第32話

文字数 2,843文字


源三郎江戸日記(弟二部)32

甘いにおいがして店中に広がったのです、飲んでいる者が何だこの良い匂いはと言うと、女将が特別料理を作っているので、少し待ちなさいといつたのです、おふくが良い匂いです、
ねと言ったので4本でやめさせて、試しに食うて貰うので、一口づつ切るのじあと言うと切ったので、うなぎの蒲焼だと言って、一人、一切れずつ食わして、注文をとるのじあ酒の、
つまみかうなぎ飯かどっちかに決めさせろというと、

客に持っていって食べさせると、これは何処のうなぎだ全然泥臭くなく、ふつくらしているじないかと言うと、印旛沼のうなぎだよとおふくが言って、今までの値段とかわらないよ、
と言うと、二つくれ、三つくれと言うのでお母さん注文とってと言って、調理場に行き焼き始めたのです、再びいい匂いが道の外まで流れて、何だ、何だと人が入って来て満員に、
なり、

売り切れたのです、めしと言う人には、どんぶりに飯を入れこれを2きれ載せて、タレを少しかけるのだと言うと、どんぶりをもっていき、今日の分は売り切れだよ、叉明日きて沢山、
作っておくよと言うと、食っているものが、これは美味いやと言うと羨ましがり、どんぶりを頼んだものもこれは飯が進むわと喜んでいたのです、おふくがこれと同じ味の煮付けが、
あるよそのと言うと、

食いはぐれたものが、こぞって注文してこれも、直ぐ売り切れたのです、女将とおふくがすご~いと大喜びして、前に座り、いけな~い、ご家老様の分も売ってしまったと言うので、
さっき食したからもいいんじゃよと言うと、すみませんとおふくが言ったのです、一つ美味いものを出すと、後の物も総て美味く感じるわけだ、明日からこの匂いを嗅いだだけで唾、
が出て来てまた食したくなると言うわけだ、

昼はどんぶり専用にすれば良い、この店の名物にすると良いと言うと、二人がありがとう御座います、と頭を下げて、おふくはお母さん、これで大儲けだねと大はしゃぎしたのです、
匂いはそこら辺一体にたなびき、客が店にはいって来るので、今日は売り切れだと、断るのが大変になったのです、しかたないので、後10匹買う来て、食わしてやったらと言うと、
いや今日はこれ位にしておくと、

明日は儲かりますと女将が笑ったのです、そうだな、売れ切れだとどうしても欲しくなるからなと言うと、そうなんですと女将が酌をしたのです、飛猿が帰って来て無事本陣へお着、
きになりましたと言うので、ご苦労じあったさあお前も飲めと言うと、この匂いはうなぎの蒲焼ですね、飯場中が大騒ぎしいますよと笑うと、お蝶が入って来て大変です、食ったも、
のと食えなかった者が、

言い争いし今にも喧嘩かはじまりそうですと言うので、おふく景山に仲裁してもらえと言うと、ハイと言うと店を出ていったのです、暫くしておふくが帰って来て、食えなかっ者が、
明日の昼、先に食わせろと言うので、景山の旦那が名前を紙に書き半分に切って、これがうなぎの引き割符になると言って、やっと、なだめましたと紙を、みせると84人分あります、
そうすると、

うなぎが25匹分だな、そのくらいは大丈夫だろうと言うと、留吉にたのんだら、任して下せせえと走ってどっかに行きましたがとおふくが言うので、そうか、あ奴がうなぎ取りの、
名人のわけがわかったぞと言うと、おふくがどうやって釣るのですかと聞くので、奴は西国か四国の生まれだろうと聞くと、なんでも四国の土佐とか言うてましたがと言うので、

ほう四国もそういう方法でとるのかと言うと、四万十川の近くと言うてましたと女将が言うので、これからわなを仕掛けるに行くのだよ、近くに孟宗だけ林があるだろうと聞くと、
ええと言うので、他の人に言うと留吉が儲からなくなるからなと言うと、ハイ、いいませんと言うので、竹かごを作りは入った抜けられない工夫がしてあるんだよ、底こには木の、
栓がしてあり、

そこから取り出すのじあよ、エサは魚の切り身を中にいれ底に沈めておき、次の日の朝引き上げるのさ、うなぎは昼間寝ていて、よるになると穴から出てエサを食べる習性がある、
のでそれを利用しているのじあと言うと、釣るのではないのですかと聞くので、穴の近くにエサをつけた針を投げればつれるが、利根川の土手にも沢山穴を掘ってすんでいるのじ、
あよと言うと、

飛猿が紀州も同じ方法でとりますが、蒲焼はありません、ぶつ切りにして焼いて醤油で食べますがドロ臭いですよと言うので、あれは婆様から教わったが自分で工夫したのかもし、
れない、そういえば筑前煮がうまかっな、あれと同じ汁だ、それに酢と酒を入れたんだ、おふくの作っている煮つけを工夫したんだよと言うと、その工夫くせがご家老に出たので、
すよとお蝶が言ったのです、

そういえば鮒とか鯉は甘露煮が美味いと言うていなさった、砂糖で甘くすることを言うがやはり酢と酒で臭みをとるんだなと頷いたのです、おふくがそれでは、鮒や鯉も泥臭いか
ら砂糖と酢と酒で煮込めば泥臭くなくて美味いのか、よ~し作ってみようと言ったのです、意外と今やているのに一工夫で美味しい料理が出来るんですねと、女将が言ったのです、

翌日はうなぎの事があり治水現場に行くとあらかた出来上がっています、人足頭がどうですかと聞くので、なかなか立派な池と堤じあな、包みの下に幅2間の間隔は何のためじあ、
と聞くと、下から土を持ち上げる為にございます、工事が終れば、水面はあれより下になり利根川の水面と同じ高さですのであそこからご家老の好きな釣りが出来ますよ、堤の、
あの階段から下に降りられますというので、

なる程この池全体が大きな釣堀と領民の遊び場所にもなるのじあな、つり船も浮かべれば良いなと言うと、ハイ、包みの幅は3間もありますので、桜の木でも植えれば良い花見場所、
になりますし、根がはれば包みの補強にもなりますと言つたのです、実はなうなぎが困っておるのだよと言うと、どこのうなぎですかと聞くので関をつくると魚が登れず印旛沼にと、
利根川を、

行き来していた通路がふさがれて、その内印旛沼の魚がおらんようになると言うわけじあと言うと、なる程それは魚に気の毒ですな、それなら池の出口に関を作らなければよいの、
です、この池は利根川の川底より深くほってあります、通常利根川の水位は一間半です、水門の出口を川底と同じの高さにすれば魚の出入り、船の出入りも出来ます、水路は幅、
3間深さ1間半あります、

印旛沼まで4里あり高低差は利根川とおなじで緩やかで、水の流れを緩やかですので印旛沼まで船で行く事ができます、池の水位はいつも利根川と同じですが通常の利根川に流れ、
こんでいる他の側と同じで逆流する事はありません、利根川の水位が堤の1間4尺を超えると高低さがほとんどなくなり逆流するのです、これは他の利根川に流れ込んでいる川も同、
じです、

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