みよりにつきるなと酒を飲み干すと、気にいったら、お手をつけてくださりませと二人が言ったのです、考えておこうと言うと、きっとですよと言って、おゆみ抜け駆けはダメで、
すよと言ったのです、

それではそろそろ家に帰るといいと言うと、籠を呼び二人を乗せて送り出したのです、二人が実家に帰ると母親がおゆみも暇を貰ったのかい、今日は賑やかになるねと言って、良い、
ご家老様だねと言うので、八幡様に行き餡蜜を食べた事を話すと、新造がお手をつけてもらうといいねと言うと、ハイ、気にいってもらうようにするわよお父っさんと二人が言った、
のです、

根岸に戻り部屋に入るとお峰が驚きました、本当にそっくりでしたねと言うので、お滝もわたしも驚きましたと言うので、わしも上屋敷におゆみが来たと思ったのだよ、聞いたら違う、
と言うので、おどろいたのだよと言ったのです、今日はと聞くので、もうでかけぬぞと言うと、次席家老殿から金寸が届きましたがと言うのて、好きに使うが良いと言うと、ハイお預、
かりしますと言ったのです、

翌日お腹のやや子はと聞くとつわりが始まったのですと言うので、何か欲しいものはと聞くと酸っぱい物が欲しくなりますと言うので、それなら帰りにみかんでも買うてまいろうと言、
うとあまいのはダメですよと言うので、それは難しいな紀伊国屋の番頭なら知っているかも知れんなと言って根岸を出たのです、それでは紀州公にでも会いに行くかと言って、紀州藩、
の上屋敷に行くと、

今日は登城日ではないのでおられますと御座所に案内したのです、吉宗が出て来てよう来た、まあ足は崩せと吉宗も足を崩したのです、用水路の水門は完成したそうじあな、叉成田、
街道、木下街道も整備していると聞いた、それが完成すれば蝦夷、東北、下総からの食料が江戸に大量に運べて、品不足は解消されるじあろうと言うので、まだまだ江戸の人の数は、
増えまする、

後は西と北ですが北は江戸川、荒川の水路を整備すれば川越、戸田あたりまでさかのぼれますので、関八州の物資運搬も楽になります、西は海から小田原、熱海、三島、駿河の船便、
が発達しましたので物資が沢山入って来ています、陸路は箱根山がありますので難しゅうございますと言ったのです、今日来たのは借財の件じあな、貸し付けてある2万両は返さんで、
も良いぞ、

文左衛門が今年は莫大な冥加金を納めたので知恵と相殺にしてやろうと笑って、証文を家老に持ってこさせて返したのです、しかし、幕府からの2万両は借財しておられるのでしょう、
と言うと、今回西の丸に綱豊様が入られたので、わしへ気を使ってくださり返すには及ばぬと言う事になったのじあ、わしを次の将軍にとの声も多数上がっていたのでなと言うので、

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