第96話

文字数 2,782文字


源三郎江戸日記(弟二部)96

ハイ、悪人共が恐れおののきますると言うと、そうか、それは兆帖じあ、勘定奉行八王寺の代官には5000両を下げ渡し、直ちに開発をするように申し伝えよと言うと、勘定奉行がハハっ、
と返事したのです、それでは源三郎そなたに諸国巡察視を命じる吉保と言うと、これは上様の朱印状じあ、これにはこの者の言う事は余の言う事であると明記してあり、上様直属の役目、
である、

特に全国を回る必要はないが、何かの時に役にたつであろうと渡すので、お預かりいたしますと受取ると、綱吉がまあ気楽にやってくれ、それでは体をいとえよと言うと御座所を出て行、
ったのです、土屋と秋元がご苦労だなと笑うので、何か損な役割で御座いますと言うと、まあ、そう言うな、その朱印状をみせられれば老中といえど聞かなければならない程権威がある、
のじあよと言って部屋を出て行ったのです、

柳沢が銭屋めこれで10万両はドブに捨てたなと言うので、遠藤殿から報告があると思いますがと、相模原での経緯を話し、5万両をそれがしへの賠償金として払わせました、相模原開発の、
予備費にあてますると言うと、ハハハそれで15万両も損したではないかと言うので、大名への貸付がおよそ10万両ですから、残り25万両です、もう5万両程吸い上げれば一応の目的は達し、
ますと言うと、

後は蝦夷地じあな、あそこは手を打っておいた、蝦夷地の玄海屋の番頭から聞いてくれ、今頃は銭屋は臍を噛んでいるじあろうと、笑ったのです、真鍋から何か言うて来ましたかと、聞く、
と、何をと言うので、あ奴め、あの後迷惑料として、真鍋に5000両新井に5000両を、銭屋は渡しています、さては、懐ににれたなと言うと、まずいぞ、発覚すれば又、上様との仲は悪く、
なるなと言うので、

何故分からないので、御座いましょうかと言うと、5000両と言えば大金じあからな、綱豊様に差し出すのがおしくなったの、じあろうと言うので、それでお灸を、据えようかなと言うと、
あ奴は陰険じあからのう、気をつける事じあと言ったのです、これを聞いていた稲葉が、今のうち因果を含めた方がよいな、代替わりになればわしと柳沢殿の改易をたくらむかもしれぬと、
言うので、

それがしにお任せくだされ、お二人は手を出さぬほうが宜しいかと思いますと言うと、稲葉が宜しく頼む懲らしめてやってくれと笑ったのです、茶坊主の案内で西の丸に行くと、綱豊が、
おう戻ったかと言うので、お元気そうでございますなと言うと、あの炬燵の、おかげかもしれんのうと言うので、それは宜しゅうございました、この前拝領しました葵の刻印いりの小判、
はみなに大変喜んでもらいましたと言うと、

そうか、あれはここに来る前に1000両だけお祝いに作ったものじあ、後200両は残っておる、そなたに100両を下げ渡そう、これで最後じあと言って、真鍋下げ渡せと言うと、ハハッと言、
って風呂敷包みに、100両を入れて渡すので、宜しいのですかと聞くと、構わん、これからも助力を頼まねばならん、遠慮なく受取るが良いと言うので、ハハッと言って受取ったのです、

ところで真鍋殿、銭屋から没収した1万両には刻印は打っていないのですかと聞くと、どうしてそれをと青ざめるので、銭屋が本当に代替わりになったら便宜を図ってもらえるのでしょう、
かと心配しておりましたよ、何と言うわれたのだと聞きましたら、良い目を見る事があるだろうと、言っておられましたと言うので、それなら、きっと図ってくださるよと、言うておき、
ましたよと言うと、

綱豊が険しい顔付きをして、わしは聞いておらんぞ、何故隠すのじあ、そなたがもろうた金寸じあ、差し出せとは言わんわと言ったので、これはご存知ありませんでしたか、済みませぬ、
余計な事を言ってしまいましたというと、真鍋わけを申せと綱豊が言うと、ハイ、屋敷が老朽化しましてその修繕に当てたのでございます、それがしは5000両で新井白石が5000両を貰い、
ましたと、

うなだれたのです、そうかそれでは致し方あるまいというので、綱豊様それはまずう御座います、何処からかもれれば、誰かが上様に懺悔するやもしれませぬ、それがしが巻き上げた5万、
両がありますので、今日西の丸に寄ったら、銭屋が1万両を綱豊様へと言って真鍋殿の屋敷に持って来たそうで、扱いに困っていると言う事で、それがしが今日勘定奉行にお渡ししておき、
ます、

巻き上げた物ですから、返す必要はありませぬ、さすれば上様がよく寄進してくれたとお喜びになりますと言うと、そうか、そうじあな、そのままにしておけばあらぬ疑いをもたれても困、
る、そなたの世話になろうと言うのでこれから勘定奉行にその胸を伝えますと言って、真鍋殿口裏を合わせてくだされと言うと、わかり申した、申し訳御座らぬと言ったのです、気にしな、
さるなと言うと、

席を立ち勘定奉行の御用部屋に行き、話しをすると、そうで御座るかそれはかたじけない、上様にはそれがしから申し伝えますと言うので、上様だけにお話しくだされ、これよりお持ちし、
ますと言うと、上杉屋敷にもどり、次席家老に話して金蔵から荷馬車に載せて、城まで運び勘定奉行に引き渡したのです、そのまま城を出て深川の料理屋に行き七衛門は横浜か聞いてきて、
くれと言うと、

使いの者を出してのです、西の丸では綱豊が真鍋と新井に今回も源三郎のお陰で助かつたが、そなた達はなぜわしの足を引っ張るのじあと言うと、黙っています、話にならん、屋敷に帰り、
当分の間謹慎していろ、おって沙汰いたす、切腹もあるぞ覚悟いたせと言って下がらせたのです、綱吉から呼び出しがあり綱豊が部屋にはいると炬燵をすすめるので座ると、銭屋の持って、
来た1万両を寄進したそうではないか、

気は使わなくてよいぞ、その内5000両は返すぞ、女共の化粧料にいたせと言うので、お気使いいたみいりますと言うと、女共をあまり締め付けると、前回みたいな不祥事を起してはいかん、
からなあと笑い、笹でも飲むかと言うとと、腰元が酌をしたので飲み干したのです、源三郎は寄ったかと聞くので、ハイ、葵いの御紋の入った小判が気にいったようで御座いますと言うと、
そうか、

中々の奴じあな、上手く使えば代が代わっても役に立つじあろうと言うので、そうで御座いますなあ、なんとも憎めない者に御座いますと言うと、こんど、諸国巡察視の朱印状を渡したの、
で、街道筋の掃除もしてくれよう、色々役人はいるが奴みたいな者は中々いないからのうと笑ったのです、城の帰り道、新井が内々の金寸なので外に出る事はないと言うたではないかと言、
うと、銭屋め奴に痛めつけられて和解したに違いない、

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