57：愛する人への告白にスイーツを送るという風習
文字数 799文字
ＩＤ交換完了っと。アイコンの猫ちゃん、かわいいね。家族？
チーちゃんっていうんだ。もう１５年生きてるおばあちゃんなんだよ
ええ～？ 見えないよ。若々しい猫ちゃんだねぇ
だろう？
あの……依頼の話はどうなったんです？
ああ、そうでした
忘れてたよ。てへへ
忘れないでください。さっきのやる気はどこへ行ったんですか
やる気はあるよ？ ほらほらっ
ほらって言われてもわからないです
そっかぁ
（これだからフランさんは。まったく、私がしっかりしないと、話が進みませんね）
（まあ、おかげで話しやすい雰囲気にはなりましたけど）
それで、お客様はどのようなスイーツを希望しているんですか？
さっきもちょっと言ったと思うけど、初恋の人に渡す告白用のイチゴスイーツなんだ
初恋の人にスイーツ。素敵だね。相手の人はイチゴのスイーツが好きなの？
そうなるね
というか、アモーレカントゥチーニですよね？
アモーレカントゥチーニ？
あー……フランさんは外から来たから知らないんですね
この街にはアモーレカントゥチーニといって、愛する人への告白にスイーツを送るという風習があるんです
ロマンチックな風習だね
はい。もともとはカントゥチーニを送る風習だったそうですが、この街のスイーツ文化が発展していくに連れて、どんなスイーツでもOKになったそうですよ
かわいい文化だね。しかもそれって、なんか「メルシィクラウン」にぴったりなかんじじゃない？
言われてみれば、そうですね
私もそう思って、ここに依頼をするんだ。「ゴシックブラウニー」にもイチゴを使ったチョコケーキがあるが、私の思うアモーレカントゥチーニというイメージではないからな
恋はトキメキのピンク色ってわけだね
なに恥ずかしいこと言っているんですか
じゃあじゃあ、今考えてるイメージとか、使いたい食材とか、いろいろ詰めていこっか
いいね。私的には、やっぱりスイーツの定番であるケーキがいいと思うんだが――
そんなふうに、話は進み。
