第78話

文字数 2,901文字


源三郎江戸日記(弟二部)78

綱豊がこれも、そちの工夫かと聞くので、いいえ、これは室町時代に宋の都から入って来たそうに御座いますが、武家は軟弱になるとして、使わなかったそうで、みな知らないのです、
武士といえど寒いものは寒いのです、我慢して風邪をこじらせると労咳になります、その中にはいれば風邪はひきませんし、上に板をのせれば読み書きも出来ます座椅子を使えば腰は、
楽になりますると言って、

それがしはこれで失礼をいたしますと言うと、真鍋褒美に金寸を取らせよと言うと、立ちあがり風呂敷を持って来て前に、置くので開けると100両は入っています、借財の利子にあてよ、
と言うので、これはありがとう御座います、と言って受け取り、御座所を下がり大手門へ歩いていると、旗本が籠はこちらに御座いますと言うので、歩いて帰るので籠はいらぬと言う、
と、その格好で城からは出られませぬ、

こちらに馬がありますと案内して、これにお乗りくだされと言うので、そのたずなは派手すぎますと言うと、たずなを変えてこれでよろしゅうござるかと言って蔵をみると葵の御紋が、
入っています、これは上様の馬では御座らぬかと言うと、村上殿へ進呈されるそうですというので、良いので御座るかと言うと、これは疾風号と言いまして、気が荒く上様はお乗りに、
なりませぬと言うので、

たずなを持ち疾風気の毒じあのと首筋を叩くと、ひひ~んと言って源三郎の顔を長い舌でべろっと舐めたので、旗本がこれは驚きました、村上様を気に行ったようにござる、この紋を、
みれば、何も言わずとも通してくれますと言うので、馬にまたがりゆっくりと城を出て行くと、みんなが立ち止まり頭を下げ、大手門も番士が簡単に開けたのです、なる程葵のご紋は、
大したものじあと笑ったのです、

町衆もたちどまって頭を下げるので、まいったなと言って馬をおり、風呂敷で葵のご紋を隠して鞍にまたがると、こんどは誰も立ち止まりません、玄海屋に行き馬を下りると、七衛門、
が着流しではなく、紋付袴も良く似合いますよと言って、この風呂敷はと外すと、葵のご紋があり、これは将軍様の馬ではと聞くので、貰ったのだよ、その紋があるとみんな立ち止ま
り、頭を下げるので隠したのじよと言ったのです、

料理屋の裏に馬がとめられますと言うので、馬にまたがり七衛門がたずなを取り歩くと、又もや町衆や武士が立ち止まり頭を下げるので、ほら、下げるじあろうと言うと、そうするよ、
うに、町方から言われているのですと七衛門が言ったのです、料理屋の裏に止めて小者に頼むと、この馬は将軍様の馬ではないですかと驚くので、普通に水とエサをやれば良いと言っ、
てノレンをくぐったのです、

女将が座敷に通すので紋付袴脱いで着流しになり、ああ、やっと楽になったと言って炬燵に入り、ぬく、ぬくじあと笑ったのです、酒と肴を上に置き酌をするので飲み干して、城は、
窮屈でいかんと言って、七衛門と女将も入れというと、二人が入りやはり冬はこれに限りますなと笑ったのです、上様が総て承知なされた、富蔵にこの手紙を届けてくれと七衛門に、
渡すと、

今日の船便にのせます夕刻には印西に付きますよ、明日朝には江戸に戻ってくるでしょうと言うと、立ち上がり部屋を出て行ったのです、暫くして部屋も暖まったなと言うと火鉢を、
二つ入れてありますと女将が言ったので、炬燵を片付け膳を出してもらい、あぐらをかいたのです、七衛門、若狭屋、越後屋、江戸屋が入ってきて、お戻りなさりませと挨拶するの、
で、

上様が総て裁可された、準備に入ってくれ、明日富蔵を連れて検分に行ってくる、七衛門配下10人と同行せよと言うと、私共もお供させてくださいと言うので、みな馬に乗れるのかと、
聞くと、乗れると言う事なので、3日はかかるぞ、店はと聞くと、番頭に任せておけば良いですというので、わかったついて来なされ、横浜、矢部、と八王子までの街道を検分する、
ここに上様の朱印状がある、

これには相模原一体の開発の総差配を命じる、この者の申す事は余の申す事と心へよ、と書いてあります、悪代官防止になるぞと言ったのです、横浜沖まで船で行き、馬を調達して、
矢部に向かうぞと言ったのです、源三郎が相模川からの水路を引くとして3里じあが、矢部、淵野辺には境川叉の名を水無川が流れているが水量が少ない、ここの水量を増やせば半里、
もないので潅漑は楽なのじあ、

さらに相模川側は台地になっているので、水田には向かぬ、矢部から江戸側に新田を作る事になる、相模原、矢部、淵野辺、町田までで約10万石と言うところじあな、台地には畑を、
開墾して桑畑にして養蚕を奨励すれば10万石の実収が見込める、しめて20万石増える事になると言うと、江戸屋が水なし川の源流は津久井湖の傍を流れています、これは相模川に、
流れていますが、

水路を作り水無川に接続して水量を増やしてはどうですかと言うので、それは良い考えじあが、問題は増やすと流域にある田畑の流失が起こるかどうかじあな、どの位を流しても安全、
かを調べて、水路の大きさを決める方が良い、水無し川と呼ばれているくらいじあから問題はないと思うが、もしそれで上手く行きそうなら水無川に関を作り矢部に水路を掘り巡回、
させて、

水無川の関より下の方に流せばよい、これだと、相模原の桑畑と矢部の開発が1年、淵野辺が1年、町田が1年となる、町田から相模原までは2里、横浜から町田が6里じあな、まずは、
矢部に飯場を作り、開発が済めば町田側に移動して、最後に町田を宿場にすれば良い、相模原から八王子が4里だから丁度中間になるわけじあと言うと、町田の整備は先にやりまし、
ょう、

町田から矢部までは1里ですから、人足長屋を矢部側に作りどちらにも半時で行けるようにすれば、最初から町田の宿場を整備できます、ここを拠点として、淵野辺、矢部、相模原、
に入植者の村を作るのです、真ん中の矢部には鎮守の森を作り小さな神社をつくりましょう、町田から横浜は6里ですから朝でれば昼過ぎには着きます、荷馬車なら3時くらいです、

叉相模原は秩父からの絹と相模原の絹の一大集積場としてここから横浜に荷馬車で半日で行き、船で、江戸、大阪へ運べば良いですねと若狭屋が言うので、そうじあな、それで行こ、
うと言ったのです、それでは相模原合戦の始まりじあ、出陣の祝い酒としょう、女将、かちぐり、なとりの吸い物、こんぶのにしめ、いわし焼を出してくれと言うと、タイで無くて、
良いのですかと言うので、

タイは勝ち戦になってからじあ、まずは戦に勝ちぐり、名を取って名取の吸い物、敵の首をとってよろこぶ、とのしゃれじあよ、今日上様に伊達者と言われたので、しやれるわけだ、
と言うと、みながなる程と頷いたので、女将がさつそく用意しますと部屋を出て行ったのです、まずは一献と言って、いざ相模原に出陣じあと杯を傾けたのです、江戸屋がわたくも、
戦に入れて頂きありがとう御座いますと言うので、

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