マザースデーと、我が家への帰還

文字数 1,988文字

日本に一時帰国中に思わぬ水災に見舞われて、ビジネスホテルの避難生活を余儀なくされた私たちだったが、ホテルから通勤はできても、子どもたちが通学するのは難しい。くわえて火曜日に我が家の愛犬ポーちゃんとチャー君がNSW州に住む友達の家から戻ってきたことから、義母の家に居候させてもらうことになったのだった。

そうこうするうち家も乾いて、‟轟音”をとどろかせていた乾燥マシーンBlowerも、有難いことに全て外された。水道管の調査や修理も終わって、保険会社から家に戻っても良いというお達しが出て、母の日を義母の家で過ごしてから我が家に戻ることになった。

そういうわけで、今年の母の日は義母と私のWマザーズデーに。

オーストラリアでは、母の日は子どもたち(と夫)がいつものお返しにお母さんに朝食をつくってあげるというのが一般的。そう、母の日のクライマックスは朝なのでした。今年は避難生活から思いもよらずダディンも自分の母親に朝食を作ってあげられることになったわけで、彼も朝から張り切っていた。

我が娘も張り切っていて、帽子にネクタイ、シャツにズボンにエプロン姿で、ペンとメモ用紙を手に早速朝食のオーダーを取りにやって来た。メェはウェイター兼シェフで、そのやや奇妙ないでたちは店のユニフォームなんだそうで。

フォーマルにかしこまる娘に、フルーツのヨーグルトかけとコーヒーを注文した。と、彼女はもう8歳で、火を使う料理もできるのだから、何かもっと手のかかるものを注文するようにと催促されてしまった。

う~む、なるほど、これじゃあもう遣り甲斐なかったか…。子供の成長は早いなぁ。

カリカリ・ベーコンと目玉焼きのせトーストを追加した。4歳の息子には、デザートのコーヒー受けに昨夜のディナーの残りの甘~いチョコレートを頼む。

メルボルンの、母の日の朝―
義母の家の紅葉で華やかな裏庭を眺めながら、ホッとひとときを過ごす。半時間ほどで、子どもたちの呼び声にキッチンに戻って、子どもたちお手製のブレッキーを楽しんだ。

その間、ダディンもお母さんのリクエストで、マーマレードをたっぷりとぬったトーストにマグカップに波々と注いだグリーンティーという彼女のお気に入りのブレックファストを用意して、ベッドへと運んでいた。

ちなみに母の日にはベッドで朝食を、というのもオーストラリアのお約束らしい。

朝食を運んだ夫はいそいそと、今度はカードとお花のプレゼントを運んでいた。なんだか微笑ましいゾ。

オーストラリアの小学校では母の日が近くなると、美術の時間なんかに母の日のクラフト・プレゼントを作る工作とかを企画してくれる。私も今年は、メェからは学校で作ったのだという百年保存できそうな素敵なカードを、ムゥからはやはり学校で作ったというビーズで飾り付けをした木のしゃもじを贈ってもらった。ついでにダディンからはベルギーのチョコレイト・ボックスを、みんなからと母の日の鉢植えを貰った。

さて、ゆったりと過ごした幸福な朝の後には、大忙しのお引越しだ。義母がダディンの弟二人にマザーズデー・ランチに連れて行ってもらっている間に私たちは荷物を纏めて、大掃除である。

荷物運びは、1週間しかいなかったにもかかわらず、なぜか3往復もしなくてはならなかった。ま、最後の便は私たち4人とドギー2匹で、荷物はほとんどのらなかったけど。

午後の大半は、ちょっと見、廃墟のような我が家をスィートホームにすべく健闘した。そうして夜は、やはり母の日だからとダディンが予約してくれていたチャイニーズレストランへ。

そこは子連れディナーにはちょっと敷居の高いフォーマルな店なのだけど、さすが母の日。ほとんどのテーブルを子どもたちが占領していて、赤ちゃんや幼児の姿もそこかしこに。テーブルの周りをくるくる歩き回る子や、奇声を発する子、泣いている子やふざけている子。いつもの夜じゃあり得ない喧騒にホッとしてしまった。

これならお利口さんしていられない息子と一緒でも大丈夫だろうと、私もいつもは飲まないカクテルを頼んで、オイスターやら北京ダックやら次々と運ばれてくるご馳走をゆったりと楽しませてもらいました。途中ダディンはムゥを連れて席を立ち、何度か夜のお散歩を楽しまなければならなかったけど。

さて、母の日は、私にとってもお母さん、ありがとうの日であるわけで。いつもはカードに電話で済ませてしまうのだけれども、今年は4月に帰国したときにお花のデリバリーを手配することができた(ちなみに去年はネットで注文しようとして失敗している…)。日本にいる母に電話をすると、母はお花をとても喜んでくれていて、私も嬉しくなる。

全国のお母さんと、お母さんのような寛容さと愛情で人と関わってくれる全ての皆さまに、Happy Mothers’ Day!  母の日、おめでとうございます。


2010/5/9
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