63：『恋する大図書館』
文字数 848文字
それから３日後。
私たちは依頼主さんをお店に呼んで、完成したスイーツを見せるよ。
これが私とショコラちゃんで作ったスイーツ『恋する大図書館』だよ
全体は初恋をイメージした甘酸っぱいイチゴムース。２人の大好きだというイチゴをたっぷり使ったよ
上に乗っているのは、同じく２人の共通点である、本。本はホワイトチョコでコーティングしたプレッツェルを使用しているの
さらに、リボン型のイチゴチョコも添えたよ
彼女さんのリボン、誕生日のプレゼントにもらったもので宝物だって言っていたから、一番目立つところに置いたんだ
このイチゴはムースに使用したものよりも甘いから、違いを楽しんでね
ムースの中にも、複数種類のイチゴが隠れています
私とあいつの思い出まで詰め込んでくれたのか
どうかな？
凄いよ。パーフェクトだ。これこそ、私の想いを表現しつつ、あいつ好みにもなっている完璧な初恋スイーツだ！
これなら渡せるよ。ありがとう、君たちに依頼してよかった
がっしり、依頼主さんが私とショコラちゃんの手を掴むよ。
喜んでもらえてなによりだよ
それで、その……もう一つだけ頼まれてはくれないだろうか
なぁに？
私の告白をこっそり見守ってほしい。その、もし失敗した時は慰めてほしいんだ。かっこ悪い話だが
ううん、いいよ。私にも友達の恋の成功を応援させて？
友達、か。そうだな。よろしく頼む、友よ！
がっしり。ハグされる私。
やっぱり、フランさんは凄いです
んん？ なにが？
そういう風にすぐ人と打ち解けて、その、友達になれてしまうところとか
なにを言っている。君も私の友人だ
ぎゅっ。ショコラちゃんのこともハグ。
あぅっ
ショコラちゃんも打ち解けてるじゃん。私が凄いんなら、ショコラちゃんも凄い。私たち凄い凄いコンビだね
……そういうことにしておきます
そういえば、依頼主さんの名前ってなんていうの？
ええ？ 名前も知らずに親しくしていたんですか？
えへへ。すっかり名前聞くの忘れてたよ
ベリーだ。イチゴ好きにふさわしい名前だろう？
うんっ。素敵な名前だねっ
では、ウンディーネの木へ行くぞ
