26:私がスイーツを作る理由

文字数 1,111文字

メルシィクラウンの……パティシエールの素質、か
いまいち、しっくり来ないなぁ。
たしかに、私は人の笑顔は好きだけど。おしゃべりとか、楽しくするのが好きなだけで、私は自分が好きなことをしてるだけだし
好きなことをしているだけ。いいじゃないですか、それで
え?
お姉ちゃんも、可愛いスイーツを作るのが好きだからパティシエールやっているんですよ?
パティシエールしてる理由って、好きだからってだけなの?
プロになろうと決めたきっかけは、好きなことである人を笑顔にできたのが嬉しかったから、です
ですけど、一番の理由はやっぱり、単純に好きだから、です
好きだから、か
私は、どうだろう?

そういえば、小さい頃、転んで泣いた私にメルシィお姉ちゃんがスイーツを食べさせてくれたっけ。



あの甘さとメルシィお姉ちゃんの笑顔が、痛みを忘れさせてくれた。メルシィお姉ちゃんのスイーツが、私を笑顔にさせた。




思えば、あの時だったっけ。



メルシィお姉ちゃんが、スイーツは笑顔の魔法って言ったのは。



あの時、確か私は思ったんだ。




こんな風に誰かを笑顔にさせられるお姉ちゃんって、かっこいいなぁって。



あの時のお姉ちゃんみたいに、まわりの誰かを幸せにできるのだとしたら、それはきっと素敵なこと




そして、自分を笑顔にしてくれたメルシィお姉ちゃんの笑顔も輝いていた。お姉ちゃんが笑顔だから、私はもっと安心できて。私も、そんなメルシィお姉ちゃんみたいになりたい。確か、そう思ったはず。



そうだ。あの日からなんだ。私が笑顔を好きになったのは。周りの人たちを笑顔にさせようって、思うようになったのは。




スイーツなら、それができる?



スイーツ、なら……。

スイーツ作りが好きかどうかは、よくわからない。わからないけど、料理自体は嫌いじゃないし

(昼間、私のスムージーやパンケーキで喜んでくれた人がいたのも、嬉しかった。なら、やってみてもいいかな)

私にも、もっと多くの人を笑顔にする力があるのなら――
(それが、私がスイーツを作る理由だ!)
わかった。やるよ
私、パティシエールやってみるっ!
よく言いました!
そうと決まれば、フランちゃんの夢が決まったお祝い焼肉パーティーに切り替えですっ
うんっ。ありがとう
ショコラちゃんも、ありがとう
べ、別に私は思ったことを言っただけで……
照れちゃって、可愛いなあ。なでなで
~~~~っ
っていうか、お肉焦げてますよっ
わぁっ、大変っ
急いで食べますよーっ

ナレーション

「こうして、メルシィさんの弟子二号として、パティシエールを目指すことになったフランさん。これから先、彼女はどんなスイーツを作り、どれだけ多くの人たちを笑顔にできるのでしょうか?」

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登場人物紹介

フラン 15歳

笑顔が素敵で好奇心旺盛な元気っ娘。

ショコラ 15歳

超人気スイーツ店「メルシィクラウン」で見習いをしている。

ミント 15歳

超大手クール系スイーツ店「ゴシックブラウニー」社長の娘。

メルシィ 23歳

「メルシィクラウン」店長。フランの従姉妹。パティシエール界のトップ、クイーンパティシエールの座に5年連続でついている。

ノワール 23歳

ミントの姉、「ゴシックブラウニー」の社長。

シャルロット 23歳

ショコラの姉、「ワンダーアラモード」の社長。

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