モンテッソーリ・スクールのOPEN DAY

文字数 2,200文字

子どもたちの通うモンテッソーリ・スクールのオープンデーだった。

Open Dayというのは学校を一般に開放して、未来の新入生にアピールするパプリシティの日。ついでにファンドレイジング(資金集め)を兼ねた出店も並ぶ。子どもたちの演奏会や工作の展示などお披露目イベントもあって、ちょっとしたスクールフェスティバルである。お祭り気分で盛り上がれるので、うちの子たちもこの日を楽しみにしていたのだった。

こういうイベントで心配されるお天気も、まずまず。今年も校庭(と呼ぶほど広くはないけれど)には所狭しと出店が並んだ。ソーセージ・シズリングSausage Sizzlingや飲み物を売る店に、親たちがボランティアで焼いてきたお手製のクッキーやケーキ、各家庭からかき集めた古本や、子どもたちが飾り付けをした箱に家にあるおもちゃ(やガラクタ?)を詰め込んだ「Noodle Box Lucky Dip」という福袋ならぬ福箱を売るお店や。フェイスペインティングやアート工房などなど、遊べるスツールも出ている。学校運営の資金集めの出店なので、スタッフは全員ボランティアの親たちだ。

教室の方では先生方やボランティアの親が訪れた一人一人に付いて、学校のことを説明していた。聞いているのは子どもの入学を考えている親御さんたち。くわえて孫の学校生活が気になるおじいちゃんおばあちゃんも多かった。ちなみにうちのグランマァも張り切ってやって来て、メェとムゥの先生からじっくりと話を聞いてきたらしい。

ここはモンテッソーリ教育を掲げる学校である。イタリアの女性教育家(医師でもあった)モンテッソーリが提唱した、子どもの自発性を尊重して学ばせるという教育法だ。キャンパスは小さいながら自由で温かくのびのびした環境が、私は気に入っている。

公立の小学校からこの学校へ転校してきた娘は、勉強を押し付けられるのではなく、自分の学びたいものを自分のペースで学べるのが良いと言っていた。とはいえ、偏らないように先生が指導してくれる。毎朝カリキュラムの中から「さあ、今日はまずどれを勉強する?」と子どもたちに選ばせるというふうらしい。

このシステムには私たちも大いに恩恵を受けている。とりわけ生徒一人一人のペースで進む個人学習的要素は、学校を休ませて日本へ帰ったりする身には非常にありがたい。たとえ一月お休みさせてしまっても、前回最後の授業から再スタートになるのだから。そうでなければメェなど既に落ちこぼれてしまっていたに違いない。。。

「競争ではなく協力から」学ぶことを基本理念に掲げていて、3学年の子どもたちが同じ教室で学んでいる。3歳から5歳の子どもたちはサイクル1の教室、6歳から8歳がサイクル2、9歳から11歳(もしくは12歳)がサイクル3だ。現地校で小学3年生に当たる8歳のメェはサイクル2、4歳で3歳児の幼稚園に当たるムゥはサイクル1である。

入学も同時スタートではなく3歳になった時点で始まるので、初めての環境に不安で堪らない子どもへのサポートも心強かった。そのさい「バディ」(仲間の意)という年上の子が一人ついてくれて、学校に馴染みやすいよう教えてくれたり、遊んでくれたりした。これにもメェも、去年入学したばかりのムゥも助けられたのだった。また自分が「バディ」に指名されるのも嬉しいようで、娘は張り切ってクラスに入って来たばかりの子の面倒を見ていたっけ。

そんな普段お世話になっている学校に感謝を込めて、今日はオープンデーのお手伝いをさせていただいた。

私たちは今年も去年同様ソーセージシズリングのボランティアを。メェは4歳のときにこのお役目を経験して以来ハマってしまって、今年も「絶対これやる~!」と買って出たのだった。「ごっこ」ではない、本物のお金を使ってジュースやクッキーを売ったり、ソーセージを焼いて振る舞ったりするのが楽しくて堪らないらしい。

ちなみにソーセージシズリングとは、BBQで焼いたソーセージを食パンでくるんだもので、オーストラリアではホットドッグ以上に人気なの。メェは、去年は紙ナプキンに食パンをのせたりジュースを運んだりしていたけれども、今年はダディンを手伝ってソーセージや玉葱を焼かせてもらって大奮闘だった。

私も他のママさんたちと販売を手伝った。ムゥの方はもっぱら食べたり、遊んだり、4歳児らしくお客となって貢献していた。なにしろ昨日自分で焼いて出店した砂糖衣のクッキーを、全部また自分で買い戻してしまったくらいだから ^ ^;。

ちなみにクッキーの砂糖衣には青、黄、ピンクと3色を使ったのだけれど、出店に並んだのは青と黄色のみだった。というのも、ムゥが彼の1番好きな色ピンクに愛着があり過ぎて手放せずに、
「ぜったいガッコウにもってかな~~~い!!! せっかくつくったのに~~~」と大泣きしたせいで。
結局、自作のクッキーをぜ~んぶ手元にキープしてしまった。手放すのって、やっぱり難しいんだよねぇ。

今年のOPEN DAYも大成功だったようで、ソーセージも飲み物や菓子類もほぼ完売。閉店前に店仕舞いとなった。

「来年もまた絶対にこのボランティアをやる!!!」と早速メェは宣言し、私たちはコーディネーターから「じゃあ、来年もよろしくっ!」と頼まれていた。

たぶん来年の今ごろもソーセージを焼いていることだろう。


2010/5/15
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