26:私がスイーツを作る理由
文字数 1,111文字
そういえば、小さい頃、転んで泣いた私にメルシィお姉ちゃんがスイーツを食べさせてくれたっけ。
あの甘さとメルシィお姉ちゃんの笑顔が、痛みを忘れさせてくれた。メルシィお姉ちゃんのスイーツが、私を笑顔にさせた。
思えば、あの時だったっけ。
メルシィお姉ちゃんが、スイーツは笑顔の魔法って言ったのは。
あの時、確か私は思ったんだ。
こんな風に誰かを笑顔にさせられるお姉ちゃんって、かっこいいなぁって。
あの時のお姉ちゃんみたいに、まわりの誰かを幸せにできるのだとしたら、それはきっと素敵なこと。
そして、自分を笑顔にしてくれたメルシィお姉ちゃんの笑顔も輝いていた。お姉ちゃんが笑顔だから、私はもっと安心できて。私も、そんなメルシィお姉ちゃんみたいになりたい。確か、そう思ったはず。
そうだ。あの日からなんだ。私が笑顔を好きになったのは。周りの人たちを笑顔にさせようって、思うようになったのは。
スイーツなら、それができる?
スイーツ、なら……。
ナレーション
「こうして、メルシィさんの弟子二号として、パティシエールを目指すことになったフランさん。これから先、彼女はどんなスイーツを作り、どれだけ多くの人たちを笑顔にできるのでしょうか?」