第67話

文字数 2,656文字


源三郎江戸日記(弟二部)67

そうすれば利息は払わなくて済むわけです、半額にしたのは手心と言う事ですなと言うので、色々助けてもらわねばならんので、お土産と言う事ですよ、これはおお爺様がわたしに、
昔教えてくれた方法ですと言うと、これは参った、余計な知恵をつけてしまい申したと笑い、早速知らせましょう、みんな大喜びしますと言うと出掛けていったのです、店を出て、
三蔵の女房がやっているめしやに顔を出すと、

これはご家老様と席に案内するので、昼飯でも貰おうかと言うと、ハイ、ぶり大根に味噌汁、香の物ですといって、調理場にぶり大根一丁と言うと、奥からヘイと板前が返事したの、
です、板前を入れたのかと聞くと、ハイ、ご家老のお陰で、席数を増やして儲けておりますので雇ったのです、元は西国のお侍なんですよと言うので、ほう賄い方だったのか、それ、
は楽しみじあなと言うと、

酒をついだので、これは芋酒ではないかと言うと、七衛門さんが試しにだしてくれと頼まれたのです、うん、度数が高いのであまり芋の匂いはしないなと言うと、西国の人はわかる、
らしいですが、江戸の人は吟醸酒と言う人が多いですよ、なんでこんなに安いのだと言われますよ、原料が芋だからと言うと、驚きます、江戸ではここでしか飲めないので評判です、
と言ったのです、

そうか正蔵がついに始めたのか、よくここまで臭みを取ったなと言うと、これもご家老の指南ですかと言うので、そうだが、この芋の匂いを取るのは大変だったろう、度数を上げれ、
ば大分取さえれるが、ここまでにするのは至難の業なんだよと言うと、そうですか、芋の分安くあがるのですねと言うので、芋はうねを作り水はけさえすれば何ぼでも出来るからな、

特に薩摩の国は白州大地が多くて水はけがよいが、白州は栄養分が少ないので芋やサトウキビくらいしか育たんのだよ、芋も種類は沢山あって、砂糖より甘い芋もあるのじあ、この、
株は薩摩の外に持ち出すのは禁止しているくらいじよと言うと、それで、薩摩のお侍を芋侍と言うのですかと言うので、これこれ、その様な事言うと薩摩の示現流で真っ二つにされ、
るぞと言うと、

首をすくめて済みませぬといったのです、おまちと板前が持って来て、吉助といいます、よろしゅうにと言うので、一口食べて吉助どん、これはうまかと言うと、これは薩摩もんと、
わかりましたかと言うので、江戸は長いじあろうが、なまりはとれんとじあっとよと言うと、ご家老それは薩摩と日向弁が混ざっていますと笑うので、まだ暇じあろうそこに座って、
くれと言うと、

失礼しますと言うので酌をすると飲み干して杯を返し酌をしたのです、このぶり大根の味も大したものじあ、それにこのぶりと大根がピッタリ合っておる、この腕を持ちながらなぜ、
賄い方をやめたのじあと言って、いいたくなければ言わんでもよいぞと言うと、ハイ、本当の名前は、別府吉の助と言います、町人になりましたので吉助と名乗っております、私は、
薩摩藩の分家、

佐土原藩島津家、江戸詰めの賄い方で御座いましたが武家の賄い方は、いかに料理を美味しく作っても、褒められる事はありませぬ、お目見えは許されない30石の藩士で御座います、
殿が食しておられる所を、見る事はかないませぬ、それで、町人なら板場からお客の顔が覗けます、美味い、美味いと喜んでもらえれば、こんな嬉しい事はありませぬと言うので、

そうですか、しかし、それだけでは無いでしょう、相当の示現流の使い手とみましたがと言うと、右手を隠して、そんな事はありませぬと言うので、今隠された右手の指には相当、
修練しないと出来ないタコがいくつもありますよと笑うと、これはごかろうには隠せませんな、実は料理よりこっちの方が好きでしたが、このお陰で酒の上で喧嘩となり藩士と刃、
を交える事になり、

肩の骨を砕いたので御座る、相手は200石取りの馬周り頭でして、お家は断絶領内追放になったので御座る、それで武士を捨てたので御座ると言うので、殺さなくて良うござったな、
して妻女はと言うと、ハイ、妻と娘が降ります、相模屋の八幡裏の長屋に住んでいます、妻と娘は針仕事をやっています、ここの給金は良いので暮らしにはこまりませんと言うので、
いらざる事を聞いてしまいもうした、

ゆるされよと言うと、とんでもござんせん、美味いものを用意しておきやすので、叉是非きてくだせえと町人言葉で言って、調理場にもどったのです、女将がやはりすぐ分かるの、
ですねと言うので、良い人ではないかと言うと、ハイ、とても助かっているのですよ、そうだ、この前は山田の旦那の昇進にわたしの宿六にも大枚25両もご家老にお祝いを頂いた、
そうで、ありがとう御座いました、

吉助さんにも5両程おすそ分けしたんですよ、奥様と娘さんに着物を買ってあげたそうで、とても喜んだそうですと言うので、それは良かったな、叉美味いものも食わせてもらい、
に来るとしょう、美味かったぞ、腹一杯になった、今日は浅草でもぶらつくかと言うと、立ち上がり店を出て、川船に乗り隅田川をさか登ったのです、半時で浅草に着き浅草寺、
にお参りして、

仲見世をブラ、ラブに歩いているとご家老様と声をかけるので見ると半助である、おう、半助か店は繁盛しているかと聞くと、ハイ、ここで会うのは縁ですねと言うのでこんな、
ところで何をしているのだと聞くと、下谷の水茶の娘の店変えで娘を一人連れにきたのですと言うと、半助の後ろから、ひなげしと言いますと挨拶するので、えらいべっぴんで、
はないかと言うと、

ここで立ち話でも何ですからと、傍の餡蜜屋に行きご家老は甘いものもいけましたね、あっしも好きなんですといって、ひなげしはと聞くと、ハイ、餡蜜でと言うのでくずきりと、
餡蜜を頼んで、持って来たので半助がひなぎくにお食べお代わりしてもいいんだよと言つたのです、印西の女郎屋も繁盛してると便りがありましたと言うので、それは兆帖じあな、

ところで、店変えとはなんじあと聞くと、ヘイ、女郎に金が必要になった時に違う店に引き取ってもらって、借金は引き継いで、変え料金は女郎と店が折半にするのです、ひなげし、
は上玉ですから20両で引き取りました、これは借金にはなりません。前の店の借金は私が引き継ぎましたのですが、半分だけ返せば良い事にしています、10両の借金ですから返せば、
借金なしになります、


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