爬虫類とオーストラリアのバースデーパーティ

文字数 2,264文字

去年の夏休みは日本へ一時帰国していたのでバタバタしていてやらなかった、娘のお誕生会を今年はすることにした。

お誕生会といえば私の子ども時代など、お友だちを呼んでご馳走 (だと当時の私は思っていた、ラーメンの出前とか)にケーキを食べて、遊んで、ハッピー!くらいのものだったけど、こちらのそれはかなり派手である。

インドア・プレイセンターや遊園地とかのバースデー企画を頼んだり、テディベアのぬいぐるみやお手製ソープを作るとかのお店で開いたり、自宅でやるにしてもポニーやピエロ、妖精、人魚姫などなどプロのエンタテイナーを呼んでイベント性をもたせて盛り上げるとか。ウチの子のパーティー参加経験からいえば7、8割がそんな感じだったナ。

そのうえ来てくれた子どもたちには「パーティー・バッグ」なるお菓子やちょっとした雑貨やおもちゃを手土産に持たせるのがお約束なんだ。バースデー・キッド一人だけがプレゼントに囲まれて、ゲストの子どもたちが手ぶらで帰るっていうのは可哀そうだ…みたいな発想からなんだろうけど。

いやぁ、侮り難し、オージーのお子ちゃまバースデー・パーティーなわけです。手軽にやりたいのは山々だけど、呼ばれたパーティーを思い出せば、むむむ…唸るゾ。

それでも一昨年は「ホームメイドパーティー」をキーワードに自宅で開いた。エンタテイメントの類も業者は頼まずに、自分たちでピニャータとかのゲームを企画してやってみた。子どもたちがどれくらい楽しんでくれたかは定かではないものの、手間暇だけはとてつもなくかかったことを憶えている。

「メェ、お誕生日は何のパーティーにしたい? 去年やらなかったから好きなことを頼んでいいよ」と本人に聞くのが1番と8歳になった娘に尋ねてみる。
「じゃあ、爬虫類パーティーにしてぇ~!」と、娘。

はぁ、ハチュールイ~~~!?

話を聞けば、なんでも去年学校にオーストラリアの爬虫類を紹介しに来た業者が「バースデーパーティーもやってるよぉ!」と、子どもたちに名刺を置いていったんだそうな。おいおい、子ども相手に営業かよ。(^ ^;)

そういえばそんなこともあったと記憶が蘇ってきた。去年お迎えのとき「お誕生会はこれにしたい!」と娘から名刺を手渡されたのだった。けれど当然そんな名刺は紛失して(もしくは捨てて)いる。仕方なくネットでサーチして、ビンゴ!

というわけでお誕生会のコンセプトは爬虫類に決定。

手土産に持たせるパーティーボックスにはヘビやカエルのロリィ菓子を詰め込んで、ついでに爬虫類(つーか恐竜)のちっちゃなゴム製のおもちゃも入れた。これまた爬虫類(つーか恐竜)のイラストが描かれた紙皿とかに爬虫類をアレンジしたお菓子も並べて、いざ、Reptile Birthday Partyだっ!

さすがプロ。当日スタッフは我が家に到着するなり見る間に爬虫類お披露目の場をセットアップしてくれた。マイクを使うというのでオーディオが設置され、半円状に椅子が並べられた。犬は御法度ということで愛犬2匹はその間、可哀そうにランドリールームに閉じ込められることに…。哀しげに鳴く犬たちの声を背にドアを閉める。ごめんね、ポーポー、チャールス、辛抱してね。

けれど子どもたちの方は続々と現れるスペシャルゲスト、カエルやトカゲ、イモリやヘビの登場に大喜びである。どの子もオーストラリア大陸のネイティヴ爬虫類だそうで、スタッフが1匹ずつ手にとって、その生態とかを紹介してくれた。それから子どもたちは一人ずつそうっと撫でさせてもらって(カエルだけは肌が乾燥してしまうので触ってはいけなかった)、キャーキャー歓声を上げてはしゃいでいた。

ちなみにうちはメェとムゥが恐がったので呼ばなかったけれど、料金割り増しでワニを呼ぶこともできるんだそうな。

最後はヘビくんたちと記念撮影である。小さいのから大きいのまで何匹もヘビくんたちがやって来てくれたのだけど、子どもたちはどの子も恐がるどころか大きいのほど大喜び。足や身体にぐるぐるっと巻きつかれつつ「はい、チーズ!」。いやぁ、子どもってすごいですぅ。

バースデーガールの娘は、どうしてもその子を抱っこしたかったという爬虫類Beard Dragon(直訳すると髭もじゃ竜ですかナ)なるトカゲを抱っこして、記念撮影もして、大感激しておりました。息子の方は幼いせいか大きな蛇は恐がって、お姉ちゃんにしがみついていた。それでも中くらいの黄色いヘビさんと記念撮影を。

最後の締めはスペシャルのスペシャルゲストで、ワラビーのベイビー登場! ワラビーとはカンガルーに似たオーストラリアの野生動物で、でもカンガルーよりはかなり小さいの。何でもその子は尻尾を怪我して野生動物の愛護団体に保護されていたのを、先月ここに引き取られたんだそうな。まだ8カ月ということで、ほんと~にベイビーだった。ママの袋がないので女性スタッフの赤ちゃん用抱っこ袋にくるまって、抱っこされる姿はとてつもなぁぁぁく可愛いの! 子どもたちも静かに、そう~~~っと撫でさせてもらって大満足。

というわけで爬虫類パーティーも幕を閉じ「楽しかった~」と嬉しそうな娘に「何が1番好きだった?」と尋ねてみれば、
「ワラビーの赤ちゃん!!!」

むむむ…。なら、爬虫類パーティーにする必要なかったじゃん…。

とはいえ子どもたちが楽しんでくれたので私も、お財布の方はめっきり淋しくなってしまったけれど嬉しいデス。

爬虫類さん、ワラビーくん、そしてスタッフの皆様、お疲れ様でした!


2010/2/14
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