第33話

文字数 2,750文字


源三郎江戸日記(弟二部)33

したがって水路の堤が総て3間なら問題がなかったわけですが、2間なのでこの緩衝池の役目を果たさず、高低さがなくなる地点出口から半里の地点で満杯となりここで激しく水が、
ぶつかり、更に水位が増した為堤を超えて堤が6個所にわたり決壊したと言う事ですので、こんどは水門を閉めて水路の2間の高さまで水が溜まるのは約4時かかります、その時点、
で水門の2間の高さから利根川に水がながれますので、

水位が2間より上がる地点は、池の面積と水路の面積と高低さから言って出口から200間くらいまでの処と言う事になります、池と出口から500間は堤3間になっていますので溢れる、
事は無く、水門の2間の高さから利根川に水は流れ込みますので、水路の水位は2間の高さに戻りそれ以上は水位はあがらないと言う事ですねと言うので、そうか、ならば利根川と、
水位を同じにして良いわけじあなと言うと、

これはご家老が計算してこうしたのですよと言うので、いやそこまでは考えておらなかった、水路を含めて、3間の大きなため池をつくれば、水は溢れる事はないと思うたまでじあ、
さすがわ人足頭じあな、全体的な事が頭に入っているのじあなと褒めると、これはご家老に褒められるとはと笑っています、そうか、そうすればこの水路はこの領地の大事な道にも、
なるわけじあ、

タダ利根川は、江戸湾ではなく銚子が出口ゆえ、そこから船だとすると、房総半島は難所ゆえ、外海にでて駿河湾に入り三島あたりから浦賀水道、江戸湾と言う航路になり2日はか、
かる、陸路よりは少し早くなるだけじあ、成田街道から千葉にでて、船で江戸湾佃に行くと、1日半でいけるので、こちらが早くなるなと言うと、領内の物資運搬は水路を使ってお、
こなえば陸路より多くの物資が運べます、

叉成田街道はご領地の、隣の天領地第2印旛沼の脇を通っていますので、第一印旛沼から第二印旛沼の今回整備した水路をもう少し整備して船でいけるようにすれば千葉への物資輸送、
も楽になりますと言うので、そうじあなそれなら、水路沿いにある村々に船着場を作ろう、ここが終ったらその工事を引き受けてくれ、給金はここと同じで良いと言うと、ハイ領民、
もまだ稼げて喜びますと言ったのです、

池の利根川側には桜の木を植えて、反対側は銀杏と紅葉を植えよう、春は桜、秋は紅葉、叉池には蓮を入れておき水辺にはあじさいを植えれば、春夏秋冬に楽しめるぞ水路の500間、
にも同じように植えれば水路を通って成田さん参りに行く人が訪れるようになり、陣屋あたりの旅籠や店は賑わうだろうというと、まさに庭園づくりですなと言うので、植林の木は、
船で運べますので、

植えて来年の春には咲く桜の木にしましょう、知り合いの植木屋があります、多くの桜の木や銀杏の木を持っています、安くでわけてもらいます、11月にはこれも総て終りますよ、
費用はおよそ2千両と言うところですというので、わかったいる分申し出よ即刻払い出すぞと言うと、そろそろご家老ともお別れだと思いましたが、まだここで働けてうれしいです、
と言うので、

わしは11月には江戸に戻らねばならんが、時々は様子を見にくるぞと言うと、ハイ、来られる度に良くなっていますよと言ったのです、銀杏の実は鍋でいれば上手いつまみになりま、
すと言うので、領民はだれでも取って良い事にすれば、少しは実入りになるだろうと言うと、こんな何もないところに突然名勝地が生まれて、みんなビックリしますよと言うので、
何か良い名前を考えてくれと言ったのです、

立派な水門じあがあれを開けるのにはどうするのじあと聞くと、右左がそれぞれ幅2間で閉めると4間の水門になります、人の手では開け閉めできません、あの堤の両脇の三角の小屋、
がありますがあの中に、船でイカリを巻き上げる装置を備えてあります、歯車5つ組み合わせて一人の手でも開け閉めできるように工夫してあります、横扉になっていまして片方の、
扉には窪みがあり、

中にはまる構造ですので水圧がかかつても壊れる事はありません、閉めるときは左の扉を右の装置が巻き上げ右に移動させて、右の扉を左の装置が巻き上げて左に移動させます、開く、
ときは右は右の装置が巻き上げ、左は左の装置がまきあげます、これを巻き上げる縄は船の帆を引き上げる縄を使っています、雨風にも長く耐えられますが、何年に一度は交換する、
必要はありますので、

時々動かして様子を見る必要があります、建屋が三角になっているのは、雨風に強いためです、土台は4本の丸太が堤に打ちこんでありますのでこの小屋が風で吹き飛ばされる事は、
ありません、窓が4方についていますので開ければ雨といになり中に水ははいりません、中の装置を雨風から守れますと話し、扉についている4本の縄は船の通行に邪魔になります、
ので、

緩めて3間上に置けるように工夫しましょうと言って、試しに開け閉めしてみましょうと言うと、ふたりづつ小屋に入れ、わしの合図で操作しろと言うと、2人づつ小屋に入り窓を開、
けて一人が命令を受けて伝える役目です、中にあった緑の旗を振ると用意が出来たという事ですといって、こちらから赤の旗を振るとギギギと音がして扉が閉りだし少しの時間で、
真ん中に到達してガシヤンと音がして閉じたのです、

源三郎がこれは凄いと言うと人足頭は喜んでいます、次に緑の旗をふると扉が開き始め少しの時間で完全に開いたのです、叉手をたたいて見事じあなと言うと、一番扉の下は出口よ、
り下にあります、叉溝にはまっていますので水の圧力で外れる事はありません、叉池全体の圧力がかかりますので、利根川の水の圧力より何倍も大きくなりこちら側に押される事は、
ないわけです、

一番下の桟は池のそこより随分上にありますので砂や石が溜まる事はありませんし、水面は上ですので木が引っかかることもありませんが、やはり時々開け閉めして確認が必要です、
特に台風の時期になる前と台風季節に点検が必要ですというので、尚水に漬かる下側の桟は石をはめ込み作ってあるので腐る心配はないわけですと言うので、なる程長持ちするよう、
に工夫してあるわけじあな、

みんな見事な出来ばえじあ、ご苦労じあなあと声をかけると、もったいないお言葉ですと人足頭が言うので、お前に頼んで良かったさすがわ何年もこの仕事をやっているだけあって、
到底ほしの及ぶところではないと言うと、何かの工事がありましたら叉呼んでくださいと言うので、無論じあ、しかし若狭屋は良い者を送ってくれたもんじあと言うと、実はわたし、
はご家老を良く知っているのです、

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