洪水カルマ、その後

文字数 3,271文字

4月末に日本へ里帰りしている間に2階のバスルームが水漏れして遂には天井を突き破り、洪水になっていた! という我が家の惨事は書きましたが、あれから3カ月。ようやっとウチの修理も(ほぼ)終わりました。

いやぁ、保険会社を介したため経済的には有難かったけど、時間はかな~りかかったゾ。それでもこうして元通り(ほぼ)。水圧に負けて抜けてしまった天井も元に戻った!どころか、以前はなかったアールヌーボー調のシーリングパネルの装飾まで! ちなみにこれは付け足しなので保険は効かず、自費ですが。この際だからとダディンが2晩がかりで取りつけてくれました。

ついでにカーペットが剥がされて憐れコンクリートの剥き出しだった床も、美しいフローリングに変身! 木の方がカーペットよりもお高いのだそうで、こちらも差額は自己負担ね。やはり保険会社はシビアですぅ(笑)。もしも保険会社が出してくれたら、この際じぇ~んぶフローリング化したかったですぅ(って、そりゃ図々しすぎるだろ ^ ^;)。

カーテンの方はまだ浸水した水の跡が残る古いものだけど、これも近日中に新しいものに替えてもらえる予定(^ ^)。そしたらほんとに完成ですね。いやぁ~、良かった。

思えば、あの日―フライトで疲れ果てて戻った私たちは、変わり果てた我が家に迎えられたのだった。

ただでさえへろへろの脳細胞を突き抜け破壊しまくる勢いで唸り、轟き、轟音を響かせていた、何機もの大型業務用ブローヤー。あの轟音に晒されていると、気が変になりそうだった。来るものは皆、破傷風にしてやる!とばかりに錆びて突き出た釘、釘、釘。その傍らを幼い息子が駆け抜けたときの恐怖といったら。愛するぬいぐるみたちの哀れな姿に娘は泣き出してしまったのだった。お宝70sレコードや昔の写真、自分のアート作品なんかを黙々と床に並べ日干しを始めた夫の淋しそ~な背中。ああ、記憶が次々と蘇るわ。

保険会社に言われるまま初日は海沿いのビジネスホテル(海は見えなかったけど)に避難したのだった。けれど子どもたちの通学のことを考えて、そこから徒歩で3分程の夫の実家へ。1週間、居候させてもらったのだった。水道が使えるようになってから、ちょっと見、廃墟のような我が家に晴れて戻った。とりあえず使える部分だけをつかって日常生活を始めた。

家族全員が娘の部屋で寝起きしていたため、メェもストレスがたまったのか、あるとき泣き出したんだっけ。「メェの部屋、とられちゃったよ~~~!」と。

対照的に息子は、コンクリート剥き出しの変わり果てた自分の部屋に立ち、「ムゥの新しいお部屋にようこそー!」などと得意の「のび太」ポーズ(両手の親指と人差し指を立て、くるんと回してポーズを取るの。彼はドラえもんの大ファンです^^)をとりながら、おちゃめに笑っていた。そんな幼い息子の無邪気さに、おおいに慰められたっけ。やはり子どもは宝ですよ。

気まぐれに任務を全うするため保険会社から送られてくるペンキ屋さんや大工さんの朝は超早くて、早朝6時半ごろにピンポーン!と玄関のチャイムが鳴ったりして、ギョッとさせられたことも、しばしばだった。それも今では「懐かしい思い出」デス。まさに喉元過ぎればなんとやら、ですね。


ところでこの惨事。去年のマインド・ボディ・スピリット・フェスティバルで受けた霊視で「予言」(?)されていたことを先日ふいに思い出しました。NSW州の警察の捜査を手伝うこともあるという霊能者は開口一番、
「引越しますね」

「え、いや、別に、そんな予定は…」

「でも、そのうち引越しますよ。あなたの家には何か水の問題があるんです。水道管の問題か何かよ。とにかく水の問題です(キッパリ)。水漏れを起こしたら即、水を止めてください。さもないと修理が恐ろしく高くついてしまうことになるから。それが引越しの直接の原因になるのかはわからないけれど、とにかく水には気をつけなさいよ」、と。

