112:生まれ育ったお店を救えるのなら
文字数 843文字
世界的なスイーツブームで、年々スイーツショップが増えていますからね
うちのお店の位置は目立たない裏通りですし、小さな、実績もあまりないお店がこのスイーツ激戦区でやっていくのは難しいようなんです
スイーツの島っていうくらいだし、昔からあるお店でも難しいってことなんだね。仕方ないことだとは思うけど、寂しいなあ。
手紙には、今までよくやってこれたものだと明るく書いてありましたが、私の生まれ育ったお店がなくなるというのは……
そこで今日1日考えたんですけど、私がサマー大会で優勝し注目を浴びれば、お店を救えるのではないかと思いまして
つまり、その、サマー大会優勝の期待の新人パティシエールがやっているお店として支えていく、という感じです
それって、優勝したら『メルシィクラウン』を出て行くってこと?
ショコラちゃんが心から決めたことなら反対はしないよ。でも、ショコラちゃん、本当は出て行きたくないんでしょ?
メル姉からはまだまだ多くのことを学びたいと思っていましたが、仕方ないです。クイーンパティシエールも、当分先になりそうです……
でも、いいんです。実家を、生まれ育ったお店を救えるのなら。私のことは後回しでも、いいんです
このままだと、ショコラちゃんの大切な場所がなくなってしまう。だけど、この方法でお店を救えても、ショコラちゃんは結局辛くなるだけなんじゃ……。
(それこそ、ショコラちゃんの両親が望まないことだよ。両親は、きっとショコラちゃんに心配をかけさせまいと手紙を出したんだろうし)
(両親はきっと、ショコラちゃんのことを大切に思っている)
(お店を救って、ショコラちゃんも、ショコラちゃんの両親も笑顔になる方法。なにかないかな)
お前の姉に頼んだらいいじゃないか。『ワンダーアラモード』の社長さんに
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