第45話

文字数 2,871文字


源三郎江戸日記(弟二部)45

これはまいつたなあと思っていると、相模屋が現れて、お久しぶりで御座いますと挨拶するので、おふくがお父っさんは調理場にいますと言うと、ほう熊吉が皿でも洗っているのか、
と相模屋が聞くと、ハイ、店がいそがしいので手伝っていますと言うと、ご家老に会いに来たのだよと言うので、まあ上がれと言うと小上がりに上がり、随分大きな町ですなと言う、
ので、

飯場がそのままここに、移動したのでなと言うと、人足達も小屋ではなく長屋に入れたそうで喜んでいます、それに無事用水路の水門も出来たそうで、これで干拓にも拍車がかかり、
ます、叉ご家老に助けていただきましたなと言うので、上様のお頼みじあから断れんよと笑って、まあ飲めと言うとおふくが酌をして杯を重ねたのです、懐から瓦版を出して、江戸、
では大騒ぎでしたよと見せるので、

読んで玉屋のやっおもしろおかしく書きよってと笑うと、見てたものがいるのかと言うと、ハイ、銚子から帰りの行商人が松ノ木に登りみていたそうです、そのものが玉屋に教えた、
と言う事で瓦版に出したら、飛ぶように売れたそうで、町奉行が土屋様に渡し、柳沢様が上様にどうするかお尋ねになったら、糞合戦祭りはやるなと触れをだせば、上様が糞将軍と、
言われてはたまらんので、

不問にせよとおっしゃったそうで、腹を抱えてお笑いになったそうですと言うので、一番喜んでいるのは柳沢様じあろと言うと、そうですねと酒を飲み干したのです、相模屋に頼み、
があるのじあがと第一印旛沼と第二印旛沼との水路を船が通れるように広げて欲しいのじあがと訳を話すと、それはお引き受けしますよ、干拓地からの物資の移送にも必要な事です、

そうすると用水路の天領地側からの物資の移送も楽になり、上様もお喜びになりますと言ったのです、干拓は良いとして8万石も新田が増えるわけじあが、それを耕す百姓はどうす、
るつもりじあと聞くと、そこで御座いますよ、新田開発ばかり目が行きその事は幕閣では考えておられないのですよ、柳沢様は近隣の百姓の次男坊に分け与えればと言うておられ、
ますが、

どれだけいるのか今調べているところですと言うので、そんな者集めてもわずかな物だ、数千人からの働き手がいるのだぞと言うと、何かいい知恵はないのでしょうかと聞くので、
旗本8万騎にやらせれば良いではないかと言うと、お武家様がやるわけないですよと言うので、御家人と言う微禄のものが少なくとも数千人いるぞ、その者に知行地として与えれ、
ば、

人がいないと年貢も払えないので自分が入植して働くしかない、しかし自分の家族だけではとうてい無理なので誰かを雇うしかないじあろう、田植え、刈り取りの時だけは近隣の、
者を給金で雇うのじあよ、旗本の中でも八王子の千人同心はそうやっているじあないか、そのためにはここの陣屋町みたいな町が必要なのじあよ、まずは8万石増えた中に道の整備、
と町作りをして、

そこに住んでも楽しく暮せるようにしてやれば、入植者も増えるだろう、1町部では大体40石と言う事じあから、150表の米が取れる事になる、年貢を払っても90俵は残る、家族4人、
なら年間2石、8俵もあれば飯だけは食える、後は味噌、醤油、着物、家の維持費等なので十分生活できるじあろう、2町部あれば300俵となり180俵は残る、要するに農繁期だけ給金、
で働いてもらえば、

近隣の農民も豊かになるので、自分ところの作付けが終れば出稼ぎに行くものが増えるじあろう、相模屋は余った米を買い取り商いすれば儲かる、札差みたいに預かって売るのでは、
ないと言うと、なる程算術は大事に御座いますなと言うので、おまえは算術で商いをしておるのじあろうと笑うと、そうでした、ご家老は武士にしておくのは勿体無いですと酒を飲、
み干したのです、

米が取れるまではその者に40石分の扶持金を支給する事じあが16両として2000人じあから3万2千両じあ、これを払えば毎年1万3千両が幕府の実入りとなり3年で元が取れるが、干拓、
の費用5万両だしているので、元をとるのに更に4年かかり都合7年はかかるが、それ以降は儲けとなるが出さんじあろうと笑うと、そうなるとどうなりますかと聞くのでいいとこ4万、
石が入植して後は荒地となる、

幕府の実入りは年5000両で5万両を取り戻すのに10年かかる事になると言うと、まさにとらぬたぬきの皮算用ですねと笑ったのです、お前は5万両をどうやって取り戻すのじあと言う、
と、幕府の賦役ですから損しても仕方ないですよ、幕府のご用達として儲けるしかありませんと言うので、それには干拓内の町を整備して人を集める事じあな、まあ1000石位の領地、
は下げ渡すじあろう、

親族を旗本に取り立ててもらい、そこを知行地にすれば良い、そこに入植して田畑を作るのじあと言うと、1000石取りの武士がですかと言うので、元々は町人であろう出来ぬはずは、
ない、相模屋の家業が傾いても子孫は飯が食えるわけじあよというと、何世代も後になれば血も薄くなり助けやしませんよと笑ったのです、しかし良い話を聞きました、こうやって、
ご家老と飲む酒が一番美味いですと言ったのです、

ここは馳走するのじあぞと言うと、もちろんですよ、戦勝祝いに酒樽と江戸の土産を奥方様に渡しておきましたと言うので、それはありがたいと言ったのです、藩士がご家老酒宴の、
用意が出来たそうに御座います、お戻りをと言うので、相模屋それでは江戸で会おうと言って店を出て陣屋に戻り、宴席の場所に行き、みなのものご苦労であった、今日は心行くま、
で飲むが良いと言ったのです、

七衛門の配下も手代達も藩士に混ざり飲んでいます、みんな仲が良くて良い事じあなと言うと、お滝が普通の藩ではありえません、ご家老の人徳ですなあと言って酌をして、名主の、
徳三殿が酒を持って来て来ましたがと言うので、ここにつれて来いわしと一献傾けようと言うと、ハイと返事して呼びに行き連れてくると、勝ち戦おめでとう御座りますと言うので、
気を使うなお前も飲めと言うと、

お滝が酌をしたので飲み干したので、仇も討てて婿殿と娘子の供養になってよかったなと言うと、ハイ、みんなで墓に行き報告してまいりました、これで二人とも浮かばれますと、
言うので、後は菊次郎の嫁取りじあな、頑張って奉公すれば藩士に取り立てるぞと言うと、ありがとう御座います、これでわたしもいつあの世に行ってもよろしゅうございますと、
言うので、

まだ若いではないか、ところでお前の跡継ぎはと聞くと、ハイ倅が二人おり、酒樽を運んできましたと、言うので呼んでまいれと言うと、それではと言って、立ち上がりつれて来て、
徳次郎に徳三郎ですと挨拶するので、おう、良い面構えじあな、まずは飲めと酒を勧めてお滝が酌をすると飲み干したのです、徳三郎がご家老様わたくしを家来にしてくださりませ、
と言うので、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み