今の家にはその2年前に引っ越したばかりで引越す気など全くなかったから、あまり気にも留めなかったのだけど―。もしかして…あのとききちんと対処していたら事態は変わっていたのかナ?と考えてしまった。

たとえば点検とかをしてもらっていたら? だけど点検してわかるようなものでもなかったような気もするしな~。それに水漏れに気付いたら直ちに止めろと言われたって、あのとき私たちは日本に帰っていたのだからどうにもならなかったわけで…。むむむ…。などと過去の話を蒸し返しても、どうにもならないことではあるのだけれど。

ちなみに今回6月のマインド・ボディ・スピリット・フェスティバルで受けた霊視でも水のことが出てきた。
「あなた、水の近くに住んでるの? あなたと水の関係は何?」と、女性霊能者。

「何って言われても…。まあ、家の近くに小さな河があることにはあるんですけど…。それよりこっちかも」と私が洪水のことを話すと、

「あなたの家の中に表現されなかった感情が溜まっているそうよ。ネガティヴな感情や想念や。それが流れ出して今回、洪水になったって。洪水は、浄化のサインでもあるの」

はあ…。「表現されなかった感情の浄化で洪水」ですか…。水の話が出てきたので唸ったが、それにしてももっと何か「地味な」方法で「浄化」することはできなかったものでしょうか?

「でも天からの助けがきているから、そこに焦点を合わせて」と、慰めるように彼女は言ったのでした。

はあ、「天からの助け」ですか…。確かに、こんな状況になってなんなんだけど、守られているという感覚は実際していたのだった。

義母の家から洪水後の家に戻って来た翌朝、瞑想していたときも痛感したのだ。家はちょっと見、廃墟の様相を呈していたにもかかわらず、実は肝心なものや大切にしていたものは何一つ失っていないことにハタと気付いたのだった。

実際、家の半分以上が使えなくなったとはいえ、生活の場を変えればあまり支障はなかったし。大型TVやDVD、パソコンなんて値の張る電化製品(オーストラリアは日本と違って電化製品がお高いのよ)はほぼ全て無事だったとか。日本から送った本やDVD、パソコンなんかはここでは買えないので私にはすご~く貴重なのだけど、すべて無事だったとか。私の書斎など、ありがたいことに無傷だったんだ。

保険会社から送られてきた査察官も「この水の流れが別な流れになっていたら、被害は遥かに甚大なものになっていただろう」とか本社にレポートしていたし。こういうのを不幸中の幸いっていうんだろうか?

何よりも不思議だったのは、書物関係だった。ランパスルーム(遊戯室)とダディンの書斎の壁一面に置かれていた本棚は、天井が落ちたためにどちらも水に晒された。その、ぼろぼろになってしまった本を整理していた夫が目を丸くしたのだ。

「ちょっと、来て! これ見て! 不思議なんだ。隣の本はボロボロなのに、ダライラマ法王や仏教関係の本やビデオ、DVDなんかは全て無傷なんだよ! ほら、カバーに歪み一つないよ。隣に置いてあった本はこんなになっちゃったのに」

本当にそうなのだった。すぐ脇に置いてあった本は、どれもこれも表紙も擦り切れ捨てるしかないくらいになってしまったにもかかわらず、法王や仏教関係の書物は以前と同じ、完璧な状態なのだった。

実際あのときは心底、驚かされました。普段はスピなことにもパラノーマル関係にも大した興味も関心もないダディンでさえ、あのときは驚き、しきりに不思議がっていた。

驚きつつ私は、何年も前に買っただけで見てもいない数々の仏法Dharmaビデオや本を前にして(英語なので、どうも腰が引けちゃって)、しみじみと反省したのだった。きっとこれは「今世、必ず読みなさい」という天からのメッセージであろう、と。

そうして反省してから3カ月が経ちましたが今尚手つかずで、マズイです…(苦笑)。

数々の思い出や曰くを残し、「洪水カルマ」は流れたハズ…なのでした。このまま完全に浄化してほしいものデス。


 2010/7/31
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